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今月のバーテンダー

大麦麹×和のボタニカル!
国産スピリッツTUMUGIのこと。
<前編>

TUMUGI/三和酒類

17.08.01

宇佐市の高台、水のおいしいエリアにある三和酒類。

ここは大分県宇佐市。
国東半島の付け根に位置し、全国約4万の八幡神社の総本宮である宇佐神宮を擁する街だ。
ここで生まれるのが、日本発のカクテルベーススピリッツ、TUMUGIである。


リリースから2年、手がけるのは本格麦焼酎の「いいちこ」で知られる三和酒類。
仕込み及び蒸留は本社内の研究施設の一角にて行われている。


「私たちのモノ(酒)づくりの原点は麹文化。
本格焼酎と同様、日本ならではの麹をベースにしたカクテルベースのスピリッツを造ってみよう、そんな思いから生まれたのがTUMUGIです」


そんなTUMUGI誕生の背景を話してくれたのは開発担当者の岡本晋作さん。
イギリスにジン、メキシコにテキーラ、中南米にラム、そしてロシアにウォッカがあるように、日本にもご当地スピリッツを!
というわけで、三和酒類ではTUMUGIを“WA(和)+SPIRITS=WAPIRITS”と呼んでいる。

いいちことは別の、研究・開発を主とする棟で造られている。普段は非公開だが、特別に案内してもらった。

麹とは味噌や醤油、酢など日本古来の発酵食品に欠かせない微生物のこと。
デンプンをブドウ糖に、たんぱく質をアミノ酸に変える働きを持つこの麹が、和食文化の根幹を支えている。
日本独自の気候風土により自然発生した、世界でも類を見ない有用微生物ということで、麹菌は「国菌」(!!)に指定されているとか。


TUMUGIの原料となるのは良質な二条大麦。
大麦の持ち味を活かすべく、まず、手間暇かけて大麦麹を造ります。
糖化(=大麦のデンプンを麹が糖分に変える)と発酵(=酵母の作用により、糖分をアルコールと炭酸ガスに変える)を一度の行程で行う並行複発酵、豊かな香りを引き出す単式蒸留と、TUMUGIにはいいちこで培った技術が惜しみなく注がれています。


こうしてできあがった、麹菌が育んだスピリッツ(本格麦焼酎)には、麦の香りや甘み、ふくよかな味わいが感じられます。
この原酒に、厳選した和のボタニカルを加えるのがTUMUGIなんです」


この原酒に浸漬するのは地元・大分のかぼす、日田市のミント、静岡・三カ日のみかん、四国のゆず、そして瀬戸内のレモン。
開発段階では全国の産地から20〜30種ほどの素材を手に入れ、材料のカット、量、浸漬時間を変えて何度もテストを重ねた。
素材選びの決め手となったのは、TUMUGIの主役でもある麹の良さを引き立てるボタニカルの香りと風味だったという。

こちらがTUMUGIの開発担当、岡本さん。

「素材を決めるにあたっては、実際に産地に足を運び、生産者とのやりとりを重ねました。
TUMUGIのこだわりは、それぞれの旬の時期に収穫された、フレッシュな素材だけを使うこと。


ドライにするともちはいいですが、風味が変わってしまいます。
フレッシュなボタニカルだからこそ、素材の良さを引き出すことができるんです。
レモンなら12月から1月にかけて、果実の色が青から黄色に変わった頃にここに運ばれてきます。
青いレモンと黄色のレモンでは味も香りも全く異なるから、どのタイミングに収穫してもらうかも大切なんですね」


ミントは生をそのまま使うが、問題は柑橘類だ。
果皮の内側にある白い綿状(あるいは繊維質)の部分を一つ一つ手作業で丁寧に取り除き、精油が含まれる外側の果皮だけを使う。
これ、実はかなりの人手を要する作業だったりする。
一時期、三和酒類の新入社員研修はこの内皮剥きだったとか…… 。

レモンの皮の刻み方を変えて漬け込み、その浸漬具合をテストしている。より良いものを目指し、常に試行錯誤中。

とにかく、こうして得られたボタニカルを、本格麦焼酎の原酒に個別に浸漬させる。
個別に行うのは、素材によって引き上げる時間がまちまちだからだ。


「ボタニカルの素材を引き上げたら、今度はそれぞれの原酒を蒸留していきます。
じっくり蒸留させることで芳しい香りを引き出すんですね。
さらに、素材ごとに蒸留したボタニカルの原酒と、麹の豊かな味わいを感じさせる全量大麦麹仕込みの焼酎原酒をブレンドしたら、TUMUGIの完成です」


現在のラインナップは、5種のボタニカル原酒と本格焼酎を合わせたレギュラーと、高知産の土佐文旦だけをボタニカル素材に用いた”BUNTAN”、またホワイトオークの新樽で約40日間、馴染ませた“NEW OAK CASK STORAGE"の全3種。
いわゆるフレーバードウォッカと異なるのは、香りだけでなくボタニカルの味わいと麹の風味を感じさせるところだろうか。


「甘みと酸味のバランスに優れた土佐文旦は、他の柑橘類より旬が短いのです。
その分、希少性が高いのですが、同じように果皮だけを原酒に数日間浸漬させ、1回だけ蒸留します。
こうして文旦特有のはじけるような香りと味わいを引き出すことができるようになりました」

こちらは摘んだばかりのフレッシュなミント。大量に投入し、短時間で引き上げるのがポイント。

“NEW OAK CASK STORAGE"は麹が醸す豊かな味わいをもっと強調したくてはじめたもの。
本来、日本の酒文化にエイジングという概念はないのですが、“馴染ませる”という考え方はあるんですね。
例えば産地から江戸や京都へ運ぶ間、できたての酒が貯蔵用の容器の中で馴染んでいったわけです。
”“NEW OAK CASK STORAGE"はそうした考え方を取り入れて造ってみました」


開発担当者である岡本さん自身、TUMUGIのカクテルを愛飲中。
さて、お勧めは?
「レギュラーなら、まずはソニックスタイルで。
出張などで地方の都市に出かける場合は、その土地の旬のフルーツを使ったTUMUGIカクテルをオーダーすることも多いですね。
特に”BUNTAN”は合わせるフルーツのレンジが広いです。
冬は、TUMUGIの香りが引き立つお湯割も面白いですよ。


“NEW OAK CASK STORAGE"はよく冷やしてストレートで飲むのが好み。
最近、TUMUGIでツイストしたマンハッタンを試したのですが、これもかなりいい感じでした。
バーテンダーの皆さんにいろいろなレシピを開発してもらえたら、造り手冥利に尽きますね」


後編ではTUMUGIの“母”とも言える麹について、さらに原酒造りについてご紹介しよう。


後編に続く。

Bar Information

WAPIRITS TUMUGI
 
大分県宇佐市山本2231-1
TEL:0978-32-3737
URL:http://wapirits.com

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