PICK UPピックアップ
リキュール&ワインに仕立てれば、
日本のフルーツはもっと楽しい!
<後編>
#Pick up
伊藤美奈子さん by「株式会社ルーチェ」
「フルーツリング」第一弾の一つ、「北限のユズ」を生産する岩手の造り手と。
伊藤さんが昨年から開発に取り組んでいるフルーツスパークリングワイン、「フルーツリング」は、「食のジャンルで日本全国を応援しよう」という、とある大手企業 の地方活性化推進プロジェクトの一環としたスタートしたもの。
単発のプロジェクトではなく、リレー形式で全国の産地をつなげていきたいとの思いからシリーズ化を検討しているが、その第一弾が東北なのだ。
甲州で醸したワインをベースに、フレッシュなフルーツのピューレをたっぷりブレンドしたこちら、伊藤さんが個人的によく足を運んでいるという「石の華」石垣忍さんにレシピ監修をお願いした。
日本の桃の産地の最北端が、伊藤さんの故郷でもある秋田県。「フルーツリング」第一弾では、この秋田の桃を採用することになった。
「実際に現地に足を運び、生産者の方たちとコミュニケーションを図る中で、青森のアプリコット、秋田の『北限のモモ』、山形のレモングラス、宮城のイチゴ、岩手のユズ、福島のラ・フランスというラインナップになりました。
その地方の特産だけでなく、例えば青森はアプリコットの生産量が日本一なんだそうですが、こんな風にその土地にある、知られざるフルーツの魅力をアピールできたらと思っています」
ファーストサンプルとして上がってきた「秋田のモモのフルーツリング」は、成分のほぼ半分がモモという贅沢なもの。
味わいはまるでベリーニのよう。
隠し味として加えたレモングラスがモモのエグミを抑えてくれているそう。
「生食用としては売り物にならないものを加工用に回してもらうのですが、一定量を安定して確保できないこと、保存料を加えないからこその流通の問題など、発売に向けて課題は山積み。
それでも、いいものを造って国内外に日本のフルーツをアピールできたら、きっと生産者に喜んでもらえる。
そんな思いでトライ&エラーを繰り返しています」
「フルーツリング」の製造を担うのは、甲州市にある大和葡萄酒だ。
もう一つ、昨年からスタートしたのが伊藤さんの故郷、秋田県でのプロジェクトだ。
「私の地元が秋田県大仙市なんですが、ふるさとに貢献できることがしたいなと思って、秋田県産のフルーツを中心にした加工と流通の会社を立ち上げました」
地元での活動第一弾となるのは、「忠犬ハチ公」のふるさとである大館市が舞台。
生産量日本一を誇る秋田産枝豆のペーストを使った枝豆ビールの企画・販売である。
県内ではホップの栽培も行われていることから、ローカルホップで仕込むことに。
醸造は、同じく県内の田沢湖ビールが、「秋田県の応援になるなら」と協力してくれることに。
11月にスタートしたばかりのプロジェクトにも関わらず、あれよあれよという間に賛同者が集まり、2月末には試作品第一号が完成することになった。
「海外でも地方に足を運んだら、その土地のローカルビールを飲みたいですよね。
ビール全体の消費は減少傾向にあると言いますが、それでもクラフトビールの売り上げが伸びているのは『地元を味わう』という体験に需要が集まっているからだと思います。
ハチ公以外に観光名所の少ないマイナーな街ですが、ローカルなクラフトビールが大館の、そして秋田の魅力を知ってもらうきっかけになれれば嬉しいですね」
季節折々のフルーツを追いかけて、全国の産地をめぐる。
リキュール、スパークリングワイン、クラフトビールと、ローカルのフルーツや農産物とお酒の組み合わせを求めて全国を巡る伊藤さん。
知られざる特産物、旬の時期だけに味わえるスペシャルなものを広く、世界に向けて発信していきたいという。
「次々とアイデアが生まれるのでビール、スパークリングワインとさまざまに手を出していますが、リモンチェッロに端を発する『フルーツとお酒』という太い幹があればこそ。
その幹からさまざまな枝が伸びて、それぞれが小さな実を結んでくれれば、お酒の世界の可能性がもう少しだけ広くなるかな、そんな風に期待しています」
フルーツとお酒の組み合わせは無限である。
フルーツとお酒が奏でるプレイフルなマッチングに、ぜひご注目を!
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株式会社ルーチェ | |
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