蒸溜所史上最長、54年熟成のハイランドパークがお目見え!
設立225周年を迎えた蒸溜所のネクストチャレンジ。

SPECIAL FEATURE特別取材

蒸溜所史上最長、54年熟成のハイランドパークがお目見え!
設立225周年を迎えた蒸溜所のネクストチャレンジ。

#Special Feature

ハイランドパーク蒸溜所の設立225周年を記念して、54年熟成のシングルモルト、「ハイランドパーク54年」が225本限定で登場!
ローンチイベントのために来日した、シニア・グローバル・ブランドアンバサダーのマーティン・マークバードゼンさんに特別インタビューを行いました。

ローンチイベントに登場したシニア・グローバル・ブランドアンバサダーのマーティン・マークバードゼンさん。5年前の来日時は銀座のモルトバーを訪れ、すばらしい時間を過ごしたそう。

ローンチイベントに登場したシニア・グローバル・ブランドアンバサダーのマーティン・マークバードゼンさん。5年前の来日時は銀座のモルトバーを訪れ、すばらしい時間を過ごしたそう。

スコットランドのオークニー諸島に、1798年に設立されたハイランドパーク。世界最古の蒸溜所のひとつに数えられる、歴史ある造り手です。

そんな老舗からお披露目されたのは、ハイランドパーク史上、最長熟成期間を誇る54年熟成のウイスキー、その名も「ハイランドパーク54年」。

先日、銀座で開催されたお披露目イベントではシニア・グローバル・ブランドアンバサダーのマーティン・マークバードゼンさん自ら、このウイスキーの魅力を語ってくれました。

どりぷらではマーティンさんに特別インタビューを敢行。世界で225本のみ発売されるというウイスキーが生まれた背景、そしてハイランドパーク蒸溜所の、次世代へつなぐものづくりについて伺いました。




昔ながらの手法を貫く、世界最古の蒸溜所。

昔ながらの手法を貫く、世界最古の蒸溜所。

「ハイランドパーク蒸溜所があるオークニー諸島は、スコットランドの最北端に位置し、70あまりの島々で構成されています。

オークニーはもともとヴァイキングの領土で、オークニーとは彼らの言葉で『アザラシの島』を意味しています。

現在、蒸溜所のスタッフはおよそ20名。この体制で年間200〜250万リットルを生産しています。

フロアモルティングなど、創業当初と変わらない手法でウイスキーを造っていますが、その味わいの特徴はオークニーならではのピートにあります。

風が強く、大きな樹木が育ちにくい風土のオークニー諸島では、樹木の代わりにヒースがよく茂っています。

これが堆積して形成されるピートが、甘くてスモーキーな独特のフレーバーを醸してくれるのです。

また、年間平均気温が8℃という風土に合わせた工夫もなされています。

たとえば、樽入れ時のアルコール度数はおよそ70度、通常よりも高めに設定しています。

夏も20℃を上回ることは滅多になく、涼しく過ごしやすい。冬季は、海洋性気候のために霜や降雪はほとんどありません。

こうした風土が、ウイスキーの熟成をじっくりと進めていくのです」

スコットランドのイェスナビーの断崖を再現したデザインの、スコットランド産オーク材の化粧箱に入った「ハイランドパーク54年」。なお、ボトルデザインはドイツのガラスメーカー、Stoelzle Flaconnage社のシニアデザイナー、マイケル・ルダック氏が手がけた。

スコットランドのイェスナビーの断崖を再現したデザインの、スコットランド産オーク材の化粧箱に入った「ハイランドパーク54年」。なお、ボトルデザインはドイツのガラスメーカー、Stoelzle Flaconnage社のシニアデザイナー、マイケル・ルダック氏が手がけた。

40年のレフィル+14年のファーストフィル

「ハイランドパーク54年」は、2008年、マスターブレンダーのゴードン・モーションが長期熟成を見据えて厳選した、1968年に蒸溜・樽詰が行われた10本の原酒から始まりました。

2008年の時点で酒齢40年に達していた原酒をヨーロピアンオークのシェリー樽(ファーストフィル)に移し替えて、グラスゴーの熟成庫にてさらに寝かせること14年。

そうして完成したのが『ハイランドパーク54年』です。

「長期熟成においてとりわけ気を配ったのが、熟成庫の環境でした。

オークニーとグラスゴーでは気候が異なり、特に古酒の場合、アルコール度数が40度を下回らないように工夫を施さねばなりません。

そこで、フロアからの熱を利用できる環境を作り出すなどして、長期熟成の条件を整えたのです。

最後の14年ではアルコール度数を1〜2パーセント上げるように調整して仕上げました。

長期熟成を見据えて管理はしていましたが、何年でリリースしようという計画があったわけではありません。

実は、『もうちょっと度数を上げるまで待ってもいいかな』という話もあったのですが、テストを重ねるうちに、設立225年を迎えるタイミングでのリリースにぴったりだという結論に達し、今回の発売に至ったのです。

