「ヘンドリックスジン」のシャーメインさんによる
最新ジントレンドと分解テイスティングセミナー!

SPECIAL FEATURE特別取材

「ヘンドリックスジン」のシャーメインさんによる
最新ジントレンドと分解テイスティングセミナー!

#Special Feature

文:Drink Planet編集部

“普通じゃない”ジンのアンバサダーが来日!

2019年秋、「ヘンドリックスジン」の東南アジア地区ブランド・アンバサダーのシャーメイン・アン・シオさんが来日し、福岡、大阪、東京で、スペシャルセミナーやメディアイベント、ゲストバーテンディングを行いました。

ここでは東京で開催されたスペシャルセミナーの模様をダイジェストでお届け!

今回のスペシャルセミナーは、第一部「最新ジントレンド」と第二部「ヘンドリックスジンの分解テイスティングセミナー」という二部構成でした。

登壇したシャーメインさんは、シンガポール出身らしいアジア系の美しい黒髪なんだけど、なんとその黒髪の一部を鮮やかなグリーンに染めていました。

おまけにアイシャドウもグリーンでした。

さすがはキュウリのエッセンスを使用したヘンドリックスジンのアンバサダー、と思いきや、実はアンバサダーに就任するずっと前から、もう7年以上、髪の毛をグリーンにしてきたんだとか。

「だからヘンドリックスのアンバサダーになれたのは運命なの」とチャーミングに笑うシャーメインさん。

やっぱり“普通じゃない”ヘンドリックスジンのアンバサダーに選ばれるだけのことはありますね。

グラスゴーで覚えたジンの味。

普通じゃないのは、シャーメインさんのプロフィールも然り。

多国籍国家のシンガポールで生まれたシャーメインさんは、アメリカ・アリゾナへの留学でアメリカ英語を覚え、さらには英国スコットランド・グラスゴーの大学で英文学・文芸・演劇を学びました。

で、グラスゴーで覚えたのが、スコッチウイスキーではなく、ジンの味!

卒業後は、卒業論文を書くために通ったバーでそのまま働き、さらに深くジンやクラフト・カクテルの世界に魅了されていきました。

シンガポールに戻ると、The World's 50 Best Barsの常連バー「28 Hong Kong Street」でバーテンダーとしてのスキルや接客を学び直し、最終的にはヘッドバーテンダーの一人として活躍するまでになりました。

その間、シンガポール人として初めてthe Tales of the Cocktailの「アプレンティス・プログラム」を受講したり、年一回アメリカ・ケンタッキーで行われる「キャンプ・ルモナック」にアジア初のチームの一員として参加したりしたそうです。

現在は、ヘンドリックスジンの東南アジア地区ブランド・アンバサダーとして、シンガポールをベースに、ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン等を担当。

世界中を飛び回って、ヘンドリックスの魅力を発信しています。

(日本は今回で4回目だそう!)

2019年度版、TOP 10ジンカクテルはこんな感じ!

2019年度版、TOP 10ジンカクテルはこんな感じ!

シャーメインさんが語る最新ジントレンド。

第一部「最新ジントレンド」では、ヘンドリックスジンのプロモーションはそこそこに、ブランドに関係なく、シャーメインさんが見てきた世界のジントレンドを語ってくれました。

ご存じのように、ここ最近のジン人気は飛ぶ鳥を落とす勢い。

ヘンドリックスジンの親会社であるウィリアム・グランツ&サンズ社の調べによると、世界でのジン消費量は前年比150%。このままいくと、近い将来ウオッカの消費量を抜くと予想されています。

また現在世界中で飲まれるカクテルのうち、実に34%がジンベースなんだそうです。

(TOP10 ジンカクテルは上の写真をご参照)

「アンバサダーをしている私ですら把握しきれないくらい、新しいクラフトジンが次々に誕生しています。ジンの成功の鍵となるのは、A Good Product(高品質)とA Real Story(本物のブランドストーリー)、この2つです」とはっきりと言い切るシャーメインさん。

そんななか、世界的に盛り上がる「最新ジントレンド」をピックアップしてくれました。

① Ready to Drink(RTD)
U.K.やU.S.ではRTD、いわゆる缶やペットボトルのジンカクテルが人気。スーパーマーケットなどで気軽に購入でき、一般消費者のライフスタイルにジンが欠かせないものとなっています。

② フレイバード・ジン
ここ2年ほどは、ロンドン・ドライ・ジンよりもフレイバード・ジンが人気(特に若い世代)。いわゆる「ピンクジン」や「オレンジジン」と呼ばれるカテゴリー。特にU.K.では「ゴードン ピンク ジン」がゴードン全体の50%に迫るほどの売れ行き!

③ アジアン・ジン
ジャパニーズ・ジンはもちろん、シンガポール、タイ、インド、中国、フィリピンのジンが注目の的。最近では香港やモンゴルからもジンが出現。いずれもボタニカルにローカル食材を使用しているのがポイント! 特に世界一のジン消費国フィリピンのジンは要チェックとのこと。

こうしたジンの世界的なブームは少なくとも2023年頃までは続くと予想されているんだそうです。

じゃあ、その後、ジンバブルは弾けてしまうのでしょうか!?

