2019年、新時代の到来か。
バーテンダーの新しい生き方って?
<後編>

PICK UPピックアップ

2019年、新時代の到来か。
バーテンダーの新しい生き方って?
<後編>

#Pick up

今村広和さん、荻島渉さん by「Megan bar & patisserie」

2019年はバーテンダーの働き方がますます多様化する新時代に突入する!?後半では話題のエリア、並木橋の「渋谷BRIDGE」内に誕生した「Megan」をフィーチャーする。

文:Ryoko Kuraishi

バリスタとバーテンダーが共存するバーカウンター。

「Megan bar & parisserie」は渋谷と代官山をつなぐ注目のエリア、並木橋に誕生した、カフェ&バー、パティスリーのアトリエ&ショップを備えるコンプレックスショップだ。


鎌倉のレストラン「GARDEN HOUSE」、代官山のベーカリーカフェ「GARDEN HOUSE CRAFTS」などを展開するTHINK GREEN PRODUCEが手がける初めての本格派バーであり、9月に開業したばかりの「MUSTARD HOTEL 」に併設する施設でもある。


どうしてバーを手がけることになったのか。まずは同店の店長を務める今村広和さんにバー誕生の経緯を伺おう。


「『MUSTARD HOTEL』の企画開発を行った事が、バーをはじめるきっかけとなりました。
ホテルのゲストは欧米からのツーリストが中心ですが、渋谷のローカルの方々との接点をつくるために、クリエイティブでカジュアル、かつオープンな場が必要だと感じたのです」

荻島さんおすすめのシグネチャーカクテル「Peat- tea Party」¥1,400。紅茶、ラフロイグ、「星子」にレモンとクローブを添えて。

「Megan」の参考にしたのはカリフォルニアのバーカルチャー、と今村さん。
オープンにあたり、何度か西海岸へ視察に赴いたというが、そこで印象的だったのが昼間から賑わっているという街場のバーだった。


「ガラス窓から明るい日差しが差し込むような空間で、昼間からカクテルを提供しています。
カフェの代わりにバーを使っている人も多く、いわゆるオーセンティックバーよりも気軽に足を運べる雰囲気。
バー使いがより日常的になっていると感じました。


とはいえ、バーテンダーの腕は確かですしカクテルのレベルも高い。
気取らない、けれどクオリティが高いというところがさりげなくて好印象でしたね」


そこで、季節の素材を使ったクリエイティブなカクテルを、誰もがふだん使いできるようなカジュアルかつオープンな空間で提供するスタイルを目指した。

コンブチャにも力を入れている「Megan」。タップの一つからは、なんとコンブチャが。

昼間は明るく、夜はバックバーが外から丸見えになるオープンな造りの「Megan」。
その強みはバー、レストラン、ペストリー、ホテルなど、様々なコンテンツを連動させている点にある。


季節の素材や地元食材を積極的に用いたニューアメリカンスタイルのフードを提供、朝食からランチ、ティータイム、ディナー、バータイムまで、時間帯や用途を限定せず利用できる。
コーヒーはこだわりのハウスブレンドはバリスタが丁寧に淹れてくれる。


さてバーの方はどうだろう?


「海外からのゲストが多いので、バーメニューは和を感じてもらえる内容に。
櫻井焙茶研究所のお茶を使ってスモーキーなマンハッタンにしたり、日本の梅リキュール」『星子』とラフロイグを合わせたり、スタンダードなカクテルをシンプルにツイストしてどこかに和のエッセンを加えています」
というのは、「Megan」のバーテンダーの荻島渉さん。

「ウイスキー×焙じ茶」¥1,000。ニッカグレインウイスキー、アマーロに、焙じ茶とレモングラスがマッチ。

「ここはオーセンティックなバーに比べたらもっとカジュアルで、お酒を飲みにくる方はもちろん、仕事をする方もいらっしゃいます。
当然、接客もよりフレンドリーなものに変わります。


一方で、パティスリーラボではフレッシュフルーツを使ったデザートも作っており、カクテルと合わせて提供するスタイルも考えています。
エスプレッソマティーニも、バリスタの淹れてくれたエスプレッソを使った本格的なものをサーブできます。
バーメニューだけの店とは違い、他のリソースと合わせてこれまでと異なるアプローチのサービスを提供できることが『Megan』の醍醐味ですね」


オーセンティックバーから「Megan」へと転身を遂げた荻島さんに、バーテンダーの働き方についても伺ってみた。
「働き方はもちろんですが、バーテンダーの意識が変わってきています。
例えば、『Megan』のように企業が経営するバーなら、外で行われるイベントに参加したり、コンペに出場するといった活動も行いやすい。
加えて、食やコーヒー、パティスリーといった、バー以外の食の専門分野の知識やオペレーションに触れられるチャンスでもある。


要は、店の規模感より、自分がやりたいことを貫ける環境に魅力を感じるバーテンダーが多くなってきたのだと思います」

「今後はカクテルをフィーチャーしたイベントを行い、ホテルゲスト以外にも広く発信していきたい」と荻島さん。

2020年に向けてますます海外ツーリストが多くなる東京では、バー×食を打ち出す業態の店が増えるだろう、とも。


「THINK GREEN PRODUCEには根底に食への情熱があり、レストラン業界だけではなく異分野からそれに共感する人材が集まっているのが特徴です。


それぞれが多彩なカルチャーや風景を知っているから、多様化する現代の食シーンを体現できるのでは、と思っています。
バー、カフェ、パティスリーとコンテンツは盛りだくさんですが、カクテルを飲みにふらっと立ち寄れるような場所として、並木橋の日常に根付いていきたいですね」(今村)

Megan bar & patisserie
東京都渋谷区東1-29−3
TEL:03-5962-7648
URL:https://megan.jp

SPECIAL FEATURE特別取材