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目時裕美さん by「テキーラフェスタ運営事務局」

「テキーラフェスタ」はもちろんのこと、テキーラ・ブランドのパーティのプロデュースやオーガナイズ、そして全国行脚の試飲会に現地視察まで。テキーラに魅入られた目時裕美さんがいま、最も注目していることとは?

文:Ryoko Kuraishi

パトロン蒸留所では、アガベの絞りかすを土に返して野菜を栽培するオーガニック菜園にも力を入れている。

テキーラを中心に、まだまだ知られていないスピリッツの奥深い文化を広めるべく、東奔西走する目時さん&JUAST。
海外にネットワークを広げ独自の視点で情報を発信するが、逆に日本のバーシーンを海外に発信することにも熱心だ。
昨年末には上海にてテキーラのイベントを開催しており、日本のマーケットと海外のシーンを結びつけるべく、さまざまなプロモーションを行っている。


「相変わらず、日本のバーシーンへの海外からの注目度は高くて、メキシコで交流があるテキーラ蒸留所のオーナーたちも熱い視線を注ぐほど。
海外の事情を国内に伝えることはもちろん、日本ならではのスピリッツ文化、飲酒文化を国外へ発信していくこともJUASTの役目だと思っています」


目時さんが伝えたい「日本ならでは」の文化とは、たとえば和食とのペアリングだ。

ドン・フリオの畑ではテキーラの原料となるアガベアスールの収穫を体験した。

「日本の食文化は世界屈指と言われています。
対して、食前から食後までシーンを問わず飲まれているテキーラはそもそも、食事との相性がいいスピリッツ。
飲み方やレシピを工夫すれば、テキーラと和の食材や料理とのペアリングで新たな世界が広がっていきそうですよね。
メキシコ人には和食好きが多いですし、テキーラ×和はぜひ発信していきたいコンテンツです。


和食ではないんですが、先日は代官山にあるフレンチレストランでフレンチ×ドン・フリオのペアリング・イベントを行いました。
『フレンチとテキーラ?!』って思われるかもしれませんが、エレガントな雰囲気の中、普段は味わえないテキーラベースのカクテルとフレンチのマッチングを楽しんでいただけました。
こうした機会を通じて、食とスピリッツのペアリングの可能性を発信していきたいですね」


逆に日本に広めていきたいのは、それぞれのスピリッツの背後に潜む独自の物語なのだそう。


「お酒はその土地の風土、気候、歴史に紐付いたものです。
そのお酒がどういう背景で生まれ、どういう人達に、どんな思いで造られているのか理解してもらえたら、お酒を飲むシーンはいっそう楽しくなるんじゃないかと思って」

JUASTのメンバーと視察した、ドン・フリオの契約アガベ畑。「造り手たちの熱意を知れば知るほど、テキーラの魅力をもっと広めていきたいって思います」。

目時さんが造り手にこだわるには理由がある。


テキーラでいえば、社会貢献を積極的に行っている良心的な造り手が少なくない。
原料や設備のリサイクルは当たり前、たとえばアガべの搾りかすはアガベ畑の肥料やバイオマス燃料に。
あるいは再利用して自家菜園の土を作り、その土で有機野菜を育てたり、搾りかすでレンガを作り貧困層のために家を建てたり。


「日本ではそこまで社会貢献は盛んではないですが、メキシコの蒸留所では自分たちの土地にきちんと根付いて地元に還元する活動は当たり前のように行われているんです。


お酒を造ることが誰かのためになる、自分たちの生産活動がその土地の役に立っている。
そういう造り手たちの高い意識を伝えることで、お酒を飲むことが遠い異国の誰かの役に立っているんだという事情を知っていただきたくて」

エラドゥーラ蒸留所では、アガベの絞りかすなどを燃料に再利用すべく専用のプラントを建設していた。

華やかなパーティを入り口にスピリッツに親しんでもらい、それぞれのスピリッツの背景に潜むストーリーで虜にする。
酒にまつわるシーンをさまざまな角度から掘り下げているのは、たくさんの人々においしい酒のある文化を知ってもらいたいからだ。


「私が若いころはお酒をよく知る年上の方たちに、素敵なバーへ連れて行っていただきました。
おいしいお酒を覚えられたのも、そういう機会があったから。
残念ながら、いまはそういう機会やシチュエーションが少なくなってしまいましたよね。
バーに出かけるのが決まった人・層だけなんて、あまりにもったいない。


私がJUASTの活動でイベントやセミナーを開くのも、それが多くの方々にとってお酒の楽しみかたを知る機会になれば、と思うから。
楽しみかたや飲み方を知れば、そのお酒への興味が湧いてくる。
そのお酒にまつわる物語を知るようになったら、それを周りの人たちへシェアしたくなる。


お酒の文化ってそうやって受け継がれていくんじゃないでしょうか。
自分たちのやっていることが、そうした文化の礎の一つになれたら、それは幸せなことですよね」

カーサデルナを造るファナカトラン蒸留所のオーナー一家と。こちらではアガベの絞りかすからリサイクルレンガを作り、貧民層のための家を建てるボランティア活動に取り組んでいる。

JUASTの活動に加え、目時さんが積極的に行っていきたいというのが現地の視察である。
「私に限らず他のメンバーも、海外の蒸留所やバー巡りは積極的に行っています。
私はテキーラが専門なので、メキシコには毎年足を運んで、最新の情報をアップデートしていきたい。
オアハカやサカテカスなどでメスカルも勉強したいし、あげていったらきりがありません。


あとは日本人が好むデスティネーション先へも出かけて、テキーラ文化を開拓したり。
ハワイ・オアフ島のノースショアなんて、じつはマルガリータ専門のバーがあるんですよ。
コンビニで手軽にプレミアムテキーラが買えるほど、テキーラ愛が深い土地なんです。


そういう情報を自分の中で整理して生きるデータベースになり(笑)、世界中を旅する人たちへ、最新で最高のテキーラ情報を伝えられるようになりたい。
いつか、世界で楽しむテキーラ・シーンを掲載した『テキーラ旅本』をまとめられたらいいですね」

テキーラフェスタ運営事務局
東京都港区南青山3-8-2
青山OGビル3F NARF内
URL:http://www.tequilafesta.jp

SPECIAL FEATURE特別取材