「ジンがウオッカの二の舞を踏まないようにする鍵は、やはりA Good ProductとA Real Storyです。品質維持をおろそかにしたり、お金もうけに走ったりするメーカーが多く現れれば、ジンバブルは弾けてしまうかもしれません」

「そうならないためにも、バーテンダーの皆さん一人一人がジンの正しい伝道師となって、消費者の方々に、ちゃんとまっとうで、おいしいジンを届けてください。もちろんヘンドリックスジンも忘れずにね!」

左がベネットスチル、右が上部にバスケットを備えたカーターヘッドスチル。

左がベネットスチル、右が上部にバスケットを備えたカーターヘッドスチル。

ヘンドリックスジン、その製法の魔法。

では、第二部「ヘンドリックスジンの分解テイスティングセミナー」に移りましょう。

ヘンドリックスジンはウィリアム・グランツ&サン社が手がけるスコットランド産のクラフトジンですが、その特長はキュウリと薔薇の花びらのエッセンスを使用していること。

そしてもうひとつ、ベネット社のポットスチルとカーターヘッド社のポットスチル、この2種類のポットスチルで蒸溜していることが特長として挙げられます。

ベネットスチルは1860年製、カーターヘッドスチルは1948年製。

ともに1966年にオークションで獲得し、ウィリアム・グランツ&サン社にやってきました。

2018年に「ヘンドリックス・ジン・パレス」蒸溜所がオープンすると同時に、完全なるレプリカモデルとしてベネットスチルの複製3基とカーターヘッドスチルの複製1基が加わりました。

これにより生産量は飛躍的にアップ!

しかしながら、製造法自体はなんら変わっていないそうです。

ヘンドリックスジンのボタニカルは、ジュニパー、キャラウェイシード、アンジェリカルーツ、カモミール、エルダーフラワー、オレンジピール、コリアンダー、レモンピール、オリスルーツ、キュベブベリーズ(Cubeb)、セイヨウノコギリソウ(Yarrow)という11種類。

この11種類のボタニカルのエッセンスを、ベネットスチルとカーターヘッドスチルという2種類のポットスチルを使用して抽出(蒸溜)しているのです。

ベネットスチルでは11種類のボタニカルを16時間アルコールに浸漬させた後に熱を加えて蒸溜。

いわゆる浸漬蒸溜と呼ばれる蒸溜法です。

実際にアルコール度数70%の蒸溜液を試飲したジャーメインさんは「香りと味わいが強く、大きいですよね。アーシーな感じがあり、ジュニパーが明確に感じられます」とコメントしてくれました。

一方、カーターヘッドスチルは蒸溜機上部のバスケットに11種類のボタニカルを入れ、アルコールの蒸気によってボタニカルのエッセンスを抽出します。

いわゆる蒸気蒸溜(Vapor Distillation)、あるいはバスケット蒸溜と呼ばれる蒸溜法です。

「こちらのカーターヘッドスチルで蒸溜した蒸溜液は、とにかく香りが華やかですよね。ボタニカルが持つフローラル成分やシトラス成分を中心に、主に香りを抽出したものです」

A Good Product & A Real Story!

ベネットスチルとカーターヘッドスチル、この2つの蒸溜機でそれぞれ蒸溜した蒸溜液をブレンドしたものが、ヘンドリックスジンの原酒となるワケです。

「浸漬蒸溜と蒸気蒸溜を組み合わせた2 in 1のハイブリッド蒸溜機を使用している蒸溜所はいくつかあるのですが、2つのスチルを完全に切り離して蒸溜を行っているのはヘンドリックスジンだけです」

「なんでそんな効率の悪いことをするのかって? それがヘンドリックスらしさであり、実際にヘンドリックスジンとしての味の一貫性がきちんと保てるからなのです」

このブレンドはマスターディスティラーのレスリー・グレイシー女史と他5名のブレンダーが極秘で行っているそう。

(シャーメインさんももちろん、そのブレンドレシピは知りません)

さらに、ヘンドリックスジンには前述したキュウリと薔薇の花びらのエッセンスが欠かせません。

ブレンドした蒸溜液(原酒)に、それぞれ低温真空蒸溜した欧州産キュウリのエッセンスと、ブルガリア産薔薇の花びらのエッセンスを加え、さらに加水してアルコール度数を44度に整えたものがヘンドリックスジンとなります。

「特に薔薇の花びらのエッセンスは、1バッチにつき数滴ほどしか加えません。アフターテイストにほんのちょっとだけバラのニュアンスが感じられる程度です」

実際の分解テイスティングセミナーでは、キュウリのエッセンスとバラの花びらのエッセンスともに、スプレーでそれぞれの香りを試させてくれました。

最後にシャーメインさんはこう話してくれました。

「残念ながら、ヘンドリックスジンが生まれるスコットランドは、気候が寒すぎてハーブやボタニカルがうまく育たちません。ですから、キュウリや薔薇、11種類のボタニカルなどは基本的に英国以外から輸入したものです」

「でも、薔薇は英国伝統のローズガーデン。キュウリは英国式アフタヌーンティーのサンドウィッチに欠かせない材料です。そしてなにより、ヘンドリックスジンには誇るべきA Good Productと語るべきA Real Storyが存在しています。こうして分解してテイスティングしてみると、ヘンドリックスジンが“普通じゃない本物”であることがお分かりいただけたのではないでしょうか」

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東京でのメディア限定イベントの様子。

東京でのメディア限定イベントの様子。

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