シリーズ連載/英国ドリンク事情

SPECIAL FEATURE特別取材

シリーズ連載/英国ドリンク事情
[vol.07] - 「Food is GREAT ギャラリー」が3都市で開催。
英国産フード×ドリンクペアリング!

#Special Feature

文:Drink Planet編集部

「Food is GREAT ギャラリー」東京会場での様子。写真左上が岡田隆一郎さん。

「Food is GREAT ギャラリー」東京会場での様子。写真左上が岡田隆一郎さん。

2019年9月後半から10月中旬にかけて、札幌、神戸、東京にて、駐日英国大使館と英国環境・食糧・農村地域省が主催する、英国産の食材とドリンクを五感で楽しめる期間限定のポップアップイベント「Food is GREAT ギャラリー」が開催されました。

英国政府は、訪英観光客、留学生、そしてビジネスの機会の増加を目的に、2011年から同国の魅力を世界へ発信する『GREAT』キャンペーンを展開し、世界各国でさまざまな取り組みを行ってきました。

本ギャラリーは、『GREAT』キャンペーンのうち、英国の食産業の発展と、輸出の拡大を目的として行っているプロモーション『Food is GREAT』キャンペーンの一環。

同時期に行われていたラグビーワールドカップを機に、英国産のフード&ドリンクをもっと多くの方に知ってもらうために開催されました。

「Food is GREAT ギャラリー」は、各都市3日間(※東京は台風19号の影響で2日間)行われ、8日間にわたり約3,000人ものゲストが英国産のフード×ドリンクのペアリングを楽しみました。

今回は実際に「Food is GREAT ギャラリー」でドリンクをサーブしてくれた英国在住ミクソロジストの岡田隆一郎さんに、気になるペアリングの中身について訊いてみました。

スコットランド産サーモンとイングリッシュ・スパークリングワイン「ガズボーン・エステイト」。

スコットランド産サーモンとイングリッシュ・スパークリングワイン「ガズボーン・エステイト」。

英国でもイングリッシュ・スパークリングワインは人気!

さて、当日は3つの英国産フードに、3つの英国産ドリンクがペアリングされたのですが、まずは「スコットランド産サーモン、豆腐クリームチーズと海藻添え」に合わせてイングリッシュ・スパークリングワインが供されました。

岡田さんによれば「スコットランド産サーモンは、世界的に2年養殖が主流のなか、3年かけてじっくりと育てられる」とのこと。

そのぶん、香りや味わい、身の締まりなどが格段にアップし、魚貝類の味にうるさい日本人の舌にも大満足のクオリティになるんだとか。

それに合わせたイングリッシュ・スパークリングワインには「ガズボーン・エステイト」の「ブラン・ド・ブラン2013」をチョイス。

※編集部注:ブラン・ド・ブランは、シャルドネ100%のスパークリングワインのこと。

ブドウは基本的にすべて手摘みされ、本場シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵で丁寧に製造されるのですが、ここの畑は海に近い南斜面に広がっているので、どことなく海のニュアンスを感じさせる点が、スコットランド産サーモンにまさにぴったりでした!

「英国でもイングリッシュ・スパークリングワインは非常に人気があります。毎日気軽に飲むというよりは、ちょっとした記念日やパーティーで飲む高級品のイメージです。日本円にすると5,000円~1万円くらいがボリュームゾーン。それだけ丁寧に造られているし、実際にどれもおいしいです。今ならイングリッシュ・スパークリングワインをオーダーすると、ちょっとワイン通っぽいかもしれませんね。まずは一度お試しになってください」


ウェールズ産ラム肉には「コッツウォルズ・ジン」のジントニックを。

ウェールズ産ラム肉には「コッツウォルズ・ジン」のジントニックを。

ラム肉の甘さとジンの甘さが心地いい!

