バーから考えるサステナビリティ
「REISHI GIN」が、リユースボトルプロジェクトを始動!
<後編>

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バーから考えるサステナビリティ
「REISHI GIN」が、リユースボトルプロジェクトを始動!
<後編>

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服部竜大/Hattori Ryuta by「REUNION(WWWE)」

びんのリユースを通じてバー業界でのサステナビリティを考える10月、後編には日本のスピリッツブランドとして初めてリユースボトル採用を決めた「REISHI GIN」の事例をご紹介。

文:Ryoko Kuraishi

お揃いのホワイトラベル&キャップをまとった、さまざまな形状・色合いのびんがずらり。10月から販売している「REISHI GIN w/ REUSED BOTTLE」各¥6,600。

10月は、経済産業省ほか関係省庁が定めた「リユース・リデュース・リサイクル(3R)推進月間」。

「REISHI GIN」では、10月1日より自社および他ブランドのボトルを再利用して販売する「リユースボトルプロジェクト」をスタートしている。


「REISHI GIN」は今春ローンチしたばかりの新しいスピリッツだ。

「人生を楽しさで彩る MAKE IT COLORFUL」をコンセプトに掲げるウェルネスブランドのREUNIONが手がけるもので、地球環境にも人にもやさしいことを目指し、農業から酒造りに取り組んでいる。

「“地球と人に優しい”スピリッツとは、水や土、土壌の微生物が健やかな環境で育まれると考えており、ベーススピリッツの原料である黄金千貫をリジェネラティブ農業(環境再生型農業)で栽培。

製造中に発生したCO2は土壌に還してカーボンニュートラルに取り組んでいます。

また、キーボタニカルに国産の霊芝を採用するなど、人のウェルネスにもアプローチしています」(ファウンダー兼CEOの服部竜大さん)

びん回収事業者の三裕に集められた、さまざまなブランドの500mlびん。ここから洗びん事業者のもとで洗浄するびんを選別する。

採用理由は、「環境に最も優しい容器」だから。

「“おいしい”や“たのしい”を永続的に続けられる仕組みづくり」をミッションに掲げるREUNIONでは、ブランド設立時から環境負荷を抑えられるリユースボトルの採用を構想していた。

「『そこにびんがある、だから洗ってまた使う』というシンプルな発想が始まりでしたが、リユースボトルを使えばボトルにかけるコストを下げられるし、私たちの『地球環境に配慮したものづくり』というメッセージの発信にもなります。

また、焼酎以外の日本のスピリッツブランドでリユースボトルを採用している例はほかになく、スピリッツ業界でもリユースの取り組みが広がればいいなという想いがありました。

こうした理由から、社内ではいち早くリユースボトルプロジェクトに取り組みました。

たとえば、『REISHI GIN』は真っ白なメインラベルとネックラベル、キャップで構成されるビジュアルデザインを採用していますが、これはさまざまな形状や色のびんに合うデザインだから。

リユースボトルを使うことを念頭に、このホワイトラベルを採用しました」


ローンチから遡ること1年。リユースボトルのリサーチに取り掛かり、業界の関係者に紹介してもらったのが洗びん事業者のトベ商事だった。

バックバーに並ぶ「REISHI GIN w/ REUSED BOTTLE」。同じラベル・異なる形状のびんが印象的だ。

さっそくREUNIONチームはトベ商事に赴いた。

「それまでは回収事業者、洗びん事業者という存在さえ知りませんでした。

最初のアポイントから戸部会長が丁寧に対応してくださり、現代のリユースフローから日本のリユースびんの歴史、そしてSDGs時代のリユース事情など説明していただきました。

あらためて洗びんの工程を視察して、新規参入の僕たちにはハードルが高いけれど、これに取り組む価値があると感じました」

「リユースボトルプロジェクト」ではまず、これまでに販売してきた「REISHI GIN」のボトルやREUNIONがリスペクトする他ブランドの500mlの空きびんを、びん回収事業者やバー、飲食店にて収集する。
次にトベ商事の洗びん工場で洗浄し、酒蔵で検査・再充填・ラベリングを行い、「REISHI GIN w/ REUSED BOTTLE」として販売する。

