PICK UPピックアップ
カカオ豆はフルーツだ!
香りと食感を楽しむ新カカオ体験。
<後編>
#Pick up
田淵康佑さん by「Minimal 富ヶ谷本店」
フレーバーの味わいを食べ比べられるセットも販売している。3種セット¥2,484〜。
前編でもお伝えしたように、「Minimal」ではカカオ豆のフレーバーを大きく3つに分類して提案している。
後編ではこのフレーバーについて、もう少し詳しくご紹介していこう。
「まずは『FRUITY』、これはベリー系の果実を思わせるコックリと熟した果実の酸味から、白ブドウのような甘酸っぱさ、柑橘系を爽やかな酸味まで様々なフレーバーがあります。
中には、ピーチヨーグルトのような、乳酸を感じさせるまろやかで甘酸っぱい味わいも。
より乳酸の働きを感じさせる甘酒、あるいはミルクのような味わい。
造りたてのどぶろくのような味わいの変わり種もありますね」
定番のタブレットのほか、チョコレートスプレッドなども。
「『NUTTY』は、いわゆる板チョコによく使われるフレーバーで、ナッツやアーモンドを思わせる香ばしさが特徴です。
その中にも生ナッツのような丸みがあったり、ビターで濃厚なキャラメル感があったり、香ばしさの中にも個性があります」
面白いのは香りに特徴があるという「SAVORY」。
「フローラル、スパイシー、ウッディ、ハーバル……カカオ豆の香りの多彩さはまるでワインのよう。
複雑な香りと後味を持つ『SAVORY』は、特にお酒が好きな方に好評です」
「Minimal」ではこれまでLAGAVULINやTALISKER、Hennessy VSOP、Ron Zacapaといったハードリカー、さらにはビオワインから日本酒まで、さまざまなアルコールとのペアリングイベントを行ってきた。
ブルワリーレストラン、「T.Y. Harbor」とはカカオを使ったオリジナルクラフトビールをリリースしたこともある。
店頭では試食が可能。好みの味わいを探ってみよう。
さて、これまではシングルオリジンのカカオ豆にこだわったチョコレートを販売してきた「Minimal」だが、9月からオリジナルブレンドのチョコレートをスタートさせた。
「シングルオリジンにはシングルオリジンの良さがありますが、ブレンドはカカオ豆の表現の可能性をさらに広げる一手段だと思っています。
ウイスキーの世界でも、マスターブレンダーは自分たちのブランドの味わいを追求するためにブレンドを行いますよね?
僕たちは産地による味わいの違いを強調するためにシングルオリジンのカカオ豆を使ってきましたが、そろそろ個性的なカカオ豆を組み合わせることで自分たちの味わいを表現してもいいんじゃないか、そんな風に思うようになりました」
カカオ産地の生産者の様子。「Minimal」チームは実際に何度も足を運んでいる。
シングルオリジンの豆を使ったチョコレートに比べ、ブレンドのチョコレートはより、作り手の技術が問われる。
それぞれの豆の個性を殺さぬよう、かつ消費者の嗜好や味わい全体のバランスに注意して味わいを重ねる、それは繊細な作業だ。
「僕たちは実際に産地へ出かけ、生産者を訪ねています。
驚いたのは、カカオ豆の生産者は誰も製品となったチョコレートを口にしたことがなかった、ということ。
彼らは自分たちがどんなものの原料を作っているのかもわからないまま、ただ値段がつくというだけでカカオを生産していました。
自分たちの作っているものに誇りを持てるような生産者が現れるようになったのは、ごく最近のことなんです」
天日で乾燥させるカカオ豆。
田淵さんの願いは、コーヒーやワインのようにチョコレートが嗜好品として認知されること。
ウイスキーに、消費者の嗜好に寄り添えるブレンデッドやシングルカスクがあるように、コンビニで買える100円の板チョコからショコラティエが仕上げたチョコレート、カカオ豆の選別からブレンドにまでこだわったBean to Barのチョコレートがあってもいい。
消費者が、その日の気分や好みでチョコレートを選べるように。
「チョコレートの向こう側に奥深いカカオの世界が広がっている、そんな風に産地に思いを馳せてもらえたら、こんなに嬉しいことはありません」
SHOP INFORMATION
Minimal 富ヶ谷本店 | |
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東京都渋谷区富ヶ谷2-1-9 TEL:03-6322-9998 URL:https://mini-mal.tokyo |