あのバーテンダーが
「ワールドクラス」に挑戦した理由

SPECIAL FEATURE特別取材

あのバーテンダーが
「ワールドクラス」に挑戦した理由
[vol.02] - ワールドクラス 2011・2015ファイナリスト
齋藤恵太さんインタビュー

25.03.2020 #Special Feature

文:Drink Planet編集部

齋藤恵太。ワールドクラス2011および2015 日本大会ファイナリスト。バーに関するすべてを創作するバーテンディングプロジェクト「LIQUID WORKS」代表。その拠点となるバー&コワーキングスペース「LIQUID FACTORY」工場長。

齋藤恵太。ワールドクラス2011および2015 日本大会ファイナリスト。バーに関するすべてを創作するバーテンディングプロジェクト「LIQUID WORKS」代表。その拠点となるバー&コワーキングスペース「LIQUID FACTORY」工場長。

世界規模のバーテンダーコンペティション、ワールドクラス。

そこでDrink Planetの特別取材では、ワールドクラスでの活躍をきっかけにステップアップを果たしたトップバーテンダーのインタビューを連載。

2回目となる今回は、ワールドクラス2011・2015 日本大会ファイナリストである「LIQUID WORKS」代表および「LIQUID FACTORY」工場長の齋藤恵太さんをお迎えすることに。

過去にDrink Planetで齋藤さんを取り上げた記事はコチラ

26歳でワールドクラスに初参戦し、いきなり日本大会ファイナリストとなった齋藤さんは当時「自分がバーテンダーだという意識がまったくなかった」んだとか。

それって一体どういうこと!?

初参戦で、いきなりファイナリスト!

ワールドクラス2011のファイナリストとなった時、齋藤さんの肩書は無所属でした。

それまで地元横浜の飲食企業で働いていた齋藤さんは「いつかは自分の店を持ちたい」という思いから、調理やサービス、ケータリング、マネージャー、PRなど、ひと通りの経験を積んできました。

その一環としてバーテンダーの経験も積みましたが「本当に簡単なカクテルをつくる程度」だったそうです。

そんな齋藤さんがワールドクラスにチャレンジしようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?

「たまたまワインの試飲会に参加したときに、ワールドクラスの存在を知って、後輩に誘われるままにエントリーしました。もちろん最低限のリサーチはしましたが、なんの前知識もなかったぶん、自分の好きなように、自由にカクテルをつくって応募しました。2011年、26歳の時です」

「運よくファイナリストに選出されたのですが、もちろんコンペティションなんて初めて。おまけに店を辞めたばかりだったので無所属でした。それに比べて、他のファイナリストたちはその年に世界一になった大竹学さんをはじめ錚々たる顔ぶれ。今考えると、怖いもの知らずにもほどがありますね(笑)」

初参戦で、ファイナリスト10人に選出された理由について、ご自身ではどう考えていましたか?

「はっきり言って、理由はわかりません……。もしかしたら、王道を歩んできたバーテンダーの方々とは異なる角度の発想を面白がっていただけたのかもしれません。たとえ当時の僕のようにバーテンダーとしての実績がなくても、ワールドクラスには挑戦する価値があると思います」

ワールドクラスが人生のターニングポイント!

初めて人前でパフォーマンスを披露するコンペティションが、ワールドクラス2011 日本大会のファイナルだったという齋藤さんですが、その戦いぶりはどうだったのでしょうか?

「右も左もわからない状況で、どう準備したらいいのかすらわかりませんでした。当時はフードペアリングチャレンジやマーケットチャレンジなど即興でカクテルをつくるチャレンジが多かったので、まあ、どうにかなるだろうと……。なにも知らないぶん、緊張もせず、前の晩もぐっすり眠れました。なんなら勝てるつもりでいたくらいです(笑)」

