
PICK UPピックアップ
世界中が熱視線のメスカルを、
日本人女性が初プロデュース!
<後編>
#Pick up
平松”コティ”琴絵 by「エルフジヤマ」
文:Ryoko Kuraishi
フリアンさんおよび彼のファミリーと、蒸留所のマエストロを訪ねた際の一コマ。
メスカル業界の一大ファミリー、ファビラ・ファミリー。
その一員であるフリアン・ゴメス・ファビラさんから、コティこと平松琴絵さんに思いもよらぬ申し出があったのは、2020年3月のことだった。
コロナ禍によって自粛ムードが高まり、プロジェクトも一時ストップしていた。
コティさんの気分も落ち込んでいたさなかのことである。
「世界的な事情から当分メキシコに行くことはできないと悟り、オリジナル・ブランドをほぼ諦めかけていたときでした。
フリアンが、私の理想にぴったりのメスカルを造るマエストロを紹介してくれると言ってくれたのです。
以前、フリアンに試飲させてもらった『ハバリ』というアガヴェを使ったメスカルを気に入ったことを彼は覚えていてくれたんですね。
情熱とプライドを持ってものづくりを行うマエストロのハバリ・メスカルを紹介するから、それを私のプライベート・セレクションとして発売しないか。
オリジナル・ブランドは難しいけれど、プライベート・セレクションというチャレンジならこの状況でも可能だから、そんな申し出でした」
初めて手掛けるメスカルは、ハバリの個性を引き出しつつ、あたたかさ、やさしさ、奥行き感、たくましさを感じさせる味わいにしたいと考えていたというコティさん。
フリアンさんは、そうした思いも汲んでくれるというのだ。
左は、フリアンさんが「マソ」という手法でアガヴェを潰しているところ。右は、蒸留所のタテマドの様子。地面に穴を掘り、熱した火山岩と薪とでアガヴェを蒸し上げる。 この独特の製法(加熱方法)も、同じアガヴェを原材料とするテキーラとの違いである。
フリアンさんによれば、はじめてオアハカで出会った時から、オアハカの土地の伝統や食文化に触発され、新しい料理やカクテルを次々に考案するコティさんの情熱やポジティブさに思うところがあったようだ。
和食とメスカルをペアリングする。日本とメキシコの素晴らしい食文化が、メスカルを媒介にして新しいカタチで出合う。そんな未来にも大いに興味を抱いたという。
そこでとりわけユニークなハバリのメスカルを、コティさんのプライベート・セレクションに提供することにしたのである。
ハバリは、メスカルに用いられる品種の中でもとりわけ稀少だ。
成熟までに要する期間は12〜15年。
サポニンが多く、生産過程で多くの泡が出るため、造り手にとって扱いにくいアガヴェだという。
こちらが「LA MEDIDA JABALI Koty's Selection For Japan」¥17,600。購入はこちらから。Photo by Kenichi Katsukawa
希少なアガヴェ、ハバリを用いたメスカル
コロナ禍にあって、フリアンさんとオンラインでやりとりしながらの作業となったが、ついにコティさんのお眼鏡にかなったメスカルが日本に届いた。
「48度というアルコール感を感じさせない滑らかな喉ごし、ミントを思わせる爽快さとフローラルのブーケのような香りの余韻。
時間が経つほどにさまざまなニュアンスが顔をのぞかせ、何杯飲んでも飲み飽きない。
奥行きのある、まさに『母性』を感じさせるメスカルでした」
一方、フリアンさんもこのメスカルのペアリングのポイントについてコメントを寄せてくれた。
「乾いた土、灰、干し草、麦などの要素を感じさせる、とても味の良いハバリです。
私だったらカリンのペーストやメキシコのカッテージチーズ(コティハチーズ)を合わせたいですね。
軽やかなフレーバーがあるので、グリル料理なら干し肉のトラユーダ、牛のささみのステーキ、ジャーキーのタコスなど、重すぎない一品とのペアリングがおすすめです」
メスカルで、メキシコの文化の一端を伝えたい
希少なアガヴェを使った、完全手造りのメスカルのため、84本限定のコレクションとなったが、今後も素晴らしいアガヴェ、素晴らしいマエストロとの出会いをそのまま「Koty's Selection」としてシリーズ化する予定だ。
「メキシコの文化を伝えるという大きな夢の前では小さな一歩かも知れませんが、この先も歩みを止めず、可能な限りチャレンジしていこうと思っています」
SHOP INFORMATION
![]() |
![]() |
---|---|
エルフジヤマ | |
東京都港区麻布十番1-6-4 アニバーサリー2F TEL:03-6804-5106 URL:http://www.elfujiyama.com |