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ドイツ蒸留所留学!日記

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[vol.01] - アートブックの経営者、「Monkey 47」のマスター・ディスティラーの蒸留所へ

15.10.02

ドイツの蒸留器メーカー、Arnold Holstein社製の蒸留器。クリストフと意見を出し合いながら作ったオリジナルのもの

ドイツの蒸留器メーカー、Arnold Holstein社製の蒸留器。クリストフと意見を出し合いながら作ったオリジナルのもの

こんにちは。はじめまして。
現在、ドイツの南の小さな村で蒸留所で修行をしている江口と申します。
蒸留所の名前はStaehlemuehle(シュテーレミューレ)。主にEAU DU VIE、つまりフルーツブランデーを作っています。
営むのは、ボタニカルジン「Monkey 47」のマスター・ディスティラーも務めるクリストフ・ケラー。蒸留機のポットの大きさはわずか150リットルの小さな蒸留所です。(とはいえ「Monkey 47」も最初の3年間はこれで蒸留をしていたそうです。)
シュテーレミューレについてはドリンクプラネットのこの記事をご参考ください。



果樹園で育てられている珍しい品種

果樹園で育てられている珍しい品種

僕がクリストフ・ケラーと出会ったのは、実はお酒ではなく本でした。彼は以前、アートブックの出版社を営んでおり、一方僕は東京でアートブックを扱う書店を経営していました。
彼が作る本は、個性的でつい仕入れてしまう妙な魅力があって(あまり売れないのですが)、僕は彼の作る本を通じて、一方的に知っていたのです。
その彼が出版社を譲って、ドイツの田舎で蒸留所をはじめたという記事を海外の雑誌で読み、いったいどのようなことをやっているのだろうと興味を持ったのがはじまり。その一方で、友人からこんなジンがあるんだよって「Monkey 47」を飲ませてもらう機会があり、その香りに強い衝撃を受けていたところ、このジンを作っているのが彼だということを知って、ますます興味が高まり、コンタクトを取り、昨年の夏に会いに行ってきました。

そこで彼が作る蒸溜酒の魅力はもちろんですが、ボトルやパッケージのデザイン、そして蒸留所の環境に至るまで、徹底的に彼の美意識によって形作られたその世界にすっかり魅了されてしまいました。
それからあれこれがあって(かなり端折りますが)、この夏から蒸留所で修行中というわけです。

原料は200種類!

さて、この蒸留所で何を作っているかというと、主にEAU DU VIE、つまりフルーツブランデーを作っています。
一般的にはリンゴやナシなどが有名ですが、シュテーレミューレではなんと200種以上ものEAU DU VIEを作っています。
Gesamtsortiment(一覧)によると、洋梨、プラム、りんご、柑橘、ベリー類といった一般的な果物から、マッシュルームや玉ねぎといった野菜、エルダーベリーなどの野生種、ナッツ、ハーブ類と様々です。それらを組み合わせたり、香りやハーブをブレンドしたもの、樽熟成されたものなど、バリエーションを加えると、今までに作ったのは600種類を超えるそうです。

9月のこの時期はまさにハーベストシーズン。何をどうやって収穫するかっていうのが今日のテーマです。

近所の家の庭に生えているホルンダラ(エルダーベリー)を採らせてもらえないか交渉中。(断られました)

近所の家の庭に生えているホルンダラ(エルダーベリー)を採らせてもらえないか交渉中。(断られました)

200種の原料をどうやって調達するかというと、自社農園で作られるものももちろんありますが、なにせ敷地はわずか6,7ヘクタール。当然それだけでは間に合いません。

このあたりは農業地帯なので、もちろん仕入れれば簡単に調達できるのでしょうが、クリストフはできるだけ手をかけたやり方で入手することにこだわっているように見えます。
それは、均一に大量生産されたものよりも、野生種や人の手のかけられたものの方が味に深みや複雑さがあるという考えから。
そこで近くの農家から購入したり、自分たちで山へ収穫に走り回ったり、ゴルフ場の木に登らせてもらったり、近所の人に頭を下げたり...。本当にありとあらゆる手を使います。

蒸留所のメンバーはどこに何が生えているかを把握していて、そろそろ収穫できそうなタイミングを見計らって、ハーベスト号と呼んでいるジープに乗り、パトロールに行くのです。

600リットルのタンク。これにマッシュした原料を入れ約一ヶ月発酵させます。僕は発酵しているわけではなく、タンクの内側を洗っているところ。

600リットルのタンク。これにマッシュした原料を入れ約一ヶ月発酵させます。僕は発酵しているわけではなく、タンクの内側を洗っているところ。

蒸留に使う果物は見た目を気にするわけではないので、できるだけ完熟したものを使います。だから、パトロールに行っても、まだ熟したタイミングではなく引き返すこともしょっちゅう。そんなときは下草を刈って、完熟して地面に落ちてきた時に拾いやすいようにしておきます。

また、蒸留所内の果樹園では、主に他では栽培していないような特殊な植物を育てています。
他で栽培しているもの(りんごやナシやぶどう)は他から入手し、野生種はその場所を探し当てて取りに行く、そして他で手にはいらないものは自分で育てる。
これが彼らのやり方なのです。

しかしこれに付き合わされる方は大変です。毎日どこかに長い棒とかごを持ってでかけ、朝から完熟した実を求めてジープで走り回り、帰ってきたら果物を発酵させるために細かく砕く作業が待っています。

こうして収穫した果物は、一ヶ月ほど発酵、抽出させた後に、蒸留へと進みます。しかし、その作業まだ未体験。次回以降に続きます。

Text by 江口宏志 ブックショップ「UTRECHT」代表、「THE TOKYO ART BOOK FAIR」ディレクターを経て、フリーの本好き。現在は蒸留の勉強をするためにドイツで修行中。 hiroshieguchi.com Staehlemuehle(シュテーレミューレ)。 http://www.staehlemuehle.de/

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