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今月のバーテンダー

目指せ、ワールドチャンピオン!
注目4大会の傾向と対策、教えます。
<前編>

カクテル コンペティション/     

17.10.01

ディアジオ・ワールドクラス ジャパンファイナルより。

1.はじめに大会のコンセプトを抑えるべし

Q.それぞれの大会のコンセプトは?

さまざまなブランド、団体がそれぞれに異なる趣旨で開催し、トップバーテンダーたちがそのスキルとセンスをぶつけるカクテルコンペティション。
どりぷらでも過去に数多くのコンペを取材してきたが、近年、ベーススピリッツを生かすという大会のそもそものコンセプトと、バーテンダーたちのアーティスティックな表現方法にいささかのズレを感じることも多くなってきた。


そこでどりぷらでは改めてコンペティション大会主催者にインタビュー。
各大会の開催意図、主催者がバーテンダーに望むものをまとめてみた。
日本大会から世界大会へ、そしてワールドチャンピオンを目指すために、ぜひ参考にしてみてほしい。


Q.それぞれの大会のコンセプトは?


A
<ディアジオ・ワールドクラス>
「グローバル大会が最初に開催されたのは2009年のこと。
“レイジング・ザ・バー”、つまりバーの素晴らしさ、奥深さを広め、伝えていこうという使命を掲げスタートしました。


ワールドクラスの創始者の一人、スコットランド出身のバーリー・ウィルソンは、バーテンダーであった父親の背中を見て育ち、小さな時からその姿に憧れを抱いたと言います。
それがきっかけとなり、世界を股にかけて活躍するスターバーテンダー、セレブリティバーテンダーを生み出そうと決意したのです。


開催当初のコンセプトは、更に進化を遂げています。
現在はバーの世界にとどまらず、家庭や、ブランチでのカクテル消費など新しいお客様への提案が進んでいます。
五感で楽しむカクテル、料理の世界にあるテクニックや素材の応用。
あるいは、家庭にある材料や道具で簡単に作れるおいしいドリンクをどう表現するか。
コンペという枠を超えてお客様に素晴らしい環境でカクテルを楽しんでいただくためのプラットフォームに成長しているのです。


つまり大会用に作られたプレゼンテーションやカクテルではなく、“普段通りの仕事をいかに大会で発揮できるのか”、そこを求めているのです」
(キリン・ディアジオ株式会社 グローバルブランドアンバサダー 中牟田孝一さん)

ビーフィーターの故郷、ロンドンで3日間に渡って開催されるMIXLDN。

<バカルディ レガシー カクテル コンペティション>
「バカルディ・レガシー カクテル コンペティションは2008年から世界大会が行われており、日本大会自体は今年で3回目。
バカルディのラムを世界に広めるべく、これを使った次世代の定番カクテルを求めて開催されている大会です。


ここでいう『定番』とは、世界のどこのバーに行っても提供できる普遍性、再現性を指します。
ラムといえばピニャコラーダ、モヒート、ダイキリといったスタンダードカクテルが有名ですが、これらのカクテルのように広がりのある新世代のカクテルを求めています」
(バカルディ ジャパン株式会社 ブランドマネージャー 鈴木健太さん)


<ザ・シーバス マスターズ カクテル コンペティション>
「ご存知のようにシーバス リーガルは100年以上もバーの世界で愛され続けているブランドです。
バーやバーテンダーに愛されてきた、そうした歴史やこれまでのつながりに感謝するとともに、お世話になってきたバーテンダーたちへ少しでも恩返しをしたい。
そんな気持ちから2014年、このコンペティションが始まりました。


大会の骨子を考案したのは我々のアンバサダーのマックス・ワーナーで、サボイ・ホテルにいたこともあるバリバリのバーテンダーです。
つまりバーテンダーによるバーテンダーのためのイベントと言えます。


シーバスはシーバス兄弟が作った会社でもあることから、コンセプトを“ブラザーフッド”としています。
このコンペのいちばんの特徴は、チームチャレンジがあること。
チームごとにオリエンテーション形式のプログラムなどに取り組むうち、それぞれのバーテンダーたちの間には特別な絆、ブラザーフッドが生まれます。
このブラザーフッドこそが、私たちのコンペティションの狙いなのです」
(ペルノ・リカール・ジャパン株式会社 マーケティングマネージャー クリスティアン・エルンストさん)