ちなみに、さらに高齢のヴィンテージもありますよ(笑)。さすがに54年超となると実験的な要素が強く、いかに味わいを維持できるかがこれからの課題になります。

このままテストを続け、より円熟味が増すようであれば、お披露目できる機会があるかもしれませんね」

ローンチイベントでは、オークニー諸島の荒々しい自然を伝える一角を用意した。

ローンチイベントでは、オークニー諸島の荒々しい自然を伝える一角を用意した。

気になるテイスティングですが、ハイランドパークを知り尽くしているマーティンさんをしても、このスーパーヴィンテージに関してはテイスティングノートを仕上げるのに2、3日を要したそう。

「初めて口にした印象を覚えています。ただただ、驚きでした。

おいしいのは当然として、新鮮味がまったく失われていないこと、また、リフィルとファーストフィルのどちらもの個性が損なわれておらず、むしろふたつが複雑に絡み合い、フレーバーが爆発的に豊かになっていることに驚異を覚えました。

テイスティングノートの執筆にも集中して取り組んだのですが、かなり時間がかりました。というのも、グラスに置いている間にも色々な要素が顔を出してくるのです。

シナモン、マジパン、オレンジピール、さまざまなウッド……そこにハニー、バニラが現れ、デリケートなスモークさが余韻を与えます。

バランスのよさも特徴です。長期熟成となると、どうしてもウッディだったりスパイシーだったりという個性が強く出がちですが、最初の40年間でそれらが抑えられていたんですね。

そこに14年が加わったことでバランスのいいものに仕上がったのだと考えています」

今回、日本に5本が入荷予定。225年の歴史でもっとも販売点数が少ないウイスキーというから、日本はもとより世界各地で争奪戦となりそうです。

「オールドウイスキーについては、投機目的で取引されることも多いと思いますが、造り手としては、やはりおいしく飲んでいただきたいと願っています。

この25年で人々はウイスキーをコレクションするようになりました。オークションで取引されることを前提としたウイスキーを造っている蒸溜所もあります。

モルトバーでも、抜栓されていないオールドウイスキーが棚に並んでいる様子を目にすることがありますが、一抹の寂しさを感じてしまいます。

そのおいしさを知っている造り手として言えるのは、バーでも、レストランでも、個人でも、まずは味わっていただき、私が感じたような驚きを体感してほしい、ということです。

ウイスキーに出会ったことで人生が変わり、働き方を変えた私が、素晴らしい体験になることを保証しますよ」

蒸溜所のあるメインランド島の、ヒースの茂みの様子。ウイスキーの造り手たちは、この環境を守り次世代へつなぐ試みを始めている。

蒸溜所のあるメインランド島の、ヒースの茂みの様子。ウイスキーの造り手たちは、この環境を守り次世代へつなぐ試みを始めている。

225年の歴史をもつ蒸溜所のネクストステップ

社会の変化を受けて少しずつ変化するものづくりの背景。もちろん、ハイランドパーク蒸溜所にも変化の波が訪れているようです。

「地球規模の気候変動の影響を受け、私たちのウイスキー造りも変化しつつあります。

というのも、ピートの生育や質に気候変動が影響を与えるからです。

そもそもピートだって枯渇してしまうかもしれませんから、サステナビリティの観点からもピートの使用状況を考え直さないといけません。

そのため、蒸溜所としてピートの使用量を減らす研究に取り組んでいます。

蒸溜所のマネージャー、マリー・ゴリバがリーダーとなり、いかに少ないピートでこれまでと同じクオリティを維持できるか、効率的なピートの使い方の研究を続けています。

この取り組みが成功し、この5年でピートの使用量を、年間300トンから150トンへ半減できました。

また、雨水を溜める池をつくり、ピートの堆積を促す仕組みを整備しています。

さらに、ピート以外についても、サステナビリティを追求するために新しい取り組みを始めています。

ステンレスタンクを導入し、蒸溜所で使う熱源を再利用し、省エネに取り組みつつ、オイルやコークのような化石燃料ではなく再生可能エネルギーに切り替えるといった施策を、時間をかけて進めています。

新しい蒸溜所は最初からサステナビリティを考慮して建設されていますが、私たちのように古い蒸溜所は急激にシフトすることが難しい。

とはいえ、ピートは私たちのDNAです。これを守り、次の時代へウイスキー造りを継承するための試行錯誤をこれからも行っていきます」

最後に、日本のバーテンダーたちに向けてメッセージをいただきました。

「54年もの間、樽の中でいろいろなものを吸収して大人になって落ち着いたヴィンテージですから、ぜひ、54年という時間の積み重ねを楽しんでいただければと思います。

アルコール度数は46.9%、加水はしないほうがいいでしょう。

フレーバーがかなり強いので、じっくり、時間をかけて、口のなかでさまざまなフレーバーの輪郭が顔を出すのを待って、フレーバーの移り変わりを楽しんでください。

このひとときを楽しんでいただけることを、心から願っています」


★ハイランドパーク公式HP(日本語)
https://sanyo-brands.jp/lp/highlandpark/


★お問い合わせ
三陽物産株式会社
TEL: 06-6352-1121
https://sanyo-brands.jp


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ローンチイベントの冒頭で「ハイランドパーク54年」を紹介するマーティンさん。

ローンチイベントの冒頭で「ハイランドパーク54年」を紹介するマーティンさん。

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