お酒の美術館:バーのフランチャイズ化で
目指せ、全国1000店舗!
– 前編 –

PICK UPピックアップ

お酒の美術館:バーのフランチャイズ化で
目指せ、全国1000店舗!
– 前編 –

#Pick up

Nagata Takashi/長田隆志 by「お酒の美術館」

全国で87店舗を展開するバー、「お酒の美術館」。コンビニや駅&空港構内への出店と、チャージ無料&1杯¥500〜という驚異のリーズナブルプライスで、新たな層を開拓している。

文:Ryoko Kuraishi

株式会社NBGの取締役事業統括本部長、長田隆志さん。

2017年、京都・烏丸三条にオープンした「お酒の美術館」。

その第1号店オープンからわずか7年で全国87店舗(2024年3月現在)に拡大と、存在感を増している。

「お酒の美術館」の特徴は、ウイスキーの幅広い品揃えと、チャージ無料&1杯¥500〜という価格設定。

とくに、休売・終売となったジャパニーズウイスキーやスコッチウイスキーなど、希少なオールドボトルのラインナップには目を見張るものがある。

最近ではコンビニエンスストアに併設する店舗や駅構内・空港内の店舗など、これまでバーに縁のなかった層がアクセスしやすいロケーションにも展開している。

近鉄難波駅構内にある店舗。改札内の店舗はドアのない造りで、移動中にふらりと立ち寄りたくなる。待ち合わせ場所としても機能しているよう。

「『お酒の美術館』は『あらゆるシーンにバー文化を』という理念を掲げ、フランチャイズ展開を行っています」というのは、「お酒の美術館」を運営する株式会社NBGの取締役事業統括本部長、長田隆志さん。

「別事業において特殊な方法でオールドボトルを仕入れているため、このような良質なお酒をたくさんの方に楽しんでいただく場所を作ろうと、2017年に1号店を構えました。

烏丸三条の店舗は旗艦店という扱いなので面積は
50坪、料理もしっかり提供するというスタイルをとっていますが、当初から日本初の”バーのフランチャイズ”という戦略を立てていました。

3店舗目以降はこの戦略に乗っ取り、

1.人目につきやすい&入りやすい路面店の立地。
2.さまざまな層の利用を想定した15時オープン。
3.ワンオペで回せる8坪という規模感&ウイスキー主体のスタイル。

というスタイルで展開しています」

新幹線「のぞみ」にバーが出現?!新幹線の車両1両まるごとを貸し切って行われた「お酒の美術館」のポップアップバーイベント、「特別オフ会」。東京駅・京都駅を結ぶ2時間12分だけ開業した。

フランチャイズオーナーの多くが飲食業界未経験。

こうした戦略は、これまでバーを利用していない層をターゲットにしたもの。また、フランチャイズのオーナーも飲食業界ビギナーが多いことが特徴だ。

「現在のオーナーの多く(9割!)は飲食業界未経験。

加盟しているのは、副業として投資する会社員や、脱サラしてオーナー店長として開業する個人事業主が42%。

『ワンオペで回せる』スタイルにしたことで、このようなオーナーでも参入しやすくなります。

新規事業として取り組む法人、アジア人を中心とした外国人も増えてきています」

一方で、バックバーには愛好家を唸らせるボトルを揃えている。

このようにウイスキー主体のコンテンツとしたことは、人材確保の面でも理にかなっている。カクテルを提供するとなると提供側に高いスキルが求められる。新規参入のハードルはいきなり高くなる。

「新規オープンに際しては、物件やボトルのラインナップ決めを私たちが全面的にバックアップします。

ボトルの品揃えについては、『お酒の美術館』としてなるべく種類を多く揃えてほしいので、250種以上・350本以上を目安に。

もちろん、運営していくなかでオーナーの個性が出てくるのでボトルラインナップは変わってきますが、それもフランチャイズのおもしろさだと考えています」

「特別オフ会」のための乗車券がこちら。まさかの「全席飲酒可」の注意書きが!

コンビニバー®️誕生のいきさつ。

「お酒の美術館」といえば、ユニークなコンビニ併設店、「コンビニバー®️」を思い浮かべる人も多いはず。海外の一部の都市で見受けられるこのスタイルも、実は偶然生まれたものだ。

「博多駅前にある某コンビニのフランチャイズオーナーから、店舗改装のタイミングに際して『お酒の美術館』を導入したいと問い合わせいただいことがきっかけ。

『コンビニの中にバーがあったらおもしろいね』というカジュアルなノリで進めましたが、これがうまくいきました」

コンビニ内のイートインスペースを立ち飲みバーとして運用するのは国内初の試みだ。

これが想像以上に反響があった。受けた理由は、角打ちとは一線を画す重厚感ある内装と本格的なバックバー、そしてコンビニのムードが生み出すギャップだろう。

「コンビニの気軽さがありながら、本格的なバーで飲むというシチュエーションを楽しめます。

フードはコンビニからの持ち込みが可能で、バーで提供するのはお酒のみ。実際に稼働を始めてみると、おつまみの売り上げがアップするというシナジー効果も生まれました」

オールドボトルの品揃えは業界トップクラス。

生活のあらゆるシーンにバーを!

近年増えているのは、駅構内や空港施設内への出店だ。

‘21年4月に近鉄難波駅に出店すると大きな反響があった。昨年3月には熊本空港内、今年2月には長崎空港内にもオープン。

「交通インフラ上に店舗を構えることは、私たちのコンセプトである『生活シーン』に直結すします。

地元のお客さまはもちろん、観光、出張、帰省などで駅・空港を利用する方にもアピールできるいい機会だと捉えています」

今年3月にはついに新幹線の中にもバーを出店!

のぞみの1両を借り切ってバーカウンターをしつらえ、東京駅・京都駅を結ぶ2時間12分だけ開業するポップアップバーを展開した。

……というユニークな戦略で拡大を続ける「お酒の美術館」。目標は、2030年の1000店舗展開だ。

「コーヒーチェーンで考えるとドトールは1280店舗、スターバックスは1880店舗。『生活シーンに密着』を考えると、このくらいの数は必要だと考えています。

もちろん、店舗数を競うのではありません。

日本が誇る良質なお酒を気軽に味わう、多くの人にその魅力を伝える。ライト層を取り込んで『お酒の美術館』が目指すのは、バーシーンの裾野を広げること。

カクテルバー、オーセンティックバーに至るバー文化の入り口として『お酒の美術館』が機能することで、開かれたバーカルチャーが醸成されればと考えています」

後編では、「お酒の美術館」が始めたプライベートブランドについてご紹介します!


後編に続く。

SHOP INFORMATION

お酒の美術館
(三条烏丸本店)京都市中京区御倉町79 文椿ビルヂング 2F
TEL:075-746-6909
URL:https://osakeno-museum.com

SPECIAL FEATURE特別取材