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今月のバーテンダー

世界初!メイド・イン・ジャパンのビターズ、
「The Japanese Bitters」がついに誕生!
<後編>

The Japanese Bitters/山崎勇貴

18.09.15

バーの名脇役といえば、ビターズ。新しい銘柄が続々と誕生している。

試行錯誤を重ね、和の素材のビターズのレシピを完成させた山崎勇貴さん。


提携先を探していたちょうどその頃、アムステルダムのカクテルバー、「Door 74」に招かれてビターズのセミナーを開催したところ、ボビーズジンを手がけるハーマンヤンセン社に声をかけられた。


ジュニパーを使ったジン発祥の地とされるオランダ・スキーダムで造られるこちらは、オランダ産ジンのシンボル的存在だ。
1950年代に自家蒸留していたというオリジナルレシピを創業者の孫が発見、ハーマンヤンセン社に製品化を持ちかけた。
インドネシアで生まれた祖父のレシピは、オランダジンに生まれ故郷のエキゾチックなハーブやスパイスを加えたもの。
これを現代風にアレンジしたのがボビーズジンである。


「ハーマンヤンセン社がちょうどアジア展開を考えていたタイミングで、僕の、マスタークラスに参加してくれたハーマンヤンセン社の担当から、アンバサダーとして日本での普及に力を貸してくれという依頼を受けました。


商品プロモーションのノウハウはないので不安はありましたが、ボビーズジンを一口飲んでその唯一無二の味わいに魅了され、二つ返事で引き受けました。
もちろん、そうした経験がいつか必ず、
自分のビターズをセールスする際にも役に立つ、そんな思いもありました」

山崎さんが研修を行った、スキーダムのハーマンヤンセン蒸留所。

ボビーズジンをバーに売り込み、着々とネットワークを広げる裏で、山崎さんの「The Japanese Bitters」プロジェクトも着々と進行していた。


「結局、委託では思うように作れないことから、酒造免許を取得して自分で製造することに決めました。
この時、もう少し酒造免許についての知識があれば、もしかしたら免許を取ろうなんて思わなかったかもしれません(笑)。
そのくらい大変でした」


製造場所は千葉にある父親の家をセルフリノベして蒸留所とすることにし、保健所の認可を受けた。
問題は酒造免許だ。


「最初に税務署に行った時は、文字通りの門前払いでした。
農学部の学位がないと取得はできない、と」

ハーマンヤンセン社が拠点を構えるスキーダムといえば、これ。高さ33mの風車は街のランドマークだ。

「けれどハーマンヤンセン社で研修の経験がありますから、彼らに頼んで書類を作ってもらったんです。
それでようやくスタートラインに立てました」

とはいえ、免許取得までは1年がかり。
例えば、ボトルに使うスポイト一つをとっても、国内では食用に使った前例がないということで、食品に使って問題ないというエビデンスを提出しなくてはならなかった。


「同時に、事業立ち上げに当たって経営やマーケティング、製造業に関する知識、ノウハウを学ぶため、経営収支の勉強も始めました。


ビターズの製造についても、従来型の製造業ではなく、非常にコンパクトに行えるマイクロビジネスを目指しています。
インターネットやSNSを駆使したプロモーションや販路の開拓、AIを導入した製造、生産管理、マネジメントで未来型のビジネスモデルを描いてみようと思っています」

海外でモニタリングを行なった様子。ラベルのデザインもここから随分アップデートされた。

さて、肝心のビターズの使い方だが、山崎さんのおすすめはシンプルなジントニック。
「今後ますますジンのマーケットは大きくなりそうですから、他とは違ったジントニックの提供を考えているバーへ向けて『The Japanese Bitters』を提案していきたいですね。


日本のクラフトジンも次々に誕生していますが、このビターズはジンのボタニカルを際立たせる飛び道具になります。
いずれは、ビターズではなくプレミアムな“ジャパニーズ・フレーバリング”という新しいカテゴリーとして認知させていければ」


柚子、紫蘇に関してはウイスキーサワーとも相性がいいです。
旨味ビターズのレシピは、実は『石の華』の石垣さんにアドバイスをいただいたという経緯があるのですが、石垣さんはオールドファッションドに旨みを使ってくださっています。
その味わいにはきっと、衝撃を受けるはず。


知人がコンサルタントを務めているハイエンドな居酒屋ではビールに加えているそうで、普通のビールなのにクラフトのような味わいが出て面白いという感想もいただいています。
自由な発想で使ってもらえたら、造り手冥利に尽きますね」

現在、イギリス、オランダ、イタリア、ドイツ、台湾、マレーシア、アメリカでの展開が決まっている「The Japanese Bitters」。
10月のバー・コンヴェント・ベルリンを皮切りに、ヨーロッパツアーをスタートさせる予定だ。
ロンドンのカクテルウィークへの参加も計画中だ。


「海外ではバーはもちろん、和食ダイニングにも積極的にプロモーションを仕掛けていくつもり。
海外では和食の人気は根強いですから、和のフレーバーのカクテルもますます需要が高まってくるはずですから」


造り手としては次なる商品展開も企画している。


「すでにレシピ開発に着手している檜、山椒、山葵をラインナップに加え、まずは全6種で展開していきたい。
晴れて酒造免許を取得したいま、ビターズの次の手として「バーテンダーズ・チョイス」という新しいブランドのローンチを画策しています」


これは、バーテンダーと山崎さんが共同プロデュースを行うリキュールやスピリッツのシリーズになる予定だ。
そのほか、酒蔵とコラボして日本酒とビターズを使ったカクテルの世界的なプロモーションも行うとか。


バーテンダーの働き方の新機軸として、製造業に向き合う山崎さん。
未来型ビジネスモデルでリリースされるメイド・イン・ジャパンのビターズが、バーカウンターを席巻する日もそう遠くはなさそうだ。

Bar Information

The Japanese Bitters
 
千葉県市川市平田4-17-4 JCC AGENT
TEL:非公開
URL:www.japanese-cocktail-creation/com

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