2020年、バーシーンを賑わす
 クラフト系ノンアルコールドリンク2選。
<前編>

PICK UPピックアップ

2020年、バーシーンを賑わす
クラフト系ノンアルコールドリンク2選。
<前編>

#Pick up

調香師ともコーラ by「ともコーラ」

今月はユニークなフレーバーを醸し出すクラフト系ノンアルコールドリンクと、それを取り巻くシーンをご紹介しよう。前編は、まずは今春リリースされるノンアルコールジンからどうぞ!

文:Ryoko Kuraishi

「のん」で提供するノンアルコールジンを使ったジントニック。そのほか「ともコーラ」や季節のフルーツのコーディアル、乳酸発酵したものや紅茶キノコの菌株を使った発酵茶などをベースにしたオリジナルドリンクがラインナップ。Photos by Kenichi Katsukawa

クルマの運転があるから、休肝日だから、今日は飲まない日だから。
飲まない派のためのノンアルコール飲料も、ビール、ジン、日本酒、リキュールと百花繚乱で、その選択肢はますます増えつつある。


今月は、この流れをますます加速させそうな東京発のノンアルコールドリンクにフィーチャー!


まずはこちら、この春発売予定のノンアルコールジン(名称未定)。


昨秋、ノンアルコール派の間で話題になった、期間限定ノンアルスタンド「のん」から生まれたノンアルコールスピリッツだ。


手がけるのは、「のん」を運営する調香師ともコーラさん。クラフトコーラの「ともコーラ」を開発した女性である。

スパイスやハーブをもっと身近なものにしたいと、自宅で開発を始めた「ともコーラ」。「コーラの原点はスパイスをふんだんに使った薬のようなものだったと言います。『ともコーラ』は、大航海時代を彷彿とさせる健康飲料を目指して作りました」。和のハーブを中心に15種のスパイスと、ユズ、ダイダイ、キヨミ、ネーブルなど、その時々の旬の国産・無農薬の柑橘を利用している。「ともコーラ コーラの素」(200ml)¥1,400。サイトから購入可能。

ノンアルスタンド「のん」のコンセプトは、飲める人も飲めない人も楽しめる、“ストーリーのあるドリンク”。


ここで提供されるのは、自家製ノンアルコールコーディアルやアルコール産生の直前で発酵を止めた乳酸発酵ドリンク、紅茶キノコの菌株を使った発酵茶などをベースに使った、お酒のようなコクや余韻、香りを楽しめる一杯である。


抽出、発酵、蒸留といったスピリッツと同様のテクニックを駆使して、飲み手の好奇心をくすぐるノンアルコールドリンクを考案している。


こうしたドリンクにこだわるようになった背景をともコーラさんに聞いてみよう。

調香師ともコーラさんは顔出しNGゆえ、手元のみで登場!

「私たちミレニアル世代はお酒を飲まないと言われますが、じゃあバーカルチャーやお酒の文化に興味がないのかというと、そんなことはないんです。


私自身もあまり飲まない方ですが、面白いドリンクは口にしたいし、特に抽出、発酵、蒸留というプロセスに興味があり、その複雑な香味を味わいたいと思っています。
そして同じような考えを持つ人は少なくないんです。


飲まない派・飲まない日の選択肢はあまりに少なく、お酒と同様のこだわりで作られるノンアルコールドリンク市場はもっと広がってもいいと思っていました」


スピリッツやリキュールには産地、材料、製法、エイジングといったフックがたくさんあるのに、いわゆるノンアルコールドリンクで謳われるのは産地や素材の違いがせいぜいで、お酒が醸し出す色気や奥行きに欠けている。


そんなわけで「のん」では、お酒のように手間暇かけて作ったノンアルコールドリンクをベースした一杯を提供するようになった。


この春発売をスタートするノンアルコールジンは、そんなノンアルスタンド「のん」のバックヤードで生まれたもの。30種のボタニカルを使った自信作だという。

店内に置いた蒸留機を使い、ここで蒸留しているというクラフト・ノンアルコールジン。キレが良く、ボタニカルがふわりと香る。

飲まない人向けに造ったノンアルコールジンだが、実は飲む派からの支持も高い。「味わいにキレがあるからか、飲む派も満足してくれる」そう。


こだわったのは味わいだけではない。収穫前に間引いたフルーツやボタニカルを農家から提供してもらう、蒸留した後の柑橘類も可能な限り再利用するなど、「フードロスを出さない」というストーリーも付け加えた。


「バーに行く醍醐味はお酒を飲むだけでなく、会話や雰囲気を楽しむことにもあります。


お酒を飲まない人だって好奇心をくすぐられるようなドリンクを求めているし、ドリンクをコミュニケーションツールとして使いたいのは同じこと。


とすれば、外食シーンでは飲める人・飲めない人の間の垣根をなくすドリンクが必要になってくるのではないでしょうか」

建物の解体に伴い2月中旬でクローズする「のん」。今後はポップアップやケータリングといったスタイルでノンアルコールシーンを活気づけていく。

さて、ノンアルコールジンのリリースを間近に控えるともコーラさんが現在手がけているのは、素材の産地を限定したクラフト・ドリンクだ。


生産者巡りを行いながら試作品を準備中で、第一弾はショウガとユズの高知県ドリンク。こちらは6月にリリース予定だという。


「その土地の生産者同士をつなぐブリッジのような役割を担うノンアルコールドリンクを作れたらいいですね」とともコーラさん。
ノンアルコールシーンの期待のホープ、調香師ともコーラにご期待あれ!


今月はさらにノンアルコールドリンクを追いかけます!
後編に続く。

SHOP INFORMATION

ともコーラ
非公開
URL:https://tomocola.com

SPECIAL FEATURE特別取材