
SPECIAL FEATURE特別取材
【特別レポート】
「ワールドクラス 2016 ジャパンファイナル」
関係者たちは、このファイナルをどう見たのか!?
[vol.01] -
ジャパンファイナル優勝は
藤井隆さん(「Bar, K」大阪)!
#Special Feature
文:Drink Planet編集部
Drink Planet読者で知らない人はいないであろう権威あるバーテンダーコンペティション、ディアジオワールドクラス。
今年で8回目を迎え、約60もの国と地域が参加する世界最大級のバーテンダーコンペティションです。
その世界大会は、2016年は9月25日~29日の5日間、初の北米開催としてアメリカはフロリダ州マイアミにて開催されます。
それに先駆け、2016年6月5日(日)と6日(月)の2日間、今年の世界大会に出場する日本代表を決定するワールドクラス 2016 ジャパンファイナル(キリン・ディアジオ㈱主催)が、品川プリンスホテル クラブeXで開催されました。
すでにご存じの通り、日本代表の座を射止めたのは、藤井隆さん(「Bar, K」大阪)!
また最終結果は以下の通りです。
優勝 藤井隆【店舗:Bar, K(大阪府大阪市)/出身地:兵庫県】
2位 茂内真利子【店舗:The Bar Rose Garden(青森県八戸市)/出身地:青森県】
3位 久保俊之【店舗:ark LOUNGE & BAR(青森県八戸市)/出身地:青森県】.
部門優勝
Original Cocktail Challenge 久保俊之
Speed & Taste Challenge 藤井隆
The 4 Seasons Challenge 茂内真利子
Miami Day & Night Challenge 藤井隆
この特別レポートでは、今年のジャパンファイナルを振り返りながら、ジャッジや運営サイドといった関係者たちに話を伺い、世界中のバーテンダーたちを惹きつけるワールドクラスの魅力に迫っていきたいと思います。
Original Cocktail Challenge優勝の久保俊之さん。
初日となる5日は、全4チャレンジのうちの2つ、Original Cocktail ChallengeとSpeed & Taste Challengeが行われました。
Original Cocktail Challengeは規定のスピリッツに自分自身のパーソナリティを掛け合わせたオリジナルカクテルを創作するというもの。
同チャレンジは「ワールドクラス」の定番ともいえるチャレンジゆえ、参加選手10人がそれぞれのアプローチで、非常に高いレベルでパフォーマンスを繰り広げました。
チャレンジ優勝した久保さんのカクテル「ゴールデン・ジャーニー」は“ウイスキーを探す旅”をテーマに、ローランド地方、ハイランド地方、スペイサイド、アイラ島のエッセンスと共に、ジョニーウォーカー・ゴールドラベルリザーブの魅力をカクテルに落とし込んだ一杯。
カクテルのストーリーテリングはもとより、場の空気を“楽しく”一変させてしまう久保さんのパフォーマンスは、バーテンダーとしてのおもてなしのスキルの高さを強く印象づけました。
一方、Speed & Taste Challengeは制限時間8分間に8種類のカクテルを創作するチャレンジです。
こちらも定番のチャレンジなので、時間内につくり上げることは最低条件。
そのうえで、正確性や緻密さ、スキルの高さ、そしてなにより味わいが問われます。
チャレンジ優勝は藤井隆さん。
藤井さんは過去のジャパンファイナルでもスピード系のチャレンジで部門優勝を果たしているだけに、得意なチャレンジだったのでしょう。
“アメリカンカクテルジャーニー”と題し、西海岸、シカゴ、NY、そして今年の世界大会の舞台であるマイアミ、それぞれの土地ゆかりのカクテルを次々とつくり上げていきました。
初日の2つのチャレンジは参加選手にとってはいわば想定内。
大きなミスさえ犯さなければ、それほど大きなポイントの差はつかなかったように感じられました。
The 4 Seasons Challenge優勝の茂内真利子さん。
2日目は、The 4 Seasons ChallengeとMiami Day & Night Challengeが行われました。
The 4 Seasons Challengeは4つの季節から2つの季節を選び、対照的な2種類のカクテルを創作しなければなりません。
どの季節とどの季節を選び、それぞれのカクテルをどう対比させるか、が勝負の分かれ目だったようです。
チャレンジ優勝した茂内さんは春と秋をチョイス。
春は“新緑の森へのピクニック”をテーマに、タンカレーナンバーテンや抹茶リキッド、青リンゴピューレなどを使って、秋は“収穫の秋と月見”をテーマに、シロックや甘酒、リンゴジュースなどを使って、それぞれ「ボタニカルトリップ」と「ハーヴェストムーン」という2つのカクテルをつくりあげました。
どうしてもコンセプトが複雑になってしまう選手が多いなか、茂内さんは至ってシンプルに、かつゆったりとプレゼンテーションを行い、それでもまだ時間に余裕があったほど。
見た目的にも、2つの季節を対照的に浮かび上がらせました。
総合優勝した藤井さんは、準備時間にもジャッジに話しかけたり、味見をした後に味わいを調整したりと、余裕と安定、さらにはお客さまであるジャッジへの気遣いも感じられました。
秋のカクテルとしてホットカクテルをつくった際も、舞台の上でスポットライトを浴びて暑そうにしているジャッジを見て、あえて提供温度を下げてサーヴしていました。
このあたりのホスピタリティはさすがの一言です!
