PICK UPピックアップ
注目集まる日本のクラフトラム・シーン、
パイオニアのヘリオス酒造のものづくり。
- 前編 -
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松田亮/Matsuda Ryo from「ヘリオス酒造」
文:Ryoko Kuraishi

泡盛の仕込みに使う黒麹菌がいい味を醸している熟成庫「二の蔵」。ここに2000以上のオーク樽が眠っている。
沖縄本島を拠点に泡盛や焼酎、スピリッツ、リキュール、ウイスキー、クラフトビールを手がけるヘリオス酒造。
ヘリオス酒造のはじまりは、1961年にスタートしたラム造り。
「酒はその土地で穫れる作物で造る」という信念を掲げ、沖縄のサトウキビを搾った糖蜜を使い駐留する米兵向けにラムを造りはじめたのが1961年。
その2年後にはウイスキー製造もスタートしているというから、業界きってのフロントランナーといえそうだ。
沖縄復帰後の79年に「一般消費者向けの商品を」ということで泡盛の製造を開始したそうで、泡盛メーカーのなかでは最後発のスタートとなった。
ヘリオス酒造が面白いのはここからで、ラム&ウイスキー造りで培った樽熟成の技術を泡盛に転用したのだ。
樽熟成泡盛「くら」を発売したところ、これが大受け。いままでにないマイルドな味わいと樽由来の華やか香りが評価されたようだ。
こうして、「くら」をはじめとする泡盛の製造が主流になっていた。

本社敷地内にある「古酒蔵ショップ/ギャラリー」。毎日実施している酒蔵見学は、古い写真資料を揃えたギャラリーからスタート。完全予約制。
ラムは”地産地消のオキナワン・スピリッツ”だから。
泡盛の勢いに押されていたものの再びラムに力を入れるようになったのは、ラムが地産地消を体現するオキナワン・スピリッツだから。
以前は糖蜜を使った「HELIOS RUM」が中心だったが2000年代に入ってからアグリコールラムの開発や沖縄産黒糖を使ってのラム造りもスタート。
黒糖の「TEEDA(ティーダ) WHITE」、自社サトウキビ産で仕込む「「TEEDA AGRICOLE」がラインナップに加わった。
ゴールドラム(「TEEDA 5年」)、ダークラム(「TEEDA 21年」)も好評だ。
「沖縄のモラセス(糖蜜)は、外国のものにくらべて香味もパンチも強いんです」というのは、ラム製造の責任者宮城さん。

樽熟成技術が磨き上げた21年ものがこちら。長期熟成の「TEEDA 21年」は干しブドウや黒糖を思わせる甘い香り、まろやかなコク、余韻が際立つ。¥41,800
日本の精糖技術は高度であるため、サトウキビから抽出する砂糖の量が多い。結果、その他の成分が凝縮された高濃度な糖蜜になる。
結果、非常にパンチのある原酒ができる。
「個性的なんですが、要はパンチがありすぎる。それで、蒸留器を色々変えて試行錯誤したんです。
たとえば、現在使っている蒸留器はほぼオーダーメイド。単式ですが、連続式のように精製度を高められるよう設計してあります」
ラム担当だけあって宮城さんのラム愛は強い。
「世界に発信していこうと考えると、ポテンシャルがあるのは泡盛よりラムだと思っています。
泡盛は国酒といわれてしまうと分が悪いですが、『地域の産物を使っている』というストーリーの観点ではラムに軍配があがりませんか?
県内の泡盛の製造量は減少傾向にありますが、今後、ラムは増えていくんじゃないでしょうか」

左はラム用の、右はウイスキー用の蒸留器。
個性豊か、ヘリオス酒造の3つのラム。
まずはモラセス。こちらの強みは熟成後の味変だ。
「貯蔵するにつれて風味がどんどん良くなる」そうで、宮城さんもポテンシャルを感じている。
「ショップでゴールドラム、ダークラムをぜひテイスティングしてほしいです」
2回蒸留を行うアグリコールは「サトウキビらしい風味や香りが際立ち、ロックやストレートで飲みやすい」。
もっとも新顔の黒糖は、糖蜜とアグリコールの中間的な味わいで「モラセスのようにトップノートに特有の香りがあり、エイジングをかけると風味がアップするが、そのスピードはモラセスより速い。かつ、甘い余韻が続く」。
さらに、固形の砂糖(つまり黒糖)を原料にしたラムは世界的にも珍しいというから、味わい、ストーリーのどちらにおいても競合優位性が高い。ただし、原料が高価なことからコストパフォーマンスは落ちる。
「とはいえうちのラムの売り上げの多くを黒糖製法が占めていますし、まだまだポテンシャルはあると考えています」
後編ではさらに、ジャパニーズクラフトラムの現在地と未来にむけての課題を伺います。
後編に続く。
SHOP INFORMATION
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| ヘリオス酒造 | |
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沖縄県名護市許田405 TEL:0120-41-3975 URL:https://www.helios-syuzo.co.jp |





