ニューヨーク、ミラノ、東京
「カンパリ」をめぐる冒険!

SPECIAL FEATURE特別取材

ニューヨーク、ミラノ、東京
「カンパリ」をめぐる冒険!
[vol.01] - NYの最新トレンドは、
禁酒法以前のクラシックカクテル!

#Special Feature

トップバー「PDT」へ。

世界中のカクテルファンを魅了する上質のカクテルバーがひしめく街、NY。

クリエイティビティにあふれたモダンカクテルが誕生する一方で、今、熱い視線を浴びているのは、オーセンティックなクラシックカクテル。

イーストビレッジにある「PDT」(Please Don’t Tellの略)は、クラシックカクテルの歴史やバックグラウンドを丹念に紐解き、独自にアレンジしたドリンクを得意とし、「ザ・ワールド50ベスト・バー」で常にトップにランクされるNY屈指のカクテルバー。

バーコンサルタントとしても活躍するオーナーのジム・ミーハン氏によれば、このクラシックカクテル人気の再燃は、他でもないバーテンダーたちの手によって生まれたものだという。

「どんなに奇抜なカクテルをつくろうとも、バーテンダーの基本はクラシックです。時を超えて愛されるレシピに感銘を受けた21世紀のバーテンダーたちが、先人たちへのリスペクトを込めてクラシックカクテルを提供することで、人々にその魅力を改めて伝えることができたのだと思います」


アメリカーノはネグローニがお好き!?

もちろん、ミーハン氏自身もクラシックにこだわるバーテンダーのひとりだ。

サゼラックやラモスジンフィズ、ピムズカップ、ハリケーンなど人気のクラシックカクテルは数あれど、氏がひときわ力を入れているのが、イタリア発祥のカンパリカクテル、ネグローニとアメリカーノだ。

「クラシックカクテル人気によって、今NYでは、カンパリがホットなリカーとして再び注目を浴びています。ネグローニとアメリカーノ両者とも、シトラスの苦味とハーブの風味が織りなすカンパリの複雑な味わいを享受できる、洗練されたカクテルです」

カンパリ特有の苦味から、飲む人を選ぶお酒ではあるものの、一筋縄でいかない強い個性がミーハン氏は気に入っているという。

そんなミーハン氏が、カンパリの風味をいかし、モダンにツイストしたオリジナルのネグローニとアメリカーノのレシピを披露してくれた。

「イーストインディア・ネグローニ」は、ジンの代わりにラムを、スイートベルモットの代わりにシェリーを使用した1杯。

一般的なネグローニに比べ、ラムのまろやかさとシェリーのナッティな香りが特徴的で、カンパリのビタースイートな味を際立たせている。

「カンパリカクテルの中では圧倒的にネグローニの人気が強いですね。少し強めのアペリティフとして世代や性別を問わず支持されています。個人的にもカンパリ、ジン、ベルモットはそれぞれ好きなので、間違いがないですね」

一方、アメリカーノはというと「アメリカ人に人気と思うでしょう? でもアメリカーノはカクテルをよく知る外国からのゲストがオーダーすることが多いですね。アメリカ人はアルコールの強いネグローニ公爵派なんです(笑)」。

アメリカ人にはちょっと物足りないというアメリカーノを、ミーハン氏が奇想天外のアイデアでアップデートさせたのが、ずばり「メキシカーノ」。

スイートベルモットではなく、テキーラを使用して国籍を変えてしまったのが面白い。

キリリとしたアルコールの強さを楽しみながら、キュウリとシャンパンでクリーンな後味に仕上がっており、ついつい手が伸びるおいしさ。


「カンパリの絶対的に揺るぎない個性は、クラシック、モダンを問わずカクテルを優雅にアップグレードさせてくれるんですよ」とミーハン氏。

ソーダにもシャンパンにも、あるいはモヒートにしても、アレンジは変幻自在。

ほのかなペールピンクから妖艶なルージュまで、カンパリレッドが織り成す表情はさまざま。

「今夜はどんな魅力を引き出すか、カンパリは作り手冥利につきるリキュールですね」


★East India Negroni 
イーストインディア・ネグローニ(写真左)
ラム/60ml、カンパリ/20ml、イーストインディア・シェリー/20ml 
[Recipe]
すべての材料をミキシンググラスに入れ、氷とともにステア。角氷を入れたロックグラスにストレーナーで注ぎ入れる。オレンジをツイストして完成。

★Mexicano 
メキシカーノ(写真右)
レポサド・テキーラ/45ml、カンパリ/20ml、キュウリ/3枚(7mmにスライス)、シャンパン/60ml
[Recipe]
キュウリをミキシンググラスに入れ、マドリング。テキーラ、カンパリ、氷を加えステア。冷えたクープクラスにストレーナーで注ぐ。シャンパンを加え、レモンをツイストして完成。

★PDT
113 St. Marks Pl.,
New York, NY10009
+1-212-614-0386
http://www.pdtnyc.com

SPECIAL FEATURE 一覧へ

SPECIAL FEATURE特別取材