今月の主役はストロー!
バーでできる脱プラ&サスティナビリティ。
<後編>

PICK UPピックアップ

今月の主役はストロー!
バーでできる脱プラ&サスティナビリティ。
<後編>

#Pick up

ノイハウス萌菜さん by「のーぷら No Plastic Japan」

後編でご紹介するのは、ノイハウス萌菜さんが立ち上げたのーぷら No Plastic Japan。ステンレス製ストローをきっかけに、身近にある使い捨てプラスチック問題に目を向けてもらおうという活動をご紹介する。

文:Ryoko Kuraishi

のーぷら No Plastic Japanを立ち上げた2年前とは、状況は全く変わっている、とノイハウスさん。 「脱プラに興味を持ってくれる人が増えていますし、マイカップ・マイストローを持ち歩く方も珍しくなくなりました」。

のーぷら No Plastic Japanを運営するノイハウス萌菜さんはイギリス育ち。
5年前、転職をきっかけに長く暮らしたロンドンを離れ、日本に移り住んできた。


「日本に来て驚いたのが、東京の生活の便利さと、使い捨てプラスチックゴミの多さでした。
特にストローとかおしぼりとか、『なくても困らないもの』の使い捨てが過剰に溢れている。


ロンドンの環境に対する意識は東京より少し進んでいて、マイボトルやマイバッグの持参、紙製やステンレス製容器、ストローでの提供はすでに当たり前になっていましたから。


ある日、オーガニックを謳うカフェに入ったらプラスチックの使い捨て容器が出てきたことがありました。
そこで感じた矛盾を友人に話したら、とても共感してくれたんです。


たった1人の消費者が意見したところで何も変わらないかもしれないけれど、こうした矛盾をたくさんの人と共有したり、情報を発信したり、さまざまな人の声を集めたりするコミュニティがあれば、何か変わるかもしれない。
そんな思いで立ち上げたプラットフォームが『のーぷら No Plastic Japan』の始まりでした」

のーぷら No Plastic Japan代表のノイハウスさん。

2018年、会社員とした働く傍ら、のーぷら No Plastic Japanをスタート。
サスティナブルな情報を発信するとともに、プラスチック製品を代替するステンレス製ストローの輸入・販売を手掛けている。


ノイハウスさんがストローに着目したのは、一般の家庭に常備されているものではないから。
家になく、かつ気軽に取り入れられるものでプラスチックの代替を発信したいのーぷら No Plastic Japanにとって、ストローはまさにうってつけのアイテムだった。


「初めは竹製ストローを考えていました。
バリ島に遊びに行った時、飲食店のほとんどが竹製ストローを使っていたことが印象的だったんです。
使い捨てプラスチック削減に貢献するのはもちろん、島を取り巻く自然とのつながりを表しているようでとてもユニークだと感じました。


日本にも竹は多いですから竹製ストローは風土にマッチすると思ったのですが、飲食店に広めることを考えると割り箸のように捉えられがちな竹製では衛生面を心配する方もいらっしゃるだろう。
そこで繰り返し使えて、環境負荷も高くないステンレス製を導入することにしたんです」


飲食店の運営に詳しいわけではないけれど、オペレーション面が煩わしくなることは容易に想像できる。
すぐに切り替えてもらうことは難しいだろう。
それでも、導入した店舗からは非常にいいフィードバックを得ているそう。

「なぜステンレス製を導入したのか、環境問題に対して店舗はどういう考えを持っているのかなどなど、このストローがお客さんとのコミュニケーションのきっかけになっているそうなんです。


脱プラを浸透させるためには、大きなアクションよりもまず、さまざまな人にプラスチック問題を知ってもらい、人ごとではなく『自分ごと』として考えてもらうことだと思うんですね。


そういう意味で飲食店での利用は脱プラのショウケースになりますから、今後は飲食店に向けてどんどん広めていきたいと考えています」


面白いのは、外出自粛期間中になぜか飲食店からの問い合わせが急増したこと。
テイクアウトの需要から一気に増えたプラゴミと向き合う中で、プラスチック問題を実感する飲食店が増えたのかもしれない。

量り売り食品の輸入会社「斗々屋」とのコラボで運営する「nue by 斗々屋」。素材のクオリティはもちろん、プラスチックフリーのパッケージにもこだわっている。買い物をする場合は自分の容器を持参で!

最近ではノイハウスさん自身、志を同じくする数名のメンバーとともにプラスチックフリーをコンセプトに掲げる食材量り売りのモデルショップ、「nue by 斗々屋」をスタートした。
日曜限定だが、店舗のオペレーションや効率のいい運営方法のトライ&エラーを重ねているところだ。


「量り売りもストローも、環境を意識した生活改善のきっかけの一つ。
ビジネスも個人でも、色々なやり方、考えがあるのだから、まずは自分ができそうなこと、興味のあることから少しずつ。
試してみてダメなら半歩下がるでもいいと思うんです。それを試して、下がって、それを継続して積み重ねていくことが大事だから」


最後に、バーに期待することを聞いてみた。
「バーの方にはぜひ、ストローの素材による味わいやテクスチャーの違いを感じていただき、グラスを選ぶようにストローも慎重に選んでいただきたいと思います。


そして、これはバーに限らず飲食店全てに向けてなのですが、お店それぞれに決断力を持っていただきたいと思います。


自分の理念にかなった取り組みを始めて、ぜひお店の価値観を発信してください。
そういう価値観に共感する人が来てくれるはずだし、足を運ぶ方も『こういうスタイルがあってもいいんだ』って親近感を持ってくれるのではないでしょうか」


1人当たりのプラゴミ排出量、輸出量ともに世界ワースト2位の日本。なぜこれほど多くのゴミが出るのか、どうすれば削減できるのか。
身近なところからゴミ問題を考えてみませんか。

のーぷら No Plastic Japan
非公開
TEL:非公開
URL:https://noplasticjapan.com

SPECIAL FEATURE特別取材