リキュール&ワインに仕立てれば、
フルーツはもっと楽しい!
<前編>

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リキュール&ワインに仕立てれば、
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#Pick up

伊藤美奈子さん by「株式会社ルーチェ」

今月は、日本発のフルーツリキュール、「フルーツチェロ」やスパークリングワイン、「フルーツリング」の開発に取り組む、ルーチェ代表の伊藤美奈子さんにフォーカス。日本のフルーツの魅力って?

文:Ryoko Kuraishi

2007年にルーチェを立ち上げた伊藤さん。日本のフルーツの可能性を探るべく、産地を飛び回っている。

南イタリア伝統のリキュール、リモンチェッロとの出合いをきっかけに、国産の旬のフルーツを使った日本発のリキュール、「フルーツチェロ」やスパークリングワイン「フルーツリング」開発に取り組む、(株)ルーチェ代表の伊藤美奈子さん。


もともとイタリアワインの輸入会社で働いていた伊藤さんが、独立に際して選んだ商材がリモンチェッロだった。
日本でもまだなじみの薄いリモンチェッロ。一体なぜ、リモンチェッロを扱うことに?


「小規模でもいいから、自分が心から納得できる本当にいいものだけを扱いたい。
自身で厳選したものを通じて小さな幸せを届けられるような、そんな会社にしたいと思っていました。


イタリアワインを通じてたまたま出合ったリモンチェッロですが、現地に飛んで生産者に会ってみたら、造り手の真摯な姿勢や昔ながらのものづくりのプロセスに深く感銘を受けたんです」

左から、リモンチェッロ(2000ml)¥9,500、(500ml)¥3,000、リモンチェッロ クレーマ(500ml)¥2,960。

伊藤さんがカプリ島で出合ったカプリピゥ社は、家族経営の小規模なリモンチェッロ生産者だ。
昔ながらの無農薬栽培・手摘みのレモンを使い、400年以上も受け継がれてきた秘伝のレシピをもとに、高品質のリモンチェッロを手造りしている。


ボトルに描かれた可愛らしいモチーフは、二人の絵付け師によりひとつひとつハンドペイントで施されたものだ。


「柑橘類の皮にはポリフェノールやビタミンCなど美容や健康に役立つ成分が豊富に含まれています。
実際、イタリアでは美容や健康のために薬酒がわりに飲まれているほど。


カプリピゥ社のリモンチェッロは着色料はもちろん、保存料も一切添加していないので、日本の消費者のみなさんに自信を持って勧められるリキュールだと確信したんです」

一点一点表情の異なる、専門の絵付け師によるハンドペイントもカプリピゥ社の製品の特徴だ。

リキュールというニッチなマーケットではあるものの、手作りの温かさと品質の高さが功を奏し、着実にファンを獲得してきた。
カプリピゥ社の造り手たちも、日本のマーケットで自分たちの商品が支持されることを何よりも喜んでくれたという。


そんな風にカプリ島とのやりとりを重ねる中で、フルーツとお酒の組み合わせは日本のフルーツ生産者にも貢献できるのではと、アイデアを巡らせるようになる。


「日本のフルーツって宝石みたいなものだと思うんです。
例えばイタリアではリンゴは酸っぱいものとされていて、昔ながらの味わいを大切にしています。
一方、日本の果物は甘味や香り、ジューシーさなどを追及し、品種改良を重ねてきました。
しかも、そういう地域特産のフルーツが全国に点在していて、知られざる銘柄もまだまだ眠っています」

金箔箔押しのラベルが印象的な「フルーツリング」。JALショップ、伊勢丹などで発売予定だ。

「ただし旬が短いフルーツは、本来のフレッシュさや味わいを楽しめるのもほんの一瞬です。
日本のフルーツの魅力や可能性を、旬以外の時期に、多くの人に体験してもらえるのがフルーツを使ったお酒なんです」


伊藤さんが最初に目をつけたのが、夕張の特産、夕張メロン。
フレッシュな味わいをリキュールに閉じ込めることはなかなか難しく、試行錯誤を重ねたというが、ようやく発売にこぎつけた「メロンチェロ」は限定2000本が即完売に。


おまけに、「メロンチェロ」を聞きつけた全国の生産者や自治体から「うちのフルーツでリキュールを作りたい」と声がかかるようになった。


こうしてスタートしたのが、「石の華」石垣忍さんを監修に迎えた日本発のフルーツスパークリングワイン、「フルーツリング」だ。
果たして「フルーツリング」とは?


後編に続く。

SHOP INFORMATION

株式会社ルーチェ
東京都大田区田園調布1-60-6
TEL:03-6327-7156
URL:https://www.luceit.jp

SPECIAL FEATURE特別取材