【特別レポート】
「ワールドクラス 2016 ジャパンファイナル」
関係者たちは、このファイナルをどう見たのか!?

SPECIAL FEATURE特別取材

【特別レポート】
「ワールドクラス 2016 ジャパンファイナル」
関係者たちは、このファイナルをどう見たのか!?

[vol.02] - 2014年ワールドチャンピオン、
チャールズ・ジョリーさんの視線!

01.07.2016 #Special Feature

文:Drink Planet編集部

ここからは、ジャッジや関係者にインタビュー!

まずはジャパンファイナルのジャッジを務めた、ワールドクラス 2014 グローバルチャンピオンのチャールズ・ジョリーさんに話を伺いました。

ちなみにジョリーさんは過去にどりぷらにも登場してくれています。記事はコチラ!

敗れはしたものの、ジョリーさんも高く評価していた宮﨑理彦さん。

敗れはしたものの、ジョリーさんも高く評価していた宮﨑理彦さん。

Q 今回のジャパンファイナルの感想をお聞かせいただけますか?


「日本のバーテンダーのレベルが高いことは知っていたし、世界的にも影響力のある日本人バーテンダーを何人も知っています。でも実際に日本の選手たちのプレゼンテーションを目の当たりにして、その思いがより強くなりました。皆さん、本当にレベルが高いです!」

「今回、私はインタナショナルバーテンディングという立場から、Original Cocktail ChallengeとMiami Day & Night Challengeという2つのチャレンジの審査を行いました。Original Cocktail Challengeに関しては、皆さん、本当に何回も何回も練習を重ねてきたんだと思います。グローバルファイナルでも十分通用するレベルです!」

「一方、Miami Day & Night Challengeはもう少しクリエイティビティやエンターテイメント性を試されるチャレンジ。個人的に、何人か迷いがある方がいるように感じました」

「ワールドクラスを勝ち抜くためには、なにより安定感が必要です。いくつもあるチャレンジを全部勝つ必要はありません。それよりもどのチャレンジも大きなミスなく、安定した力を発揮することの方が大切です。問われているのは、バーテンダーとしての総合力なのですから……。実際、各国予選やグローバルファイナルでも、チャレンジ優勝なしで勝ち抜いた例がいくつもあるんですよ」


Q ジャパンファイナルで気になったバーテンダーはいましたか?


「はい、何人もいました。Miami Day & Night Challengeの最後の2人(藤井さんと茂内さん)はよかったですね。それからワーキングフレアを駆使していた方(宮﨑理彦さん/The FLAIR BAR)もスタイルがありました。海外でウケるエンターティナーという意味では、金髪で目立っていた方(久保さん)も興味深かったです」

「日本のバーテンディングは型があって画一的という人もいますが、私には個性があって、多様性があって、どのバーテンダーにもそれぞれのスタイルを感じました。これだけ情報が多く溢れるいま、個性(スタイル)はますます重要になってくるはずです」

Speed  Challengeでメニューを配る余裕の茂内さん

Speed Challengeでメニューを配る余裕の茂内さん

Q 他に気になった点はありますか?

「これはジャパンファイナルに限らず、しばしば若いバーテンダーがやりがちなことなのですが、今回もいくつか見受けられたのであえて指摘しておきましょう。私はよく画家に例えるのですが、画家がキャンバスに色彩を表現しようとするときに、あまり多くの色を混ぜ過ぎると、焦点がぼけて、結局は茶色や黒になってしまうことがあります」

「カクテルも同じです。あまりにも多くのアイデアをひとつのカクテルに詰め込み過ぎると、茶色や黒といった印象のぼやけたカクテルになってしまう。いいアイデアがいくつも浮かんでも、欲張らずに、ひとつ、ふたつと、アイデアを分けて使っていくべきです」



Q 改めて、ワールドクラスとはどんな大会ですか?

