SPECIAL FEATURE特別取材
【スペシャルレポート】
薬草酒マニアのバーテンダー鹿山博康氏、
アブサンの故郷、スイス・フランスをゆく。
[vol.04] -
話題のバーでゲストバーテンディング!
<フランス・パリ編>
#Special Feature
文:Drink Planet編集部
写真右は今回の旅の協力者のひとり、カリム・カロームさん。
今回フランスとスイスでの旅の目的は3つありました。
一つ目は、vol.1とvol.2でご紹介したアブサンの蒸溜所巡り。
二つ目は、vol.3でご紹介したオールドボトルの買い付け。
そして最後を飾るのが、美食の都パリでのゲストバーテンディングです。
パリのバーテンダーたちとBBQ!
このパリでのゲストバーテンディングをアテンドしてくれたのも、vol.3でお世話になった古酒収集家のカリム・カローム(Karim Karroum)さん。
そう、彼はフランス中のバーテンダーと親交がある人物なのです。
というワケで、パリに到着するやいなや、カリムさんが声をかけてくれたバーテンダーや酒類業界関係者たちとBBQをすることに!
しかもカリムさんの計らいで、錚々たるバーテンダーが来てくれたのです。
例えばHotel Le Bristol Parisのマキシム・ウルト(Maxim Hoerth)さん。
(過去にDrink Planetでも取り上げられたMOFの称号を持つバーテンダーです)
※編集部注:Drink Planet登場時は、Le Bar Four Seasons Hotel George Ⅴ Paris所属
あるいはLittle Red Door のレミー・サヴェージュ(Remy Savage)さん。
(彼はボンベイ・サファイア主催の「World’s Most Imaginative Bartender 2014」の世界チャンピオン)
パリの超有名バーCandelariaのニコラス(Nicolas)さんも駆けつけてくれました。
とても有意義な時間を過ごせたことは言うまでもありません!
写真右の人物が、Tiger Barオーナーバーテンダーのスタニスラさん。
今回ゲストバーテンダーとして僕を招待してくれたのが、パリ初のジン専門バーであるTiger Bar。
100種類以上のジンを取り揃え、それらのジンを使ったオリジナルカクテルが楽しめるパリでも話題のバーのひとつです。
席数は60席ほどですが、日本の街場のバーに比べると大きな箱です。
オーナーはパリのLa Maison du Whiskyでヘッドバーテンダーを務めていたスタニスラ・ジューン(Stanislas Jouenne)さん。
「ジン専門バーだから、ジンを使ったオリジナルカクテルをやってくれ」という彼のリクエストに応じて、日本からたくさんの素材を持ち込みました。
国産ジンの先駆けである本坊酒造の「光遠」、三和酒類の麹のボタニカルスピリッツ「TUMUGI」などを駆使してオリジナルカクテルを披露することにしました。
夜にもなると、さっそく多くの人だかり。
海外でのゲストバーテンダー経験がさほどない僕にとって、パリのお客様にうまく受け入れてもらえるのだろうかという一抹の不安がずっとつきまとっていました。
が、
蓋を開けてみたら、案外日本でやっていることと変わらず、思いのほか楽しくできました。
よくよく考えたら、当Bar Ben Fiddichも海外からのお客様が多いので、空気感も特に違和感なし。
ただ単に、フランス人率が高い日の営業、みたいな感じで、お客様を迎えることができました。
カウンターに座ったお客様がいたら、笑顔で目を見て挨拶をして、オーダーテイクをして、カクテルを作って、笑顔で「お待たせいたしました」と差し出す。
「お味いかがですか?」って聞いて、「おいしいよ~(Ce bon!)」と返事が返ってくれば、笑顔で「ありがとう(Merci)」と返す。
この一連の流れは僕の身体に染み付いたルーティンですが、改めて万国共通で大事なんだと痛感させられました。
それが一番の収穫でした。
今回のゲストバーテンディング用に持ち込んだ素材たち。
また、やり易い仕事環境をオーガナイズしてくれた、オーナーバーテンダーのスタニスラさんにも感謝!
彼自身ゲストバーテンダー慣れをしているのか、いつも気をきかせてくれて、ゲストバーテンダー用のカクテルが立て込めば、うまく別のカクテルをとってオーダーを散らしてくれました。
ちなみにTiger Barにはメイキング台が3カ所あります。
カウンターにメイキング台が2台あり、裏方から表に出る導線上に1台。
カウンターに入った僕は、基本的にカウンターのお客様とカウンター付近のテーブルを担当します。
カウンターから死角になる大多数のテーブル席のお客様には、裏方の小さいサイドカウンターでスピーディーかつ大量にカクテルメイキングします。
これだと店が混んでもカウンターが乱雑にならず、もちろんバーテンダーもテンパることなく、お客様に最良のサービスを提供できるというワケです。
ボトル配置や水物の配置、ゴミ箱の位置、冷蔵庫の配置なども非常に参考になりました。
すべてが円滑に回るようにレイアウトされているのです。
当日のTiger Barは外にも人が溢れるほどの大盛況でした!
おまけに、各バーテンダーのメイキングスピードが異常に速い!
「ワールドクラス」のSpeed Challengeを見ているような速さ。
常に混雑している店において、あのスピードメイキングには魅せられるものがありました。
氷も自作し、温度帯の違う氷を使い分けていたのも印象的。
それから、カクテルも日本とは違う組み立て方をしていました。
アルコール度数は総じて強め。
酸味は柑橘類ではとらず、ワインベースや別の物で補っていました。
と同時に、ビターズの使い方も多岐に渡っていて参考になることばかりでした。
新宿から遠く離れたパリでのゲストバーテンディング。
多くのパリのバーテンダーも来店してくれ、僕のつたない英語にも嫌な顔一つせずコミュニケーションを図ってくれました。
(ほとんど漫画とアニメの話ばかりでしたが……)
文化、環境が違っても、根本的な部分は世界共通であり、その気づきを得られたことが、なによりも勉強になり、なによりも大きな収穫でした。
(これは理屈ではなく、実際に外に出てみないとわからないことかもしれません)
最後にTiger Barのスタッフ一同、カリム・カロームさん、フランス・スイスのアブサン蒸溜所巡りで出会った方々、同行してくれた本坊酒造の田中氏とBar Ben Fiddichスタッフの松沢、この旅に関わってくれたすべての方に感謝の意を表したいと思います。
Merci beaucoup!!
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