グラン マルニエ現地レポート。
カクテルをアップグレードする秘密!

SPECIAL FEATURE特別取材

グラン マルニエ現地レポート。
カクテルをアップグレードする秘密!
[vol.03] - グラン マルニエが特別な理由。

#Special Feature

マスターブレンダーのパトリック・ラグノーさん。Photos by Yas

マスターブレンダーのパトリック・ラグノーさん。Photos by Yas

ここからはパリでのパーティーにもいらしたグラン マルニエのマスターブレンダー、パトリック・ラグノーさんの案内で、パフューム蒸溜サイトを見学することに。

入口を入るとすぐにビターオレンジピールのストック庫があり、一帯に充満する爽やかな香りが鼻腔をくすぐる。

グラン マルニエでは創業当時から一貫してカリブ産のオレンジ「シトラス・ビガラディア」を使用しているが、現在は南仏やチュニジアなど、一部地中海沿岸産も含まれるという。

ビターオレンジのマセレーションタンク。

ビターオレンジのマセレーションタンク。

いずれにせよビターオレンジは今でもアロマがピークとなる緑色のうちに手摘みされ、すぐに太陽のもとで天日干しにされる。

そして、このシャトーで皮の白い部分が取り除かれ、40%のアルコールで60日間漬け込まれた後に、蒸溜してパフュームとして抽出される。

「必要なのはビターオレンジの香りであり、味わいを損ねる苦味ではありません。香気成分を含むのは、オレンジピールの青い表面部分だけ。苦味が多い白い部分は、たとえ手間がかかっても完全に取り除きます」とパトリックさん。

続いては、コニャック貯蔵庫へ。

前述したエリックさんをはじめ6軒のディスティラーから買い上げたコニャックをフレンチオークの樽に詰め、ここで熟成を促す。

熟成は1年間に約2%の蒸発(いわゆるエンジェルズシェア)を伴うが、ご存知の通り、コニャックの複雑さや奥行きはこの熟成があってこそ。

「長年熟成すればするほど、時間と容量的には損になるわけですが、私たちが追求するものはビジネスではなく、クオリティーなのです」

一通りの見学を済ませ、いよいよシャトーに戻っての試飲タイム!

グラン マルニエの「コルドン ルージュ」、そして最高級銘柄「カンテサンス」を、それぞれのベースコニャックとともに試飲する。

「コルドン ルージュ」のベースコニャックは2年間以上熟成したもの。

コニャック単体で試飲するとりんごや洋梨のフレッシュな香りがあり、まろやかながらシンプルで親しみやすい味わいがある。

これにパフュームと糖分をブレンドし「コルドン ルージュ」が完成する。

一方「カンテサンス」のベースコニャックはXOの長期熟成。

単体でも十分に説得力があり、ドライビーチやナッツの香りと奥行きのある風味が素晴らしい。

これに2回蒸溜したパフュームと糖分をブレンドし「カンテサンス」が生まれる。

「コルドン ルージュ」も「カンテサンス」も加える糖分は同量だが「カンテサンス」の方が甘みを感じない

これはパトリックさん曰く「長期熟成コニャックの妙」とのこと。

ちなみに、単体で試飲したコニャックがそれぞれ十分な完成度であるのに、糖分を加えるのはもったいないと感じてしまうが、この甘さがグラン マルニエには必要であり糖分を少なくするとバランスが崩れてしまうのだそうだ。

「グラン マルニエはフランスではパティスリーに欠かせないリキュールですが、実はシェアの65%をアメリカとカナダが占め、しかもかの地ではカクテルに使われているのです」

「例えば、クラシックカクテルレシピのトリプルセックをグラン マルニエに変えてみてください。カクテルの完成度の違いに驚かれることでしょう。これはグラン マルニエだけがコニャックをベースにしているから」

「素材を惜しまず、手間を惜しまず、クオリティーだけを追求して完成したグラン マルニエが、カクテル先進国でスタンダードであることを、私たちは誇りに思っています」

ディナーの前に供されたグラン マルニエの各種アペリティフカクテル。

ディナーの前に供されたグラン マルニエの各種アペリティフカクテル。

そんなパトリックさんの言葉を受けて、ディナーの前のアペリティフとして4つのグラン マルニエ カクテルが用意された。

バルーングラスで供される「グラン トニック」、ロングタイプの「グラン コリンズ」、トリプルセック代わりにグラン マルニエを用いた「グラン マイタイ」、バーボンと同量のグラン マルニエを使った「グラン オールドファッションド」。

いずれのカクテルもグラン マルニエを使用することで、ワンランク上の高貴な味わいに。

(しかも素敵なディナーを予感させる!)

もちろんディナー後のディジェスティフ(食後酒)には、「カンテサンス」とカーヴに保存されていた年代物のコニャックが振る舞われた。

こうした貴重なストックを保有するのも歴史あるメゾンならではだ。

グラン マルニエは今でもフランスのパティスリー業界に欠かせない副材料であり、またディジェスティフとしても特別な存在である。

と同時に、クラシックカクテルブームに沸くフランスでは、カクテルをアップグレードさせる必須アイテムとしてもその地位を確立しつつある。

Classic is New!

1880年に秘伝のレシピのもとに誕生したグラン マルニエは、クラシックだからこそ新しい!

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