お茶とお酒のイイ関係<後編>
10種のベースと10種のお茶で100のお茶割り!

PICK UPピックアップ

お茶とお酒のイイ関係<後編>
10種のベースと10種のお茶で100のお茶割り!

15.03.2021 #Pick up

多治見智高さん by「茶割 中目黒」

3月のテーマは、お茶。後編では、早くから“お茶割り”に注目した「茶割」が登場。お茶の香り、味わいを引き立てるベストなベーススピリッツはなんだ?

文:Ryoko Kuraishi

中目黒店で採用した茶葉。奥から時計回りに、「阿波晩茶」、「焙じ紅茶」、煎茶の「ゆたかみどり」、「ふじみどり」、「おくみどり」。トップ画像は左から、抹茶×カシスリキュール×ソーダ、「おくみどり」×ROKU 、「ゆたかみどり」×宝焼酎、「阿波晩茶」×白州、「焙じ紅茶」×ヘネシーV.S.O.P.。photos by HISASHI NAGASU

お茶割りを世界的なスタンダードにしたい!

「茶割」を展開する「サンメレ」の代表取締役・多治見智高さんがお茶割りに注目したのは、いまから5、6年前のことだ。


当時、ハイボールに次ぐネクスト・ドリンクとしてレモンサワーが注目を集めるようになっていた。
その後、居酒屋はもとよりバーにおいても「究極のレモンサワー」のレシピ開発が行われるなど空前のヒットとなるのだが、そんなブーム到来を予感させていた。


「新しい店舗を企画する中で、レモンサワーに代わるドリンクはなんだろうと考えていました。
昔から酒場にあるドリンクで、いまの時代に合わせたアレンジが可能で、若い世代にアピールできるもの。

候補はいろいろありましたがお茶割りを突き詰めてみようと思ったんです」


急須で丁寧に緑茶をいれる環境に育ったことから、多治見さんにとって昔からお茶は身近な飲み物だった。
けれど、周囲にはペットボトルのお茶しか知らないという声も多かった。


「それはあまりにももったいない。
自宅で急須を使うのはハードルが高いというなら、お茶割りで丁寧に抽出したお茶のおいしさをアピールしようと思いました」

ハイエンドな茶葉10種で、100通りの飲み方を。

業態としては、ウイスキーの銘柄が100種も揃うウイスキーバーのようにお茶割りのレシピがいっぱいあることを表現したい。
そうすることでお茶もアルコールも、どちらも懐の深いものであることを謳えるからだ。


「そこで10種のお茶と10種のスピリッツを組み合わせ、100通りのお茶割りを提供することにしました」


茶葉やスピリッツのラインナップは店舗によって異なり、ここ、中目黒店では創作フレンチメニューを提供することから、高級感ある内観や料理の内容に見合うよう、ハイエンドな茶葉をセレクトしている。


ちなみにセレクトは、お茶のスタートアップ「TeaRoom」、シングルオリジンにこだわる日本茶専門ブランド「FAR EAST TEA COMPANY」、発酵茶専用茶園の再生プロジェクトなども行う「The Tea Company」といった新世代の茶商たちの知見を借りて行っているそう。


「中目黒店ではシングルオリジンの煎茶を3種(おくみどり、ふじみどり、ゆたかみどり)と抹茶、他店ではなかなか味わえない珍しいお茶(焙じ紅茶、黒麹発酵茶)を2種、メニューに入れています。

そのほかに阿波晩茶、煎じ茶、焙じ茶の茶葉で煮出したシロップが3種、これはソーダアップして提供します。
そして月替りの茶葉が1種。

お茶として飲むのはもちろん、ベースアルコールとの相性がよく、アルコールと合わせても茶葉の個性やキャラクターがしっかり生きるものを選んでいます」

抹茶とカシスリキュールとソーダ、なんてカクテル感覚の一杯も。

ベーススピリッツは甲類焼酎、芋焼酎、ジン、ラム、ウイスキー、ブランデー、バーボン、そのほかリキュールが3種。こちらも銘柄は店舗によって異なる。


「こちらから提案する場合、茶葉が持ついくつかの要素からベースとなるスピリッツをお勧めしますね。

例えば黒麹発酵茶にはブランデーを。キャラメルのような香ばしさが発酵感を引き立ててくれる。

抹茶×ブランデーも、抹茶のほろ苦さとブランデーの熟成された香りがマッチします。

柚子煎茶には、ボタニカルに茶葉を使っているジン。日本のハーブや食材を使っているジンは日本茶と合わせやすい。

これは他店のラインナップですが、さんぴん茶×ラムもいいですね」

多治見さんの個人的な好みは、煎茶のおくみどりとROKUの組み合わせ。
ROKUに使われている山椒が、おくみどりのしっとりとまあるい香り、優しい甘みと合うのだそう。

左は茶葉と長芋の漬物と「ゆたかみどり」×宝焼酎。右は茶葉の旨味を引き出したピクルスと「阿波晩茶」×白州。

茶農家に教わった、抽出した茶葉の活用術。

産地を訪ね、お茶の勉強を続けているうちに茶葉の使い方も変わってきた、と多治見さん。
たとえば抽出した後の茶葉。「茶割」では一煎だけ抽出した茶葉を料理にも活用している。


「きっかけは、昔ながらの茶農家さんを訪ねた際に振る舞われた茶葉でした。
抽出した後の茶葉にポン酢をかけ、お浸しのようにして食べるんです。

なるほど、いい茶葉は柔らかいし、お茶の風味や旨味はまだ生きているからおいしいんです。
これはメニューにも使える!と」


そうして生まれたのが、各店舗の人気の一品に使われている「茶ノベーゼ」や、昆布の代わりに茶葉の旨味で漬けた漬物やピクルスなど。
旨味の強いお茶で出汁をとり、味を調えてスープに。
抹茶を使った自家製マヨネーズは酸味を押さえ、オイルも控え、さっぱりした味わいに。


今後、フードへの活用をさらに広げていく予定だ。

岩塩を振っただけでお浸し感覚でいただける、一煎だけ抽出したあとの茶葉。

「お茶のおもしろいところって、掘れば掘るほど世界が広がるところ。

お茶の可能性は無限に広がっているのでキャッチアップするのが大変ですが、こうした試行錯誤を新たなレシピやメニューに活かしていきたいですね。

ドリンクとしてのアプローチ、食材としての向き合い方……食材としてのお茶を使ったメニューを充実させれば、ドリンクとフードのペアリングの幅もさらに広がりそう。

3月には学芸大学に新店舗をオープンしたばかりです。
こちらはより実験的なドリンクメニュー・食事メニューを揃えた、『茶割』の“ラボ的”な立ち位置になる予定です。

ここをベースに、ドリンクのレシピ開発やフードとのペアリングなど、お茶を使ったプロデュース業をさらに充実させていきます」

茶割 中目黒
東京都目黒区上目黒2-16-1 リードシー中目黒 4F
TEL: 03-5724-3011
URL:http://chawari.tokyo

SPECIAL FEATURE特別取材