欧米セレブ発の健康ドリンク、
コンブチャが日本を席巻する?
<前編>

PICK UPピックアップ

欧米セレブ発の健康ドリンク、
コンブチャが日本を席巻する?
<前編>

#Pick up

コンブチャ by「大泉工場NISHIAZABU」

暑さも本番を迎えるこれからの季節にぴったりのあのドリンクが、いよいよ日本でもブームの兆し?今月は、アメリカのセレブリティから火がついて全米で大流行を巻き起こした、噂のコンブチャにフィーチャー!

文:

大泉工場で発酵中のコンブチャ。表面を覆うセルロースの塊がいわゆる菌株で、正体は産膜性酢酸菌。

コンブチャとは、1970年代に日本で紅茶キノコとしてブームになった発酵飲料のこと。
ちなみに昆布茶とは全くの別物で、英語ではKOMBUCHAと表記する。


紅茶(あるいは緑茶)などのお茶に砂糖と酢酸菌、酵母由来の植物性の乳酸菌を加えて発酵させたもので、乳酸菌やポリフェノールなどの栄養素を多く含むことから、腸内環境を整えるなどの効果が期待できる。


お茶をベースにしたドリンクだからカロリーも抑えられ、他の清涼飲料水に比べると糖質も少ないことからアメリカではオーガニックの健康食品店はもちろん、スーパーやレストラン、バーなどでも定番として扱われている。


お茶の香りが心地よく、微炭酸の飲み口と爽やかな酸味を特徴とするコンブチャは、他のドリンクとも好相性。
ストレートはもちろん、コールドプレスジュースで割ったり、ゆずなどの柑橘類やミントなどハーブのフレーバーをつけたり、様々な飲み方を楽しめる。


そんなコンブチャを日本で生産・販売しているのが、この春、西麻布にオープンした大泉工場NISHIAZABUだ。

アメリカのスーパーマーケットやコンビニではコーナーが設けられるほどの定番品に。

オリジナルのコンブチャのほか、フレーバーをつけたコンブチャ、契約した生産者によるオーガニック野菜や果物だけを用いたコールドプレスジュースやショットジュースなども提供する。
「食」「健康」「文化」を発信する基地なのだという。


遡ること2年前。
アメリカの魅力的な食文化や食材を日本で展開したいと、大泉工場の社長、大泉寛太郎さんが現地の視察を重ねる中で出合ったのがコンブチャだった。


日本人に馴染みの薄い飲料ではあるが、スローライフの概念が発達しているポートランドやサンディエゴ、サンフランシスコなどで盛んに造られていること、そこで造られているコンブチャのキーワードが「発酵」、「ローカル」、「オーガニック」だったこと……などがフックとなり、社内で議論を重ねた末に日本での展開を決めたという。

大泉工場の醸造担当、島田さん。

大泉工場で醸造を手がけているのが、クラフトビール畑出身の島田祐二さん。
ビール造りのノウハウを買われ、コンブチャの醸造責任者に就任した。


といっても、コンブチャを造るのはもちろん、初めて。
昨年からポートランドとサンディエゴを中心としたアメリカの醸造所に赴き、視察や情報交換を重ねたという。


「面白いのは、コンブチャは造り手同士の距離が非常に近く、レシピや菌を共有し合っていること。
情報をオープンにすることで、業界全体を盛り上げていこうという考え方なんですね。


Kombucha Brewers Internationalという業界団体まであって、世界で200社ほどが参加しています。
ブリュワーが一堂に会して情報交換を行う“Kombucha Kon”というカンファレンスが年に一度、開かれているんですよ」

世界のコンブチャあれこれ。ボトル、ラベルにもそれぞれの醸造所の個性が表れる。

ポートランドとサンディエゴは、どちらも人口に対してクラフトビール醸造所の割合が高いことで知られているが、コンブチャの醸造所も全く同様。


クラフトビールといえば地産地消だが、生きた菌を使っているため長距離の輸送に適さないコンブチャにも地産地消が根付いていた。


こうした醸造所ではクラフトビールと同じように直営のタップルームがあって、タップやグラウラー(繰り返し使える持ち帰り用の容器)でコンブチャを販売している。


島田さんが注目したのは醸造所の多くがクラフトビールの設備をそのまま持ってきている点だった。
造り方がほとんど一緒なのだ。


サンディエゴでは、工程の最後にシャンパンの酵母を入れて発酵させ、7パーセントくらいのアルコール飲料として仕上げている醸造所もあった。


「基本的には健康飲料なのですが、アルコールが2〜3.5パーセントほど含まれているコンブチャも少なくありません。
逆にコンブチャにリキュールやスピリッツを加えたカクテルなどもあり、その楽しみ方は人それぞれ。
朝は健康のための、夜は嗜好品として、生活に根付いているんです」

現地視察にて。醸造所直営のタップルームはこんな感じ。

カクテルのベースに……というのはさすがに高度だとして、まずは毎日の健康習慣として取り入れてもらいたい。
だから飲みやすさや飲み口にこだわって開発した。


「うちのコンブチャは、紅茶と緑茶をミックスして造っています。
それぞれの風味、香りが生きて、より豊かな味わいになるんです。


素材に使っているのは、お茶も砂糖もすべてオーガニックのもの。
これを6日ほど発酵させるとオリジナルのコンブチャができあがります。
そこにフルーツやスパイス、野菜ジュースなどを加えてフレーバー付けするんです。


菌は3つの菌をミックスして使っていて、メインとなるのはサンディエゴのイースト製造会社のもの。
もちろん、菌によって全くキャラクターが異なりますから、何を用いるかで味わいの異なるコンブチャができあがります。


コンブチャの造り手は菌を共有し合うといいましたが、みんなどこかからもらってきた菌を使っているから、元祖の菌がどこのものなのか、誰にもわからないんですよ。
そういうシェアの精神が、非常に西海岸っぽくて面白いなと思うんです」


後編ではより深く、コンブチャの魅力について語っていただこう。


後編に続く。

SHOP INFORMATION

大泉工場NISHIAZABU
港区西麻布2-13-13
TEL:03-6427-4749
URL:http://oks-nishiazabu.com

SPECIAL FEATURE特別取材