ユニークなシグネチャーカクテルで
メキシコと日本を橋渡し。
<前編>

PICK UPピックアップ

ユニークなシグネチャーカクテルで
メキシコと日本を橋渡し。
<前編>

#Pick up

Kawano Narumi /河野成未 by「RUBIA」

今月紹介するのは、渋谷にオープンしたメキシカンダイニングが提供する、メキシコらしいエッセンスを取り入れた独創的なカクテルの数々。メキシコと日本をフュージョンしたレシピのこだわりとは?!

文:Ryoko Kuraishi

2階のラウンジは単体利用が可能で、別のレストランでの食事の前後にユニークなカクテルを味わいに来る人も少なくない。 逆に1階のダイニングではワインとのペアリングを勧めている。

渋谷・スペイン坂に、メキシコのスピリッツをつかったカクテルと、モダンなメキシカンを楽しめるファインダイニング、「RUBIA」が誕生した。


オーナーを務めるのは「CASA DE SARASA」というカジュアルなメキシカンレストランを手掛けるDJのSARASAさん(トップ画像)。
実は「タコス協会」代表理事でもある。


SARASAさんはDJプレイのために訪れたメキシコで、タコスを始めとするこの国の食文化の豊かさに開眼。


メキシコ料理といえばファストフード的なタコスのイメージを抱く人も少なくないようだが、食材の豊かなメキシコでは、タコスと一口に言っても地域によって作り方、具材、味わいが異なる。


その土地で取れた旬の食材を使い、丁寧に調理される。そんなメキシコ料理の滋味深さに魅了されたとか。

メキシコの食文化×日本の食材を、ミニマルに表現。

「そんな豊かな食文化を日本に伝えたいと思い、2017年に『CASA DE SARASA』をオープンしました。

『CASA DE SARASA』はカラフルでにぎやかで、食堂的なイメージの店ですが、フュージョン・スタイルの食を表現したいと思うようになったこともあり、この春、『RUBIA』をスタートしたんです。

1階がダイニング、2階がカクテルラウンジになっており、ラウンジではテキーラやメスカル、ダシリリオンから造られるソトルを使ったオリジナルカクテルを提供しています」


メキシコの伝統的な調理法やスタイルに、日本の食材を取り入れた、コンテンポラリーなカクテルや料理が身上の「RUBIA」。


SARASAさんが「RUBIA」のコンセプトにおいてこだわったのが、ミニマリズムを貫くこと。


無駄を削ぎ落とし、さまざまな要素を研ぎ澄ませ、そのなかでメキシコの食のエッセンスを表現する。それがチャレンジだったとか。

スモーキーかつアルコール感高めのシグネチャーカクテル、「RUBIA」¥1,980。ガーニッシュはコリアンダー。メキシコ料理ではタコスの薬味やサルサソースに欠かせない食材だ。さわやかな香りがなんともメキシコ風味。

「加えて、陳腐でありふれたものにならないよう、心を配りました。

私としては『RUBIA』を日本とメキシコの食文化の架け橋にしたいと考えているので、たとえばドラゴンロールを置いているアメリカのスシレストランのような見え方は避けたかった。

メキシコにとっても日本にとっても新しさを表現するカクテルや料理であるけれど、けっして邪道にはならないように」


2国の食文化への敬意を持って、そのギリギリを追求するのが「RUBIA」のスタイルなのだとか。


それではさっそくカクテルラウンジへ。SARASAさん自慢の、メキシコ×日本のフュージョンカクテルを紹介していこう。


「アガベのスピリッツやソトル、メキシコの食卓でおなじみのコーン茶やハイビスカスティー(アグア・デ・ハマイカ)を使いつつも、麦焼酎やシソなどの和のエッセンスを加え、香りや余韻に日本らしさを添えています」というのは、バーテンダーの河野成未さん。

ラウンジのバーテンダーは河野成未さん。広島のオーセンティックバーで修業した後、上京。海外客も多い東京のバーでさらに4年の経験を積み、現職。 ちなみにSARASAさんも河野さんも金髪。店名のRUBIAはスペイン語で「黄金」の意だが、転じて「金髪」の意味もある。

ソトルにメスカルに……アガベスピリッツ通からビギナーまでを魅了するラインナップ。

「もともとテキーラは好きでしたが、最近、メキシコではもっぱらメスカルを飲んでいます。

メキシコらしいお酒を紹介したい気持ちはありつつも、メキシコのドリンクに馴染みのない方にいきなりメスカルを勧めるのは、少しハードルが高い。

そこで親しみやすい和の香りや要素を加えることで、異国感を演出しつつも日本人に馴染みやすいカクテルを揃えました」(SARASAさん)


たとえば、店名を冠したシグネチャーカクテルの「RUBIA」は、とうもろこしの香ばしさが印象的な、ソトル・ベースのカクテル。


とうもろこしを使ったのは、これがトルティーヤの材料でありメキシコの主食であるから。とうもろこしはこの国の食文化のシンボル的存在なのだ。

そこに加えたのが麦焼酎だ。


え、麦焼酎?と思いきや、麦由来の、とうもろこしとはまた風味の異なる香ばしさが重層的なアクセントになっている。


「さらにパイナップルをグリルして甘みを引き出し、それをジュースにして加えています。

グリルしたことで甘みと香ばしさがより引き立ちますが、これはアルパストール(豚肉のグリルを具材にしたタコス)に焼いたパイナップルを添える現地のレシピからヒントをもらいました」(河野さん)



後編ではさらに、ユニークなシグネチャーカクテルを紹介します!


後編に続く。

SHOP INFORMATION

RUBIA
東京都渋谷区宇田川町13-4 コクサイビルC館
TEL:03-6416–5253
URL:www.instagram.com/rubia_tokyo/

SPECIAL FEATURE特別取材