続いてのフードは「赤味噌で煮込んだウェールズ産ラム肉のタルト、マッシュポテト添え」。

ウェールズ産ラムと言われてもピンとこない方も多いかもしれませんが、それもそのはずで、実は今年日本への輸出が初めて認められたばかりなんです。

とはいえ、英国国内はもちろん、世界90カ国以上で親しまれている英国名物のひとつです。

これに合わせるのは、風光明媚な観光地コッツウォルズ地方で蒸溜される「コッツウォルズ・ジン」。

「この『コッツウォルズ・ジン』の最大の特長はノンチルフィルターということです。ボトリング前に濾過することなく、雑味をそのまま残しているので、このように氷を入れると少し白く濁るんです。昔はこの濁りを嫌う傾向があったのでジンはクリアファイ(透明化)されていたのですが、最近はあえて雑味を残すクラフトジンが増えています。なぜならこの雑味のなかに、ジン本来の旨みや甘みなどが溶けこんでいるからです」

実際、ラム肉と「コッツウォルズ・ジン」のジントニックを合わせたところ、ラムの甘さとジンの甘さが綺麗なハーモニーを奏でていました。

会場からは「ラムもジンも、ちゃんと味わうと甘いんですね」という声も。

シンプルなペアリングながら、あるいはシンプルなペアリングだからこそ、その相性の良さが際立った好例といえるかもしれません。

英国産ビーフに合わせて供されたウェールズ産ウイスキー「ペンダーリン」。

英国産ビーフに合わせて供されたウェールズ産ウイスキー「ペンダーリン」。

英国産ウイスキーの可能性は永遠に!

最後は、こちらも今年23年ぶりに日本向けの輸出が解禁となった英国産ビーフを使った一皿「ターメリックのおにぎり、ローストビーフの薄切り添え」。

英国産ビーフは牧草飼育によりストレスフリーで育てられた、いわゆるグラスフェッドビーフ。

ホルモン剤を使用していないため、安心な上に栄養価が高いことでも知られています。

今回は、英国産ビーフ本来の味を楽しんでもらうために、塩コショウのみで調理を施したそうです。

しっかりと味が凝縮したビーフに合わせて、ドリンクは骨太で味わいが強いウェールズ産ウイスキー「ペンダーリン」のマデイラフィニッシュがサーブされました。

「ウイスキーは食後のイメージかもしれませんが、このように味の強いビーフには意外とウイスキーの個性や独特の甘さがよく合います。ウイスキーはソーダで割ると、食中酒として楽しむこともできるんですよ。ハイボールがすっかり定番となった日本の皆さんは、ウイスキーが料理と合うことはすでにご存知かもしれませんね(笑)」

「英国のウイスキーも年々進化しています。スコットランドだけでなく、『ペンダーリン』を筆頭にウェールズやイングランドにも蒸溜所ができたり、若くてチャレンジングなウイスキーメーカーが増えたり……。ウイスキーは長期熟成が必要なので、まだ日本の皆さんのお手元に届いていない新しいウイスキーがたくさん出荷の時を待っています。今後も英国産ウイスキーにご期待ください」

会場には日本未発売、かつ要注目の英国産のリカー類も並んだ。左からイングリッシュ・スパークリングワインの「ボルニー」、クラフトジンの「イースト・インディア・カンパニー」、同じくクラフトジンの「アバフォールズ」。

会場には日本未発売、かつ要注目の英国産のリカー類も並んだ。左からイングリッシュ・スパークリングワインの「ボルニー」、クラフトジンの「イースト・インディア・カンパニー」、同じくクラフトジンの「アバフォールズ」。

岡田さんは今回のイベント「Food is GREAT ギャラリー」について、こんな風に締めくくってくれました。

「20~30年前、英国はマズい、と言われていました。それが今では、ミシュランの星付きレストランや世界に名だたる美食レストランが数多く存在します。しかもロンドンだけではなく、地方や郊外にもガストロ(美食)パブがあったり、食材の一つ一つが安全でおいしくなったりと、英国の食自体のレベルが格段に上がっています」

「ドリンクについても同じです。ロンドンはもちろん、今では地方都市に行ってもハイクオリティなバーがたくさん存在しています。ウイスキーやビールはどこに行っても相変わらずおいしいですし……」

「フードもドリンクも、ひと昔前の古い英国のイメージとはまったく違います。でも、そういう新しいトレンドが生まれる背景には、英国で長年培われてきた素晴らしい伝統があります。伝統があるからこそ、新しいものが生まれ、それが受け入れられるのです。英国はクラシックであり、パンクの国なんです」

「わずか3つのフィンガーフードと3種類のドリンクのペアリングだけでも、英国の伝統と革新の一部を感じていただけたのではないでしょうか」

皆さんも今回のラグビーワールドカップをご覧になって、日本代表はもちろん、イングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルランドの活躍にも感動させられたはず。

そんな英国でつくられた美味なるフード&ドリンクも、ぜひお試しください!

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