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宮崎優子さんインタビュー<後編>
Withコロナ時代のバーテンダーの生き方を考える。
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宮崎優子さん by「Bar Tenderly」
プロフェッショナルな仕事と穏やかな語り口にファン多し。コロナ災においてはいち早くクラファンを仕掛けるなど、フットワークの軽さも魅力だ。Photos by KENICHI KATSUKAWA
Q4女性バーテンダーにとって働きやすい環境って?
「自分が実力をつけること。時間はかかるけれど、粛々とスキルをみがく」
――宮崎さんがキャリアをスタートさせた当時は、今ほど女性バーテンダーが多くなく、例えばプロフェッショナルとしてカウンターに立っているのに客寄せパンダとして扱われたり、少し目立つと同僚に足を引っ張られたり、そんな経験をしたバーテンダーも少なくないと聞きます。
女性バーテンダーが働きやすい環境についてどのようなお考えをお持ちですか?
A4
そうですね、私自身は性差によるいやらがせを受けた経験はないけれど、話に聞いたことはあります。
ひがみややっかみって、男女の区別や業界を問わずあることですが、それを解決するには結局、人の100倍努力してスキルを身につけて、実力を証明するしかない。
実力をつければ、自ずと自信が湧いてくるもの。
自分に自信があれば、人になにを言われようと気にならなくなるし、圧倒的なスキルを見せつければ他人は何も言えなくなる。
一朝一夕に成し遂げられることではないけれど、だからバーテンディングを続けていくしかないのだと思うんです」
Q5女性バーテンダーがキャリアの岐路に立った時、やるべきことは?
「まずは周囲に味方を増やすことから」
A5
私の場合はキャリアをスタートさせた時にはすでに結婚、出産、離婚を経験していました。
当時はまだ1歳の息子を実母に見てもらいながらバーテンダーとして働き、やがてコンペに参加するようになりました。
そのうちにコンペでいい成績を残せるようになり、どんどん仕事が面白くなっていき、どっぷり深みにハマりました。
そういう意味では、いわゆる女性バーテンダーが直面する、ライフステージの変化に伴うキャリア上の悩みは味わったことがなく、他の方とはケースが異なります。
キャリアの岐路というのはどこの業界でもあることですが、本人が強い意志を持って周囲の理解を得ていくことだと思います。
もちろん、それをサポートする私たちも、彼女たちが働きやすくいられるよう、もっと努力しなくてはいけません。
ただ、ここ10数年で女性バーテンダーを取り巻く環境も大きく変わったと実感しています。
バーテンダー同士のカップルもう増えましたね。
男女という区別なく、互いをパートナーとして認め、敬い、助け合う彼らの姿に新しい時代の流れを感じています。
Bar Tenderlyのスタッフとともに、「全国バーテンダーズ・コンペティション」のバックステージで。
それにはバーテンダーという職業に対する社会からの評価が大きく変わったこともあると思うんです。
水商売として十把一絡げにされていた30年前は、バーテンダーになりたいというと親に反対された、なんて話もよく耳にしました。
けれど、いまではドリンクにまつわるプロフェッショナルとして認知されています。
これはひとえに、上田さんや毛利さんという諸先輩方がバーテンダーの地位向上のために頑張ってきてくれたから。
そこに対する感謝を忘れてはならないと思います。
同時に、その恩恵を受けた自分も後進のために何かをしていきたい。
当面の目標は、出産したり結婚したりとライフステージの変化を経験した女性バーテンダーがその技量を継続して発揮する場所を作ってあげること。
具体的には、彼女たちが仕事をしやすい昼間の時間帯に営業できるようにすべく、環境を整えていきたいと考えています。
Q6 PBOのチェアマン就任に思うことは?
「考えるより先に、まず行動」
――最後に伺いたいのは、PBOの今後です。
業界初のチェアマンとなってどんな抱負をお持ちですか?
どんなことを目標に掲げておられるのでしょう。
A6
私はチェアマンという柄ではないので一度は固辞したのですが、こういう事態の中で少しでも明るい話題作りになればと思い、最終的にお引き受けしました。
ただ、自粛期間明けすぐに就任したこともあり、まだ何も動けておりません。
今年開催できなかったコンペティション、PBOカクテル&バーフェスタ……現状ではリアル・イベントを開催することは難しいですが、バーテンダーを少しでも元気づけられることがあれば、何でもトライしたい。
YouTubeを始めたのもそうですが、思いついたことは何でも試したい性分で、考えこんでばかりいても何も始まらないですし、行動すれば修正もできる、がモットーです。
しかしチェアマンとしては一つ一つの課題をしっかりと熟慮し、他の理事と密にコミュニケーションを取り合い、みなさんのお力を借りながらメンバーのために行動していきたいと思います。
審査員(写真左)やセミナーの講師を務める(同、右)など、バーカウンター以外でも幅広く活躍する。
「バーテンダーには、職人としての誇りを常に持っていて欲しい」
例えば、セミナーやカクテルスクールについては、他の理事と相談しながらオンラインで継続できないか検討中です。
私自身、オンラインセミナーに参加してみて、どこにいても世界中の人とつながれるオンラインの良さを実感しましたから。
この取り組みがうまくいけば、地方在住のバーテンダーも気軽にセミナーに参加してもらえます。
また、バーテンダーのモチベシーションを維持するためにも、競技会の開催はなんとしても必要だと考えています。
技術審査はオンラインでどうにかなりますが、味覚審査だけはどうにも……。
レシピをベースにした代作というのも、微妙にニュアンスが変わってしまいますし。
これは私たちPBOのこれからの課題ですね。
Withコロナという新しい時代の中で、バーテンダー同士が手を携えてこれを乗り越え、さらに輝いていけるように。
そんな思いを掲げ、みなさんが笑顔でいられるお手伝いをしていけたらと思っています。
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