カカオ豆はフルーツだ!
香りと食感を楽しむ新カカオ体験。
<前編>

PICK UPピックアップ

カカオ豆はフルーツだ!
香りと食感を楽しむ新カカオ体験。
<前編>

#Pick up

田淵康佑さん by「Minimal 富ヶ谷本店」

こっくりとしたチョコレート・フレーバーが恋しくなるこのシーズン。チョコレートの原料であるカカオ豆の奥深い世界を、富ヶ谷「Minimal」からお届け!

文:Ryoko Kuraishi

チョコレートドリンクも楽しめるMinimal 富ヶ谷本店。

“Bean to Bar”をコンセプトに掲げるチョコレート専門店「Minimal」。
“Bean to Bar”とは、豆の選別、仕入れから加工、製造、販売までを一つの工房内で仕上げる、新しいスタイルのチョコレート製造のスタイルのこと。


数年前、アメリカで“Bean to Bar” スタイルの工房が生まれ、よりクオリティの高いチョコレートが製造されるようになると、その流れはチョコレートの本場ヨーロッパや日本にも飛び火した。


ブランドマネジャーの田淵康佑さんは、大学の同級生だった山下貴嗣代表、イタリア三つ星店のバールで働いたキャリアを持つ製造責任者の朝日将人さんとともに「Minimal」を立ち上げた。

コーヒーに比べるとカカオ豆の研究はまだ始まったばかり、という田淵さん。

「Minimal」のチョコレートは、甘みの中にも酸味や独特のコク、さわやかな香りに加えてザクザクとした口当たりを感じさせる。
甘くてコクがあり、なめらかな口どけを持つ、従来のチョコレート観を覆すものだ。


この独特の食感は、調理に用いる器具を使って豆を磨砕(豆を砕く工程のこと)しているから。
カカオ豆をどのくらいの大きさに磨砕するのか、それは1000分の1ミリ大きさが変わるだけで味わいも香りも、溶け出すカカオバターの分量も変化するという、非常に繊細なものだ。


「カカオ豆の成分の半分以上はカカオバター。
口の中でなめらかになる官能的な口どけは、カカオバターに由来するものです。
従来のチョコレートはこの口どけを追求するがために、カカオ豆本来の香りが置き去りにされてきてしまったと思います」

手前が南国のフルーツであるカカオポッド。

ミルクや乳化剤など、一般的なチョコレートに加えられる添加物を省き、フレッシュなカカオ豆本来の味と香りを楽しんでほしい!
そんな思いから、Bean to Barスタイルのチョコレート作りを始めた。


そもそもカカオとはなんだろう?


「カカオは、カカオポッドという南国の果実の中にある種のこと。
果実を割ると白い果肉と50個ほどの種が現れますが、その種を発酵させて乾燥させるとチョコレートの原料として使えるカカオ豆になります。
白い果実はライチのような甘みととろりとした食感があっておいしいのですが、これをそのまま豆の発酵に使います。


発酵のプロセスにはバナナの葉についた酵母菌を使います。
木の箱にカカオ豆を入れてバナナの葉で蓋をすると酵母の働きによりアルコールが発生するので、2日ほどそのまま発酵させておきます。
バナナの葉を取り、空気を含ませるとアルコールに乳酸菌、酢酸菌などが働き、さらに発酵が進みます」

カカオポッドを開くと、このように白い果実が現れる。味わいはライチのよう。

ここ数年、東京でもシングルオリジンのコーヒー豆はすっかり定着した感があるが、カカオ豆もコーヒー豆と同様だという。


「カカオはコーヒー豆、あるいはワインと同じです。
まったく同じ畑でも年によって味わいが異なりますし、エリアが同じでも山を一つ超えるだけで、その風味はまったく別物に。
カカオ豆にもテロワール、つまり産地や豆の種類、土壌、生産者の数だけ個性があるということなのです」


「Minimal」ではこうした豆の個性を強調すべく、チョコレートには最低限のものしか加えない。
つまりカカオ豆と砂糖だけ、である。

Minimalで扱っているのは世界各地から集められたカカオ豆だ。

田淵さん曰く、カカオで注目すべきは、フレーバー。


「Minimal」ではNUTTY、FRUITY、SAVORYという3つのフレーバーごとにチョコレートを提案している。
これはベースとなるカカオ豆のフレーバーに由来する。


豆本来の個性に加え、産地の土壌、発酵のプロセスの違いが豆の味やフレーバーを左右する。
チョコレートに仕上げる際は、このフレーバーを際立たせることがポイントになる。


そしてそのフレーバーは、アルコールとペアリングしたり、あるいはカクテルの副材料にチョコレートを使用したりする場合にも要になるのだ。


はてさて、カカオ豆をカクテルに仕立てる際の極意とは?
続きは後編にて!

SHOP INFORMATION

Minimal 富ヶ谷本店
東京都渋谷区富ヶ谷2-1-9
TEL:03-6322-9998
URL:https://mini-mal.tokyo

SPECIAL FEATURE特別取材