雑誌ミクソロジストが注目するバー
11.10.20
はじめてドイツに行ったのは、今から10年くらい前。
ドイツの東西の壁が崩れたのが1989年、
1990年に東西が統合されたわけですから、ちょうど10年くらい経ったころでしょうか。
とにかく道路が広く、
日本の街のようにひとつひとつが固まってないので、やたらと移動が大変でした。
行った先はベルリン。
まだ共産国、東の匂いが残っていて、おしゃれなバーはほとんど地下にあり、
米国で流行っている『Speak Easy』(禁酒法時代の看板のないお店)スタイルを
そのまま地でいくようなお店が多かったことを記憶しています。
先日あるイベントでドイツの『ミクソロジスト』という雑誌の編集者に会いました。
彼が持っていた雑誌の表紙の写真に私が釘付けとなり、
『その雑誌みせてもらえますか?』
とナンパのように声をかけたことから、
彼がその雑誌の編集者ということがわかったのです。
その紙の選び方、写真のとり方などセンスのよい雑誌で、
ドイツ語ができないことを悔しくおもいつつ、じっくりと見せてもらいました。
そのなかに日本のバー文化について紹介しているページがありました。
それは新宿にあるゴールデン街と、漫画『バーテンダー』。
う~ん、この2つを選ぶとはとしきりに感心しつつ名刺を渡し、
日本で『Drink Planet』というサイトを運営しているんだというと、
iBookに向かって書いていた手をとめ、
いきなり『Drink Planet』とググり、サイトを見ると表情を変えずにひとこと。
『ふ~ん、悪くないね』と。
上から目線なのか、なんなのか。
私がしつこくこのページには何て書いてあるのかと聞くものだから、
執筆を邪魔された彼は観念したのか、
いろいろとドイツのバーについて話しだしました。
今ドイツは、もしかしたらロンドンよりカクテルがおもしろいこと、
ここ数年ビール一辺倒だったお酒の文化に変化があること、
食の文化にも変化がありレストランなどの形態が変わってきていること、
そして「君の参考になるかも」といって
その例として面白く人気が高いバーを5つ挙げてくれました。
そのお店のひとつが、今回取材した『スタッガー・リー』です。
バーテンダーのヤコブ・エッツォルドさんはカクテルに関する書籍のコレクター。
彼のカクテルづくりのベースは、古典のレシピを新たに解釈したもの。
ある日、編集者から、我々がカクテルレシピの作者名を表記するところで、
created by という言葉を使用しているのを、ヤコブさんが変更してくれないかと
いっているという連絡が入りました。
オリジナルカクテルの作者に敬意を表したいというのです。
Createという言葉の解釈のしかたなのですが、
なるほどな~と、そんなところにまで気を配ることに驚きつつ、
彼にも敬意を表し、変更することにしました。