Miami Day & Night Challengeでの藤井隆さん。
最後のMiami Day & Night Challengeは、世界大会の舞台となるマイアミをモチーフに、昼のカクテルと夜のカクテルを創作するというもの。
なお、どちらか1つはパンチカクテルでなくてはなりません。
知ってはいても、なかなか普段の営業でつくる機会の少ないパンチカクテルに、選手たちは頭を悩ませていたようでした。
そんななか部門優勝を果たしたのは藤井隆さん。
昼のカクテルとしては、ケテル ワンで有名なオランダのノレット蒸留所誕生325年を祝う、マイアミでのサマーパーティーをイメージした“乾杯カクテル”を創作。
ケテル ワン、パイナップルジュース、フェンネルシロップをシェイクして注ぎ、シャンパンではなくウィートIPAでアップしました。
夜のパンチカクテルとしては、内側をチャーした(焦がした)木製パンチボウルにチョコレートビターズを燃やしかけるパフォーマンスを行いながら、ドン・フリオ アネホベースの「マイアミ・ファイヤー・パンチ」をつくりあげました。
最終10番目の登壇だったにも関わらず、疲れも見せず、最もパワフルなプレゼンテーションだったことも付け加えておきましょう。
※Miami Day & Night Challengeに関しては、Drink Planetの動画も要チェック!
では、ここで見事ジャパンファイナルを制し、マイアミの世界大会への切符をつかんだ藤井隆さんにインタビュー!
Q 優勝おめでとうございます。今の率直な感想をお聞かせください。
「本当にうれしいの一言です。家族、お店のマスターやスタッフ、諸先輩方、同期の仲間、そしてお客さま……。皆さまのサポートがあっての優勝です。自分一人の力ではとても無理でした。ですから、支えてくださった皆さまには、感謝しかありません」
Q 今回、特に意識したことはありますか?
「これまで2011年、2012年、2013年とジャパンファイナルに出場させていただいたのですが、気持ちが先走って、すぐに暴走してしまうクセがありました。チャレンジによっては、しゃべり過ぎてタイムオーバーになってしまったことも(笑)。今回はそうならないように、我慢して我慢して、そのぶん気持ちを乗せてプレゼンテーションを行いました」
Q ジャパンファイナルに向けて、どんな練習をしてきましたか?
「1カ月ほど前にチャレンジ内容が発表されてからは、“1日1ワールドクラス”という感じで、仕事の前後に4チャレンジをすべて行っていました。それを動画に撮って見直したり、近所の先輩方に見ていただいたり、使い慣れない他のバーのカウンターで練習させてもらったこともありました」
Q グローバルファイナル(世界大会)向けて、抱負をお聞かせください。
「今回、ジャパンファイナルに出場した他の9名の方のプレゼンテーションにとても感心しました。参考になったことや気づかされたことを自分自身にフィードバックして、世界で戦ってきたいと思います。そして去年の金子さんに続き、今年も日本が世界一を取れるように精一杯頑張ってきます」
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