<ビーフィーター グローバル バーテンダー コンペティション>
「BEEFEATER MIXLDNは世界最大のジンブランドのコンペティションで、今回で7回目を迎える大会です。
毎年、ブランドのルーツであり、世界のカクテルシーンを牽引するロンドンに焦点を当てたテーマで開催しています。
ビーフィーターはバーの世界で広く認知されているジンではありますが、ブランドへの理解をさらに深めてもらうとともに、バーテンダーを通して一般の消費者にもアピールしたいと考えています。
スタート当初は4カ国のみの参加でしたが、去年は33カ国にまで拡大。
年々規模は大きくなっています。


一方、日本大会はバーテンダーとのつながりをさらに強固なものにするため、コンペを通して改めてバーの世界にビーフィーターを取り入れてもらいたいという思いがあります。
定番のジンというイメージが強いからこそ、このような機会を設けることでバーの中での存在感をアピールし、ビーフィーターのブランディングを強化していきたいと思っています」
(サントリーアライド株式会社 マーケティング部 堀田麻依子さん)

ブラザーフッドをコンセプトに掲げるザ・シーバス マスターズ カクテル コンペティションは、チームチャレンジという新しいスタイルを確立した。

Q.ズバリ、大会で勝ち抜くために求められるものとは?

A
<ディアジオ・ワールドクラス>
「ワールドクラスの審査基準は、『パッション』、『パーソナリティ(セルフ・プロデュース力)』、『クラフト(技術力)』、『ピーコック(集中力)』、『ノウレッジ』、『プロフェッショナリズム』です。


これらのどれかが格別に秀でているか、あるいはバランスよく全てを兼ね備えているか。
個人的には、世界大会ではとりわけ『パーソナリティ』が重視されるように思います。
これまでの経験や見聞きしたこと、知識の全てを、自分なりに消化して自分のスタイルとしてプレゼンする。
ある意味、総合力ともいえるでしょう」


<バカルディ レガシー カクテル コンペティション>
「私たちが着目するのは、コンペティターが提案するカクテルのポテンシャルです。
具体的には、呼びやすくて覚えやすい、キャッチーなネーミング。
バカルディの味わいを生かしつつ、副材料とのバランスのいい味わい。
そしてカクテルのストーリーがきちんと確立されており、そのストーリーにはバカルディが不可欠なんだとジャッジを納得させるロジックも必要ですね」


<ザ・シーバス マスターズ カクテル コンペティション>
「一人ずつのバーテンディング・スキルも大切ですが、チームチャレンジでは他のバーテンダーとの協調性、チームスピリッツが問われます。


今年のファイナルでは15カ国から来た15人がベストフレンドとなり、それぞれの国に帰った後も彼らのブラザーフッドは続いていると聞いています。
ゲストシフトやコラボレーションのイベントなど他国からも声がかかるようですし、特に中国・香港・日本の絆が強く、コラボも頻繁に行われているとか。


ザ・シーバス マスターズ カクテル コンペティションはコンペではありますが、むしろファイナルの後に様々なチャンスや未来が広がっている。
そういう独自のムードや人間同士のつながりを楽しんでもらうことが大切だと思っています」


<ビーフィーター グローバル バーテンダー コンペティション>
「アンバサダーとしてビーフィーターの魅力を世界に発信する人材であるかどうか、世界大会では3日間かけて多角的な審査を行います。
初日は蒸溜所でのセミナーを行うとともに、ノージングテストやその時々のトレンドを反映したプログラムを開催します。
ここで、まずはビーフィーターというブランドをきちんと理解しているかが審査されます。


次に、メインであるシグネチャーカクテルを作る審査があります。
他のコンペと異なるのは、フォトグラフィー審査、つまり自分の作ったカクテルの写真をディレクションする審査があるのです。
ここではブランド・アンバサダーにふさわしいセルフ・プロデュース力が問われます。


毎年異なるシークレットチャレンジでは、フードペアリングやボトルドカクテルチャレンジなど、即興性のあるチャレンジとなることが多いんですね。
課題への柔軟性、そしてクリエイティヴィティ、もちろん味わいへのセンス。
こうしたところがチェックポイントとなるでしょう」

ザ・シーバス マスターズ カクテル コンペティションの今年のテーマは「東京」。バーテンダーたちは瞑想にもチャレンジした。

2.現チャンピオンが勝てた理由を分析しよう

Q.それでは現チャンピオンが勝てた理由をどう分析されますか?

