PICK UPピックアップ
Awamoriを世界のバーシーンへ。
沖縄で和のハードリカー、誕生。
<後編>
#Pick up
伊藝壱明さん by「瑞泉酒造株式会社」
「産業まつり」のブースの様子。
「尚」ついに一般公開!果たして飲み手の反応は……?
10月25日。沖縄県内最大の総合産業展、「産業まつり」が開幕した。
「尚」が初お披露目の舞台として選んだ「産業まつり」は3日間で述べ20万人以上が来場するという一大イベントで、沖縄県内の一次産業から三次産業までが一堂に会す。
12社合同ブースを出展した当日の様子や試飲した県民からどんな反応があったのか、伊藝さんに伺おう。
「『産業まつり』に設けられた泡盛会場にいらっしゃるお客さまの多くは伝統的な品質の泡盛を求めにいらしています。
それにも関わらず『尚』のブースは会場内でもひときわ賑わいを見せ、3日間を通じて人が途切れることがほとんどありませんでした」
3日間でテイスティングした人数はおよそ2000人!
興味深いのは、「これは古酒か?」という問い合わせが多かったという点だ。
2000 人が足を運んだ「尚」ブース。当日は酒質の説明、開発の背景、泡盛のルーツである琉球王朝の王家にちなんだネーミングの由来などが語られた。
「皆さんからお寄せいただいた感想で多かったのは、『甘い』、『なめらか』、『刺激が少ない』というものでした。
これは古酒のインプレッションにも通じています。
それでいて余韻はすっきりしていてキレがあるということで、これまでの泡盛にはない新感覚の味わいに驚かれた方が多かったようです。
アルコール度数が40%というのも意外だったようです。
飲み口がなめらかなので、もっと度数を低く感じられたようですね」
蒸留酒に詳しい人は「3回蒸溜」というデータから、もっとすっきりとした、ウォッカのような均質化された味わいを想像したらしい。
実際に飲んでみると各酒造所のキャラクターがしっかりと現れている点も驚きだったよう。
「全く新しい市場を開拓しようという意図で開発した背景もあり、伝統的な泡盛に思い入れのあるファンの皆さんにも好意的に受け止めてもらえたのは自分たちとしても意外でした。
頑張れ!応援している、という県民の皆さんの思いを感じることができました]
伊藝さん(右端)をはじめとする開発プロジェクトのメンバーたち。
バーで思い描く泡盛の未来。
「私たち開発者が狙った、『米の甘い感じ』や『クリーンさ』は酒質の前面に出ており、来場された方々にも伝わったと思います。
それはつまり、造り手が意図を明確にしてそれを酒質にきちんと表現できれば、飲み手にも伝わるということですよね。
今回の取り組みの方向性は間違っていなかったと、造り手一同、再確認できました。
そういう意味でも一般の方々にこのような形でお披露目できたことは意義深かったと思っています」
今後の「尚」だが、12社共同開発であるものの、それぞれの商品は異なることから売り方も各社によって異なるそうだ。
近隣のリゾートホテルのバーで展開するところもあれば、蒸留所内でのみ限定的に提供するというメーカーも。
瑞泉酒造の伊藝さんが力を入れているのはバーシーンへのプレゼンであり、現在は商品を携えて東京のバーを訪れ、「尚ZUISEN」を使ったカクテルを創作してもらっている。
「バーテンダーの皆さんには、キレが良くて滑らかで、泡盛とは思えないのに、テキーラやウォッカ、ラムとは違う米由来の個性が残っている、そんな風に言っていただけました。
これなら十分、カクテルの副材料になる、とも」
カクテルとしての可能性を追い求め、試行錯誤を重ねる。右は、とあるバーで作ってもらった「尚ZUISEN」ベースのダイキリ。「飲み口はドライなのに、はちみつを思わせる優しい甘い香りが鼻に抜けるのが良かった」と伊藝さん。
「印象的だったのは、とあるバーで作っていただいた泡盛トニック。
うちの尚にフィーバーツリー のインディアントニックを注ぎ、ライムを添えただけのシンプルなカクテルなのですが、そのシンプルさ故に尚の個性が際立つ。
柔らかく、ほんのり甘くて、優しい飲み口で、コメベースのスピリッツのカクテルの滋味を実感しました。
マティーニも美味しかったですね、ドライなのに後味にふんわりと甘い余韻が残って。
いくつものバーを巡りましたがが、総じてシンプルな構成のカクテルが合うようです」
カクテルにこだわるのは、東京のバーを足がかりに世界に発信していきたいという思いがあるから。
和酒といえば米麹だが、日本酒や焼酎以外にも伝統の麹の技を磨き上げた酒があることを世界中の人々に知ってもらいたいと思っている。
「今回の商品は泡盛にとって初めての製法で取り組んだ、これまでにない商品です。
この製法(複数回蒸留)は泡盛の可能性をもっと広げてくれる、自信を持ってそう断言できます。
『尚』にさらに磨きをかけ、香味の多様化や泡盛のもつ可能性を掘り下げていきたい」という伊藝さん。
泡盛をベースにしたカクテルは果たしてどう進化するのか。
バーシーンでの期待もますます高まりそうである。
SHOP INFORMATION
瑞泉酒造株式会社 | |
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沖縄県那覇市首里崎山町 1-35 TEL:098-884-1968 URL:https://www.zuisen.co.jp |