「ワールドクラスは本当の意味でのバーテンダーコンペティションです。単にクラシックカクテルの知識があったり、それをつくるメイキングテクニックがあったりとか、そういう表層的なことを試されている訳ではありません」

「そうではなく、自分のすべてが問われます。いわば総合力です。人間力といってもいいかもしれません。バーテンディングは自分の個性を表したものであり、かつ非常に安定したものでなければなりません。さまざまな要素が、きちんと自分自身の中で整理整頓されている必要があります」

「というのも、大会本番では圧倒的なプレッシャーに押しつぶされそうになるからです。強いプレッシャーの中でも、普段通りの仕事をしなければならない。これは想像以上にハードなことです」

「今回のジャパンファイナルもあらゆる意味でハードな大会だったと思います。メンタル的にも、フィジカル的にも、エモーショナル的にも。日本でもワールドクラスにこれだけ注目が集まっているのは素晴らしいことですね」

「ワールドクラスは、我々がどんなバーテンダーであるかを示せる場所です。やはり特別ですし、レベルも当然高い。と同時に、非常に現実的なコンペティションでもあります。なぜなら、単にカクテルを競うのではないからです」

「我々バーテンダーの仕事はグラスの中にあることだけじゃありません。お客さまがバーに来たくなる理由は、実にさまざまです。カクテルの味はもちろん、雰囲気、スタイル、サービス、エンターテイメント……、それらすべてを競うのがワールドクラスです」

Q 若いバーテンダーがワールドクラスに参加することを躊躇している、という話をよく聞きます。ワールドクラスに参加するメリットとは何でしょうか?

「これは日本に限ったことではありません。世界中の若い世代のバーテンダーが失敗を恐れて、コンペティションを避けてしまう傾向にあります。ワールドクラスのように注目度が高く、レベルも高い大会だとなおさらです」

「でも、ワールドクラスはフェアな大会です。たとえ6カ月しか経験がないバーテンダーでも、10年、20年経験があるバーテンダーでもステージは一緒です。私だって負け続けてきたし、多くの失敗もしました。こんな素敵なチャンスが目の前にあるのに、参加しないのは大きなマイナスだと思いますよ」

「毎日同じカウンターで同じような営業を続けることは非常に大切な一方、慣れも生じるし、新しく学ぶことに限界も出てくる。時には旅に出たり、他のバーに飲みに行ったり、こうしたコンペティションで負けることも非常に大切だと思います」

「まず、ワールドクラスに参加することで、想像以上に多くのバーテンダーに出会えます。お店のマスター以外の先輩方とも知り合えるし、時には教えを乞うこともできます。たくさんの戦友ができ、仲間ができ、たくさんのことを学べます。自分の弱みだってわかります。そのことが最も重要なんです」

「昨日のチャレンジでも何人か明らかな失敗をしている人がいました。きっと今ごろは相当落ち込んでいるんだろうと思います。でも、それでいいんです。苦境に立つことは、次に学ぶことに繋がります。まったく問題なしで勝ち抜けたら、それはもしかしたらその人のためにならないかもしれません。昨日のチャレンジで失敗してしまった方も、きっともっと強くなって、再びこの舞台に帰って来られるはずです」

Q 最後にワールドクラス2014のチャンピオンとして、日本のバーテンダーにメッセージをいただけますか?

「ついついシリアスな話ばかりしてしまいましたが(笑)、バーテンダーの仕事は最終的にはおいしいドリンクをつくって、それを飲むお客さまをハッピーにすること。Have Fun! 楽しくなければ意味がありません」

「我々は政治や環境問題を扱っているわけではありません。もちろん政治や環境問題も大事だけれど、バーテンダーはもっと人のハートに直接訴えかけるエモーショナルな仕事です」

「世の中でこんなに素晴らしい仕事はないと思います。他のバーテンダー仲間と一緒になって、毎晩パーティーができるなんてね(笑)。バーに来てくれる皆がハッピーだったら、きっと成功に繋がる。バーテンダーはそういう職業なんだと思います」


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