「木本硝子」のOEMを利用して
オリジナルのグラスを作ろう!
<後編>

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「木本硝子」のOEMを利用して
オリジナルのグラスを作ろう!
<後編>

#Pick up

Kimoto Seiichi/木本誠一 by「木本硝子」

東京の工場や職人を中心としたものづくりのネットワークを活用し、多彩なグラスを手がける「木本硝子」。後編ではOEMでオリジナルグラスを製作するプロセスをご紹介します。

文:Ryoko Kuraishi/撮影:Kenichi Katsukawa

サントリー「山崎」とダブルネームで製作したグラス。底にそれぞれの社名を刻んだ。

世界中の工場、職人たちと連携してものづくりを行う「木本硝子」。多くのメーカーやブランドに支持されているOEMにも「木本硝子」らしさが表れている。

造り手が得意とする技術やスタイル、繁忙期、おおよその納期までを把握しているから、デザインごとに最適なプレーヤーを選んでものづくりを行える。

だからこそ、クライアントが表現したいコンセプトやストーリーを、そのままグラスに落とし込むことができる。

「OEMのミッションはクライアントの理想のグラスを作ること。

都内の職人や工場とチームを組んでガラスの世界観を伝えるというこれまでの姿勢が評価され、世界の有名メーカーやラグジュアリーブランドから、多数、声をかけていただけるようになりましたし、その多くがダブルネームでの実施です。

『木本硝子』ならではと自負しています」(木本誠一社長)

こちらが三郎丸蒸留所とタッグを組んで製作したウイスキーグラス「The Ultimate Peat Glass」。発売後、即SOLD OUTに。

「理想のグラス」のためのプロセスとは?

最近の取り組みでは、富山県の「三郎丸蒸留所」のオリジナルウイスキーグラスがある。

全国の日本酒蔵を訪ねるなか、「若鶴酒造」でブレンダー兼マネージャーの稲垣貴彦さんと出会ったことが縁となり、「三郎丸のオリジナルウイスキーグラスを作りたいというオファーをもらったそう。

「稲垣さんはバーテンダーなどウイスキーのプロフェッショナル数人を伴い、30個を超えるグラスを持って訪ねて来られました。

うちのショールームはシンクと冷蔵庫を備えており、ここでドリンクをテイスティングしながらグラスの使い勝手を体験していただけます。

ウイスキーのプロたちと何十個ものグラスでテイスティングを重ね、スモーキーなフレーバーを伝えるシェイプやスタイルを検討したのです」

ウイスキーのプロたちのテイスティングコメントから木本さんがキーワードを拾い上げ、そこにリンクするグラスを選び、またテイスティングを重ねる……という具合に詰めていった。

「The Ultimate Peat Glass」を手に、グラス内の飲料の香りの立ち方、余韻の広がり方を説明する木本さん。

ウイスキーグラスで木本さんが重視したポイントは、「香りや舌触りの感じ方、鼻腔や喉の奥で広がる余韻の長さ、口にもっていくスピードや手に持った時の感触」だった。

これらのポイントごとに、グラスの口の広がり方、形状、ステムの長さ、縁の厚み、グラス全体の曲線や重量の理想とするバランスを考えていく。

スタイルやフォルムが決まったらデザイン画を起こし、金型を作ってサンプルを製作する。

サンプルごとに金型を作らなくてはいけないので、形状からオリジナルを作るOEMはそれほど多くないという。

おまけに、「木本硝子」にとってオリジナルウイスキーグラスの製作は初めて。

それでもファーストサンプルで「香りの立ち方、口の中に広がる感触、手にもったときのなじみ方が、思い描いたイメージ通り」とGOが出たというから、さすがである。

「オリジナルウイスキーグラス製作は私たちにとっても新しいチャレンジでしたから、満足していただけるものができたことは大きな喜びとなりました。

酒の魅力やポテンシャルを伝えることがグラスの役割であり、酒の造り手、そしてグラスの造り手たちと手を取り合い、ドリンクの世界観を多くの人に伝えることが私たちのライフワークだからです。

ウイスキーに限らず、さまざまな種類の酒でチャレンジしていきたいですね」

酒蔵、料理人とコラボする体験イベントも随所で開催中。こちらは「NOHGA HOTEL」で行った際の様子。

OEM製作の手順。

OEMでオリジナルグラスを作るには、

1.既存のグラスに名前やロゴをいれる
2.既存のグラスをベースに、色やデザインにアレンジを加える(セミオーダー)
3.金型から制作するフルオーダー

の3種類がある。

オリジナルのデザインで、世界で唯一、自分の店だけのグラスを作りたい!となると納期・予算はどのくらいになるのかというと……?

「フルオーダーの場合、ロットは200個から。

デザインや形状により幅はありますが、金型の制作に数10万円、さらにサンプル制作で10万円前後がかかります。

制作期間はおよそ半年です。
(※編集部注:金額や制作期間は、工場や職人の状況によって大きく変動します)」

オリジナルのグラスをデザインから起こして製作したいという場合は、ラフやデザイン画を用意、予算や納期を明確にして「木本硝子」にアポイントを取るのがよさそうだ。

上野「NOHGA HOTEL」で開催した、グラスとドリンクと食事の相性を体感してもらうトリンプリングイベント。「NOHGA HOTEL」で使われているオリジナルグラスも「木本硝子」が製作した。

「ラフやデザイン画を確認し、物理的にできないことはその旨をお伝えしますが、それぞれのデザインに込められたストーリーを具現化する方法を考えるのは僕たちの仕事。

幅広い職人や工場と相談しながらベストなグラスを作りますので、できる・できないを考えずに理想のグラスを描いてみてください」

また、ショールームではカクテルを作ってテイスティングしながら、たくさんのシェイプ、デザインから好みのものを絞り込むことができる。

酒蔵もワイナリーも飲食店も、多くのクライアントがここで自分たちのドリンクをテイスティングしながらグラスを品定めしているそう。

「ぜひショールームで、実際の使い心地や価値を感じていただき、グラスへの理解をいっそう深めていただければと思います」

グラスによってドリンクの個性を引き立てることで、食のシーンをさらに豊かに彩りたいという木本社長。

メイド・イン・トウキョウのグラスの魅力を、ショールームでぜひ体験してみてください!

SHOP INFORMATION

木本硝子
東京都台東区小島2-18-17
TEL:03−3851−9668
URL:http://kimotoglass.tokyo/

SPECIAL FEATURE特別取材