A
<ディアジオ・ワールドクラス>
「2017年の日本大会で槇永優さんが優勝されたポイントとして、まず『パッション』が挙げられます。
これまでの日本大会でも、チャレンジが終わった後すぐに、周囲に自分に足りなかったものは何かを尋ねて回り、その反省を次回に生かそうとされていました。
そしてそれをやり続けることに長けていらっしゃるように思います。


また『ナレッジ』、ブランドのストーリーを掘り下げるリサーチ力も素晴らしいですね。
私達が知らないようなエピソードまでどこかから探し出してきましたから。
そして、普段の柔らかな物腰からは想像もつかないような迫力あるプレゼンを繰り出す『集中力』、経験、知識、所作、発想力を自分のスタイルとして発揮する『パーソナリティ』に特に優れていたように感じられました」


<バカルディ・レガシー カクテル コンペティション>
「日本大会で優勝した佐藤健太郎さんのカクテルは『マリエル』。
もちろんカクテル自体もとてもおいしかったのですが、さらにストーリーが秀逸でした。


横浜発祥のカクテル、『ヨコハマ』をツイストしたカクテルですが、横浜出身の佐藤さんはキューバの港町、マリエルを、開国時に他国のカルチャーの入口となった横浜になぞらえ、もしも『ヨコハマ』が誕生した頃にラムが流通していたら……というストーリーを描きました。


自身のホームタウンの横浜とバカルディの故郷であるキューバ、そしてカクテルの背景のストーリーがよく練られていましたし、同じような港町である神戸や上海でプロモーションを行ったことも一貫性があり評価されていましたね。
また、ハチミツやココナッツウォーターなど、手に入りやすい材料で新鮮な味わいを醸したこともポイントが高く、世界大会でもトップ3に入賞しました」

昨年のMIXLDNより、日本代表、藤倉正法さんのパフォーマンス。

<ザ・シーバス マスターズ カクテル コンペティション>
「まずは日本大会の話から。
櫻井将人さんが日本代表になれたのは、世界大会で勝てるチャンスがあったからです。
スキルが高く、プレゼンもいい、何よりカクテルが美味しかった。


最近はカクテルのコンセプトも複雑になっていますね。
けれど、大切なのは、今晩ずっとこのカクテルを飲んでいたいと思わせられるかどうか。
また、コンペにおいてはジャッジがオーディエンスです。
私たちが重視するのは、ジャッジ=オーディエンスをいかに楽しませられるか、そしてオーディエンスにおいしいと思ってもらえるか。


世界大会でもその傾向は同様で、ドリンクの味わい、ユニークなコンセプト、ジャッジを引きつけるプレゼンテーションが重視されます。
日本人は英語が足かせになることがありますが、通訳もつきますしプレゼンテーションでは日本語を選ぶことだってできる。
言葉よりもホストとしていかにその場を盛り上げられるか、ムードメイキングが重要です」


<ビーフィーター グローバル バーテンダー コンペティション>
「昨年の日本代表の藤倉正法さんは、初めから世界を見据えたカクテルメイキングをされていました。
海外の方の味の好みをよくリサーチし、それに合わせて作っていたように思います。


また、課題に忠実であったところもポイントが高かったです。
日本大会においてもコンセプトがしっかりしているか、ビーフィーターを使う理由をロジカルに語れるか。
『このカクテルにおいてビーフィーターはなくてはならないものである』という視点や意識はアンバサダーに欠かせないものですから、ジャッジはそこを重視しているようでした。


加えて世界大会では一般のオーディエンスからの投票もあります。
ファイナリストそれぞれが自分のブースを持ち、押し寄せる300人の一般参加者へプレゼンテーションを行いながらカクテルを振舞うのです。
世界大会で優勝した香港のティモシーさんは、一般参加者へのプレゼンテーションの熱量、迫力が凄まじかった。
圧倒的な強さと言えました。
グローバルなバーテンダー、ブランドのアンバサダーには一般消費者への訴求力も求められていますから」


後編では各大会でコンペティターが勝ち抜くための秘訣をご紹介しよう。


後編に続く。

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