先月、第1弾として150本を発売。自社ECサイトではすぐさま完売したが、協力パートナーである恵比寿「unknown」や世田谷代田「Quarter Room」、熊本「夜香木」などのバーでも取り扱ってもらっている。

バックバーの並びのなかで、ネックが太い・細い、茶色のびん、透明のびんと、さまざまな形状・色のびんが同じラベルとキャップをまとっている様子が斬新で、これに興味をもってくれるバー愛好家も少なくないそうだ。

「興味をもってくださる一般のお客さまの存在も心強いですが、私たちがうれしく思ったのは、サステナビリティに真剣に向き合おうとしているバーテンダーが想像以上に多かったこと。

実際、使い終わったびんを自分なりに再利用されているお店も多かったのです。

さらに、今回の取り組みをきっかけにバーテンダーのみなさんたちと深い関係を築けたこともありがたかったですね」

トベ商事の大型洗びん機ではがしたラベルくず。結露や水滴で剥がれないよう、粘着力を増した糊や強度の高いラベルは洗びん機では落とすことができず、1本ずつ手作業で落とした。リユース率のアップには、剥がれやすいラベル・糊が必要になってくる。

昭和中ごろはリユース率80%!リユース文化の再生を目指して。

長い歴史を誇るトベ商事でも、今回のようにブランド設立前からリユースボトルの採用を見据えた案件は珍しかったようで、「リユースボトルプロジェクト」に際してメディアツアーを実施した際には、戸部会長から「ここまでこぎつけたのはREUNIONが初めて」という言葉をかけてもらった。

「本当に嬉しいお言葉でした。これを励みに、今後は毎月30本前後を『REISHI GIN w/ REUSED BOTTLE』としてリリースしたいと思っています。

段階的にリユースボトルに切り替えていき、最終的にはすべての製品をリユースボトルでまかない、『REISHI GIN』=リユースボトルという認知にまで落とし込みたいと思っています」(服部さん)


一方のトベ商事でも、製造・回収・洗浄の手間を減らすことがリユースを促すことにつながるということで、形状が似ている日本酒や焼酎のびんについては規格を統一するなどの提案を、製びん業界に向けて行なっていく予定だそう。

また、リユースにおける品質基準のハードルを下げるべく、消費者に対しては機能を損ねない程度のキズを受け入れてもらう提案や発信をしていく。

「びんの傷はリユースを重ねた勲章だと思って欲しい」というのが戸部会長の思いだ。

プラやペットなど繰り返し使えない(ワンウェイ)容器が増えているが、環境に優しい容器としてリターナブルびんが見直されてきている。ワンウェイボトルと5回リユースしたボトルを比べると、リユースボトルはCO2排出量を約80%削減できる。

このようなリユース文化の再生には、多くの事業者の協力が必要だ。

REUNIONでも、このプロジェクトに賛同・協力してくれるバーや飲食店、びん回収事業者、洗びん事業者、酒蔵……多くのパートナーを募っている。

「たとえば、びん洗浄に適したラベル糊の開発に取り組むシール・ラベル事業者、リユースボトル製品の開発に協力していただけるびんメーカー、私たちとともに回収スキームの整備に取り組み、リユースボトル製品の販売に協力いただける酒屋さん、ボトルのリユース利用の許諾をいただけるブランド、行政、メディアなど、多くの方の協力をいただければと思っています。

この取り組みを広げ、日本の市場におけるリユースボトルの割合を高めていきます」(服部さん)

ご賛同いただける事業者の方、ぜひREUNIONにご連絡ください。

バーから始めるリユースの輪を、業界外にも広げていきましょう!

REUNION(WWWE)
東京都渋谷区猿楽町30-3
TEL:非公開
URL:https://re-union.world
hello@wwwe.jp

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