【スペシャルレポート】
中垣繁幸氏×アンドレ・チャン氏
カクテルペアリングの最前線はこんな感じ!

SPECIAL FEATURE特別取材

【スペシャルレポート】
中垣繁幸氏×アンドレ・チャン氏
カクテルペアリングの最前線はこんな感じ!

[vol.03] - ペアリングディナーを終えて……。

27.12.2016 #Special Feature

8品目はデセールです。まず生卵が出てきます。

板チョコ、バター、小麦粉、角砂糖、ミルク、そして生卵を割り入れて完成!

「DIY-CAKE」と名付けられたこのデザート。今から混ぜて焼いてくれというものではありません。

粉に見えるもの、バターに見えるもの、生卵に見えるもの、角砂糖に見えるもの、ミルクに見えるもの、全てそれぞれが、完成されたデザートなのです。

アンドレシェフならではのウィットと創造性に富んだ素晴らしいデザートです。

そこに合わせるカクテルは、カクテル名「Caffe ApriCorretto/カッフェ・アプリ・コレット」。

エスプレッソとグラッパを合わせて楽しむ「カッフェ・コレット」と「カフェ&アプリコット」の造語です。

名古屋の輸入元「ラール・アルコル」さんがインポートしているGIFFARDのアプリコット・リキュールとエスプレッソの組み合わせが素晴らしすぎて、日本でも良くお作りしているカクテルです。

このカクテルに対するアンドレシェフの喰いつきは特に凄くて、「うちの店でも出せるようにしてくれ!」と、何度も頼まれました。

さて、カクテルと料理のペアリングにご興味をもたれて、この記事を読んでくださったバーテンダーの方も多いと思います。

僕の考えているフードペアリング(特に西洋料理)において重要な要素の一つは「酸」のコントロールです。

西洋料理に合わせるお酒として「ワイン」がここまで「絶対」と云われるのは、ワインの持つ酒石酸、リンゴ酸、クエン酸などの数々の「酸」の特性と料理の調和が食事の心地よさを産みだしている一つの要素なのだと考えます。

今回のペアリングカクテルの「酸作り」に際しては、様々な柑橘由来のクエン酸や、バルサミコなど由来の酢酸を使用しましたが、いかにも「レモンが入っている」ような酸の出所が表に出てくる使い方にならないよう、細心の注意を払っています。

ワイン、シェリー、ビール、清酒など、料理に合うと言われている醸造酒には必ず酸が含まれていて、おいしさとして大切な要素を担っていますが、その酸がレモンを搾りいれたかのように突出していないのが醸造酒の酸の特徴です。

理論的にペアリングを考えるだけではなく、ワインや日本酒、ビールなどと料理を楽しむ習慣に慣れ親しんだゲストに違和感を持たせない味を作るということもペアリングのテクニックだと思います。

柑橘の果汁を使用する場合には果実のキャラクターが前面に出てこないよう下処理を行なうようにしています。

「糖」に関しましても、今回のペアリングには、砂糖(スクロース)を使ったものは最後のデザートのペアリングまで登場しません。

ホームメイドリキュールなどの甘味も砂糖感が出てこない素材を使用しています。

「砂糖が入っている」とはっきり解るタイプのカクテルはデザートとのペアリングでは有効だと思いますが、砂糖を使わない料理に合わせるには違和感を感じます。

もうひとつ僕がペアリングさせる時に基本と考えている4つのキーワードは以下です。

①同調:料理の中に含まれている成分と共通する素材や味わいを飲み物の中に組み込むことで飲み物をマッチさせるペアリング法。

②補完:料理に足りない、または、加えることによって料理の魅力が増す要素を、飲み物で表現することでペアリングする方法。

③中和:料理の成分(脂分など)を飲み物で中和させる効果をカクテルに組み込んで料理を食べやすくするペアリング法。

④対比:塩気の強い料理にはっきりとした甘味のあるカクテルを合わせることなどで味覚のコントラストを楽しんでもらうペアリング法。

4つのペアリング法のそれぞれ違う角度から料理と向き合わせ、カクテルの素材感もそれぞれ全く違うものでコースの起伏をもたせてあります。

料理のコースは「野菜」「穀物」「魚」「肉」など、バラエティに富んだ起伏の中で組み立てられます。

合わせる飲み物だけが最初から最後まで「葡萄」なのが当たり前という慣習に疑問を持っても良いのではないかと考えています。

料理に対して、素材の起伏と変化を持たせながら、細かな味付けまでに的確なペアリングを行うことができるのはカクテルをおいて他に無いと考えています。

カクテルがもっとガストロノミーの世界の皆様に愛される飲み物になることを切に願っています。

最後に、今回は本当にいい経験、いい仕事をさせていただきました!

Grand chef Andre, Merci beaucoup !!!

Everyone at Restaurant André staff, Thank you very much!

「D.Bespoke」のお客様、金高大輝氏をはじめ「D.Bespoke」スタッフの皆様、ありがとうございました!



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