今月の主役はストロー!
バーでできる脱プラ&サスティナビリティ。
<前編>

PICK UPピックアップ

今月の主役はストロー!
バーでできる脱プラ&サスティナビリティ。
<前編>

new 01.08.2020 #Pick up

平間亮太さん by「4Nature」

世界中のバーや飲食店でプラスチック製ストローを紙や竹製などのストローに代替しようという動きが広がっている。今月はストローをテーマに、バーシーンのサスティナビリティを考察してみよう。

文:Ryoko Kuraishi

「昔から環境問題にコンシャスだったわけではないんです」という平間さん。「自分たちを取り巻く現状を知るようになり、社会に求められる本質的なことに取り組みたいと思うようになって4Natureをスタートしました」。 現在、世界の海を漂流するプラスチックゴミの量はおよそ1億5000万トン。そこへ毎年800万トン以上のゴミが新たに流入しているという。こうしたプラスチックゴミ問題はどうすればいいのか。日本ではプラスチックゴミの80%以上をリサイクルしていると言われるが、実はその多くはプラスチックゴミを燃やしてエネルギー源にするというもので、これは世界基準ではリサイクルに含まれない。

紙ストローに竹ストロー、何度も使えるステンレスストロー……。さまざまな素材のストローが登場しているが、なかでも一際ユニークなのが、4Natureが販売するサトウキビ由来の生分解性ストローだ。


使い勝手や耐久性は従来のプラスチックストローと全く同じ。
長時間水につけても溶け出さず、変形もなく、紙製ストローより低コスト。おまけに使用後は堆肥化できるのである。


4Natureは元銀行マンの平間亮太さんが2018年10月にたった1人で立ち上げたスタートアップ企業だ。


台湾で作られているサトウキビストローを商材に、輸入販売、使用済みストローの回収、そして堆肥化(コンポスト)という循環型ビジネスを、飲食店と手を携えて展開している。

従来のプラスチックストローと遜色のない使い勝手のサトウキビストロー。ただし、生分解性ストローに切り替えるだけでは表面的な活動で終わってしまう。4Natureでは、使用済みを焼却するのではなく、回収してコンポストするという循環型のストーリーを描くことがサスティナブルであると考える。

海外でMBAを取得しようと大手銀行を辞めて海外留学の準備を進めていた頃、台湾の友人に教えてもらったのがサトウキビストローだった。


「もともと街づくりに興味があり、金融と不動産による先進的な街づくりを行っているシンガポールへ留学しようと考えていました。
友人に見せてもらったストローは直感的に面白いと思いましたが、台湾ではまだ実際に生分解させるところまでは至っていなかった。


これをきっかけに生分解性やバイオマスをリサーチするうち、日本でこのストローを使った街づくりができるんじゃないかと思うようになったんです」


平間さんは現在、カフェやロースターと共にプラスチックストローの利用を少しずつ減らしてきながら、使用済みのサトウキビストローを回収・堆肥化していくプロジェクト、「TOKYO 100cafe Project」を運営している。
サトウキビストローをきっかけに循環型の社会を作るという目標実現への第一歩がこの取り組みなのだ。

栃木県にある提携牧場でコンポスト材料となる使用済みストロー。牛糞を堆肥化する際に入れるおがくずやもみ殻の代わりにサトウキビストローを投入する。サトウキビストローが分解される際に熱が生じるため、効率よく発酵が進むのみならず、最終的には水と二酸化炭素に分解されるため、堆肥化後のかさが増えない点もメリットである。

「オペレーションやコスト面から、全てのプラスチックストローを一斉に代替ストローに切り替えることは容易ではありません。


けれどこれにはゴミを減らすという実務的なメリットだけがあるだけでなく、こういう取り組みを行っていると発信することでお店の価値観や循環型社会を目指すというストーリーの表明にもなり、これは強力なファンやサポーターを獲得する手段になります。


何より、お店とお客さんのコミュニケーションを促すきっかけにもなるんですね」


都内の飲食店がサトウキビストローを導入した場合、4Natureが使用済みのストローを回収するのだが、この回収システムも実にユニーク。
このプロジェクトではボランティアが使用済みストローを各店舗から回収している。
ストローを回収して欲しい店舗と回収するボランティアのマッチングは専用のアプリで行う。


店舗に向けては、回収に来てくれたボランティアにコーヒー一杯のサービスを提案しているそうだが、店舗とボランティア間のコミュニケーションをきっかけにボランティアが店舗の常連となることも少なくないそうで、好循環が生まれているそう。

表参道・COMMUNEに新設されたコミュニティコンポスト。都内ではここの他、池袋にもコミュニティコンポストが設置されている。「焼却場の維持管理や焼却の際に生じる温室効果ガスの排出量を考え、コンポストに興味を持つ自治体も増えています。実際、栃木県の茂木町では行政が主導してコンポストを導入、地元農家に堆肥を使ってもらい、それで育てられ作物に認証を与えるという取り組みを行っています」。

こうして回収したストローはこれまで、毎週末に開催される「青山ファーマーズマーケット」(現在は開催自粛中)で引き取り、栃木県にある提携牧場で堆肥化してきたが、この度、表参道にコミュニティコンポストが新設。ここで堆肥化できることになった。


「このコミュニティコンポストは、家庭用コンポストを手がけるローカルフードサイクリングさんに技術サポートしていただきながらが弊社が運営するもので、各家庭で作られたコンポストに細かく断裁したサトウキビストローを混ぜて堆肥化します。


ここでできた土を農家やコミュニティ農園で使ってもらい、野菜を育ててもらえたら、東京の真ん中で素敵な循環が生まれますよね」


さらに「資源とゴミを地産地消する」べく、街づくりを行っているデベロッパーに向けてビル内にコンポスト施設とコミュニティ農園を設ける提案を行っている。
この取り組みが周辺エリアにも広がっていけばコミュニティコンポストは今後ますます増えていくだろう。

平間さんの地元である千葉県佐倉市では、近隣農家を集めた小規模なファーマーズマーケット、「ソメイノ ファーマーズマーケット」を企画中。「ここにもコミュニティコンポストを設置し、地域で循環を作っていきたいと考えています。それが僕の目指す街づくりなんですね」。

4Natureが取り組むものとしては、これまで台湾から輸入してきたサトウキビストローを国内で製造しようという動きや、ストロー回収に携わるカフェからコーヒーカスを集め、それでオリジナルプランターを製作しようという計画もある。


「プランターは堆肥化した土の使い途を作ることにもなりますし、このように国内でプロダクトを製造できるようになると、カップのふたや持ち帰り用の食器やカトラリーなど飲食店で使うプラスチックの代替品を作れるようになるかもしれません」


かつてないほどプラスチック問題が取り沙汰されている現代。
プラスチックは何がいけないのか、プラスチックを代替するにはどうすればいいのか、そして代替することでどんな効果が生まれるのか。


サトウキビストローをきっかけに、日本のバーでもいま一度、脱プラスチックストロー問題をみんなで考えてみませんか。

SHOP INFORMATION

4Nature
東京都千代田区有楽町1-7-1 有楽町電気ビル北館6F
TEL:非公開
URL:https://www.4nature.tokyo

SPECIAL FEATURE特別取材