道内限定『オホロ ジン』も発売開始。
ニセコ蒸溜所が目指すウイスキー造り。
<後編>

PICK UPピックアップ

道内限定『オホロ ジン』も発売開始。
ニセコ蒸溜所が目指すウイスキー造り。
<後編>

#Pick up

Suzuki Takahiro/鈴木隆広 by「ニセコ蒸溜所」

今月、ご紹介するのは、10月1日にニセコに初誕生したウイスキー蒸留所のニセコ蒸溜所。目指すウイスキーに迫ります。

文:Ryoko Kuraishi 

ニセコ蒸溜所では2021年3月から本格的なウイスキー造りを始めている。


イギリス産の麦芽とニセコアンヌプリの伏流水を用いて仕込み、木製の発酵槽で発酵させた後、フォーサイス製のポットスチルで蒸留している。


こうして造られた原酒は貯蔵庫へ。バーボン樽、シェリー樽、ワイン樽、バーボン樽を組み直したホッグスヘッド、新樽の5種類の樽を用いている。


5月に初めての樽入れを行い、これまでにおよそ18,000リットル(61樽分)を仕込んだ。


「貯蔵庫には空調設備はありませんから外気温の影響を受けます。

ニセコの気候は夏も冷涼なので、原酒の熟成はゆっくりと進みます。ニセコの自然環境そのままの室温でじっくり、時間をかけて熟成させていきます」

カラマツの一枚木のカウンターが試飲スペースになっている。

10年、20年先を見据えて取り組みウイスキー造り。


目指すのは、バランスのとれた繊細な味わいの、世界に認められるジャパニーズウイスキーだ。


「ようやくウイスキー造りが始まりましたが、ようやく大きな助走段階に入ったと思っています。

10年熟成くらいのものができてようやく、ものづくりの本番というステージに至るんじゃないかな。

そういう長い機関のなかで、たとえば麦芽作り、北海道産ミズナラの木樽造り……などいろいろなチャレンジもしていきたいと考えています」

道内限定で発売されている「ohoro GIN」。

ニセコ蒸溜所の第一弾プロダクトは「ohoro GIN(スタンダード)」。

ウイスキーのお目見えは2024年以降となる見込みだが、蒸溜所のオープンにあわせてジンの発売をスタートしている。


「ohoro GIN」のオホロはアイヌ語で「続く」という意味で、ニセコエリア初のジンが地元の人に長く愛され、続いていくことを願って命名された。


「とにかくたくさん試作した」という中から選ばれたのは、ジュニパーベリー、コリアンダー、カモミール、アンジェリカルート、オリスルート、リコリス、種々の柑橘など13種のボタニカルの組み合わせだ。


ニホンハッカ、ヤチヤナギという道内産のボタニカルを加えて北海道らしさも表現した。


「クリーンでスムースなアタックのなかにもしっかりとした芯があり、軽やかなシトラスが香ります。

カクテルベースとしてはもちろん、ストレートやロック、ソーダ割りなどシンプルに楽しんでいただけます」

ショップスペースに並ぶのは、ウイスキーと同様に「時」をテーマにした工芸品。東北の日本酒なども置いている。

ジンに関してもウイスキーと同様、バランスと繊細さを重視。


ニセコという地域性は大切にしているものの、品質と味わいを第一にボタニカルを選定した。


もちろん、地元産でまかなえる素材があれば、いずれはそれらを採用する可能性もあるそうだ。


なお、南雲副社長によれば、「地元ニセコ町で丁寧に造られている、個性豊かなチーズとの相性がよく、ペアリングとしておすすめ」とのこと。

地元のカラマツをふんだんに使った蒸溜所へ。

蒸溜所では予約制の見学ツアーを実施している(1日4回実施、1回10名まで)。


1回90分をかけて製造スタッフが蒸留工程の解説や貯蔵庫の案内をしてくれる。


バーカウンターでの試飲(有料)も可能だ。


蒸留設備の横にはショップスペース(来場は予約制)を設けており、こちらではウイスキーのように「時を重ねることで価値が高まるもの」をセレクトしている。


玉川堂の鎚起銅器、東北の酒蔵の日本酒など、「時の重なり」だけでなく、それぞれの地域の個性や風土が感じられるアイテムが勢揃いする。


3年先にリリースとなるウイスキーを想像しながら、ジンを味わい、とっておきのプロダクトに触れて、時の流れにしばし浸ってみよう。



SHOP INFORMATION

ニセコ蒸溜所
北海道虻田郡ニセコ町ニセコ478-15
TEL:0136-55-7477
URL:https://niseko-distillery.com

SPECIAL FEATURE特別取材