「ディアジオ ワールドクラス 2011」
世界大会レポートfrom New Delhi

SPECIAL FEATURE特別取材

「ディアジオ ワールドクラス 2011」
世界大会レポートfrom New Delhi
[vol.04] - 後編・未来のチャンピオンへ

#Special Feature

ワールドクラスは世界への扉。

「ディアジオ ワールドクラス」の認知度は年々高まっているものの、実際に応募する日本人バーテンダーの数はまだそれほど多くないというのが現状だそうだ。

日本には5000人以上ものバーテンダーがいて、しかも大きなポテンシャルがあるというのに、これはなんとももったいない話。

そこでシリーズ最後となる後編では、海外で日本人バーテンダーがどんな風に評価されているのか、ワールドクラスに出場するとどんなメリットがあるのか、チャンピオンになった暁にはどんな生活が待っているのか、気になる話をワールドクラス審査員や関係者に聞いてみた。

彼らへのインタビューを通して、ワールドクラスという大会の素晴らしさをあらためて知ってほしい。

そして、もっと多くの日本のバーテンダーたちが世界に羽ばたくきっかけにしてくれればと思う。

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日本人バーテンダーの評価とは?

日本のバーテンディングが海外で高い評価を得ていることは、なにより大竹氏の優勝で証明済み。

だがそれに反して日本人バーテンダーの多くは、世界の舞台で勝負することにまだまだ消極的なようだ。

日本のトップバーテンダーとして今や海外のイベントに引っ張りだこの上野秀嗣氏は、日本のバーシーンの現状について次のように語る。

「ディアジオ ワールドクラス 2011」世界大会レポートfrom New Delhi「日本には外に出て行こうとしない、もしくは外の世界があることすら知らないバーテンダーがあまりに多過ぎる。たとえ知っていても異質なものを受けつけないアレルギー体質がある」

「今まで日本のバーテンダーが目指すべきところは『日本一』で完結していたが、これからは世界を見据えて、ワールドクラスのような大会にどんどん出てほしい」

大竹氏がチャンピオンになった理由について、上野氏はこう分析する。

「今年は日本のハードシェイカーで勝負に挑んだヨーロッパのバーテンダーが非常に多かった。だけどそのほとんどが基本をきちんと押さえていない、形だけを真似たものだった」

「バーテンダーがスタイルでツールを選ぶなんてもってのほか」

「ボストンシェイカーの素晴らしい伝統があるのに、ハードシェイカーを使うなんて、それは他人のふんどしで相撲をとるようなもの。大竹さんが優勝できた理由のひとつは、彼が自分の土俵で戦うことができたからでしょう」

世界から見た日本のバーシーン。

また、同じく大会審査員のダニエル・エストレマドイロ氏も、日本人バーテンダーの道具に対するセンスにはいつも感動させられるという。

「彼らが使うバーツールはデザインが美しいだけでなく、機能性も兼ね備えている。まさに機能美。日本のバーテンダー達は技術が素晴らしいのはもちろん、道具の使い方をよく知っているね」

「2010年優勝者のエリックは日本のテクニックをよく学んでヨーロッパに持ち帰った第一人者といえるけど、そういう人物がひとり現れるとみなが真似しだすんだ。今ヨーロッパのバーテンダーたちはこぞって日本のハードシェイカーを使いたがるが、それはスープをフォークで飲むようなものだ」

「まずコンセプトをきちんと理解しないと」

「ディアジオ ワールドクラス 2011」世界大会レポートfrom New Delhiさらにワールドクラス・グローバル・アンバサダーとして、今年のチャレンジの企画から大会の運営に関わったスパイク・マーチャント氏はこう話す。

「日本のバーテンダーはこれまでクラシックスタイルに偏り過ぎて保守的なところがあった。たとえば台湾や韓国、シンガポールなどは日本のバーテンディングに影響を受けつつも、そのスタイルはもっと自由に感じるね」

「でも、日本もここ2、3年で大きく変わりはじめていて、だんだんとフリースタイルが許容されるようになってきたように思う。オータケさんはそのいい例。クラシックをきちんと押さえつつ、華やかさとスタイルがある」

「それが今回の優勝につながったんじゃないかな」

言葉の違いやこれまでの慣習にとらわれることなく世界への扉を押し開けた大竹氏の優勝は、今の日本の現状を打破する大きなきっかけになるに違いない。

「日本」というバックグラウンドがあることを誇りに、自分のスタイルで勝負に挑んでみよう。

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世界のトップバーテンダーとの交流。

ワールドクラスでは単にバーテンダーとしての腕を試すだけでなく、さまざまな国のバーテンダーたちと交流し、他の国の文化への理解を深めるところにも大きな意味がある。

2010年大会に出場し6位入賞、今年はチャレンジの現場をとり仕切るバーキャプテンとしてサポート役に回った台湾のアンガス・ゾウ氏は、大会に出場する意味について、こう話す。

「去年のワールドクラスに参加して、自分の世界が大きく広がった。まさに目を見開いてくれる素晴らしい経験だった」

「自分にとってそうであったように、このワールドクラスはきっと日本のバーテンダーにとっても世界を知るまたとないチャンスだと思う」

その一方で、主催者側のディアジオ・リザーブ マネージングディレクターを務めるルディ・パオリ氏は「ディアジオ社もまた、バーテンダーたちから学ぶことがたくさんある。まさにwin-winの関係」と語ってくれた。

2010年優勝者、エリックの言葉。

「ディアジオ ワールドクラス 2011」世界大会レポートfrom New Delhiワールドクラスは、出場したバーテンダーたちの価値観に大きな影響を与えてきた。もしかしたら人生にまでも……。

その筆頭が、昨年度の優勝者エリック・ロ―リンツ氏だ。

「ワールドクラスで優勝してから、僕のキャリアは一変。突如として世界のバーシーンに躍り出ることになった。“世界一のバーテンダー”のカクテルを求めて、世界中からゲストがひっきりなしに店にやってくるんだ」
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「それだけじゃなく、ディアジオ・リザーブの顔として世界中を旅する機会に恵まれ、多くの素晴らしい経験を積んだ。業界のトップクラスの人々と仕事をすることができたし、本まで出してしまった」

「本当にこの1年間に起こった感動は、言葉では言い尽くせないよ!」

Raising The Bar

エリック氏が味わった奇跡のような1年は、これから大竹氏にも巻き起こるのだろう。

しかも、私たちの身近なところで。

それはきっと同じ志をもつ日本のバーテンダーたちに大きなインパクトを与え、日本のバーシーンをますます盛り上げてくれるに違いない。

ワールドクラスが掲げる「Raising The Bar」への挑戦は、今まさにはじまったばかり。

日本のバーシーンを、世界のバーシーンをもっと盛り上げよう!

そのための扉「ディアジオ ワールドクラス」は、すべてのバーテンダーに開かれている。

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