「1日目を終えて、これはヤバいところに来てしまった……、と本気で後悔しました。逆に1日目を終えた夜のほうが眠れませんでしたね」

「2日目はもう開き直って、やれるだけのことをやりきりました。結果は出ませんでしたが、実は意外と楽しくできたんです。というのも、まったく無名の僕に対して、他のファイナリストの方々が本当によくしてくれたんです。同じファイナリストとして無名・無所属の僕のことをきちんとリスペクトしてくれました。それぞれライバルというよりは、同じ舞台を戦う仲間意識のほうが強かったですね」

「その結果、ワールドクラスって面白いじゃん、バーテンダーっていいじゃんって!」

当時、無所属だった齋藤さんは、日本大会ファイナルでジャッジを務めていた鎌田真理さん(ワールドクラス2009 日本大会優勝者)の目に留まり、鎌田さんから直接スカウトを受けたたそうです。

そしてファイナル翌週には「ザ・ペニンシュラ東京 Peter Bar」でバーテンダーとして働くことに。

「もう人生激変です(笑)。『Peter Bar』で働かせていただいて初めて『あ、俺ってバーテンダーなんだ』って意識するようになりました」

ワールドクラス 2015 日本大会ファイナルでプレゼンテーションを行う齋藤恵太さん。

ワールドクラス 2015 日本大会ファイナルでプレゼンテーションを行う齋藤恵太さん。

ワールドクラスはとにかく楽しい!

その後は「Peter Bar」でバーテンダーとしての研鑽を積む日々。

「またあのワールドクラスの舞台に立ちたい、というのが毎日のモチベーションでした。ワールドクラスは学ぶべきことが多いのは事実ですが、それまできちんとバーテンダーとしての積み上げがなかった僕にとっては、すべてが勉強になりました」

「しかもワールドクラスという目標があるおかげで、すべてがとにかく楽しかった。やらなきゃいけないという義務感より、とにかくインプットして、それを自分なりにアウトプットするのが楽しかったですね」

また日本大会のファイナリストとなったことで、バーテンダーとしてのネットワークも飛躍的に広がったといいます。

「2011ファイナルを戦った同年代の藤井隆君(ワールドクラス2016 日本大会優勝者)は、初めてのバーテンダー友達といえるかもしれません。他のファイナリストの方々とも今でも繋がっています」

「また見ず知らずのバーテンダーの方が、わざわざ『Peter Bar』に会いに来てくれることもよくありましたね。それからちょうどSNSが流行り始めた時期だったので、フォロワーの数が一気に増えたり……。ワールドクラス日本大会のファイナリストというだけで、海外のバーテンダーから尊敬の眼差しで見られたり……。ワールドクラスの影響力を肌で感じました」

「現在は『LIQUID WORKS』というブランドを起ち上げてバー業界で活動させていただいているのですが、そういう活動ができるのもワールドクラスをきっかけに繋がったバーテンダーネットワークのおかげ。もう本当に、ワールドクラスに感謝です!」

挑戦することで、見えてくる景色がある!

最後に、これからワールドクラスに挑戦するバーテンダーにメッセージをいただけますか?

「ワールドクラスは規模が大きく、注目度も高いぶん、エントリーを躊躇する方も多いと思いますが、一歩踏み出さないと見えてこない景色があります。そしてなるべくなら若いうちにチャレンジしたほうが、得るものは多いはずです」

「バー業界もグローバル化が進み、多様性が問われる現在、いろんなスタイルのバーテンダーがいていいと思うんです。ですから、我々を驚かせてくれるような、おもしろいバーテンダーにどんどん出てきてほしいですね」

「僕がやっている『LIQUID FACTORY』は、最新機材を揃えたコワーキングスペースでもあります。簡単にいうと、バーテンダーのためのシェアする実験工場。いろいろと揃ってるので気軽に試作しにきてください」

「ワールドクラスは人生を変えるビッグチャンス。実際に人生が変わった僕が言うんだから、間違いありません!」


★ワールドクラス ジャパン オフィシャルサイト
www.wcjapan.jp

【編集部注】
2020年の日本大会ならびに世界大会は2021年に延期となりました。残念です!

★LIQUID WORKS
https://www.liquidworks-jpn.com

★LIQUID FACTORY
https://www.liquidworks-jpn.com/liquid-factory

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