「第7回本格焼酎&泡盛カクテルコンペティション」結果発表!

SPECIAL FEATURE特別取材

「第7回本格焼酎&泡盛カクテルコンペティション」結果発表!
[vol.01] - 優勝は小池 辰弥さん(Zentis Osaka UPSTAIRZ / 大阪)!

#Special Feature

文:Drink Planet編集部 撮影:秋山枝穂

2月24日、ホテルメトロポリタン(東京・池袋)で開催された「第7回本格焼酎&泡盛カクテルコンペティション」。全国各地のホテルバーテンダーによって競われるコンペの様子をレポート!

優勝した小池さんによるプレゼンの様子。ベースは泡盛の「尚 ZUISEN」。鮮やかな黄色のカクテルで、沖縄の南国ムードを演出。

優勝した小池さんによるプレゼンの様子。ベースは泡盛の「尚 ZUISEN」。鮮やかな黄色のカクテルで、沖縄の南国ムードを演出。

テイスティングも充実、一般観覧者も楽しめるカクテルコンペ。

ユネスコの無形文化遺産登録を受け、ますます盛り上がりを見せる日本の伝統的酒造り。

「本格焼酎&泡盛カクテルコンペティション」は、そんな本格焼酎&泡盛を主役に、これらをベースとするオリジナルカクテルの完成度を競うものです。

7回目を迎える今年のテーマは、「日本の文化(食文化を含む)や自然を感じさせるカクテル」。

当日は、予選を勝ち抜いた全国のホテルバーテンダー10名が、趣向を凝らしたオリジナルカクテルを披露し、大いに盛り上がりました。

会場には、さまざまな産地・造り手の本格焼酎&泡盛が一堂に。

会場には、さまざまな産地・造り手の本格焼酎&泡盛が一堂に。

大会は2部構成となっており、前半は各コンペティターによるプレゼンテーションが、後半は会場を隣に移し、各コンペティターがそれぞれのカクテルを来場者に振る舞うパーティーが開催されました。

会場には、全国から集まった約50種の本格焼酎&泡盛の試飲ブースが登場。

原料別に並べられており、原料・生産地・造り手による味わいの違いを飲み比べることができます。

さらに昨年の優勝者、長濵友太郎さん(BAR倉吉 / 福岡)のカクテルも登場。

さまざまな角度から本格焼酎&泡盛の魅力を伝えるという取り組みがなされていました。

パーティー会場では競技を終えた10名のバーテンダーが、それぞれのカクテルを来場者に提供。1人4杯までテイスティング可能に。

パーティー会場では競技を終えた10名のバーテンダーが、それぞれのカクテルを来場者に提供。1人4杯までテイスティング可能に。

魅力的なストーリーと美しい所作、完成度の高さで競う。

さて、それではコンペの様子をお伝えしていきましょう。

コンペに参加した10名のバーテンダーはこちら!

No.1 古賀 亮治さん(ホテルメトロポリタン ダイニング&バー オーヴェスト / 東京)
No.2 名取 麻子さん(札幌プリンスホテル Top of PRINCE / 札幌)
No.3 山形 昇司さん(Salon Bar Thistle / 滋賀)
No.4 小池 辰弥さん(Zentis Osaka UPSTAIRZ / 大阪)
No.5 金澤 貴之さん(秋田キャッスルホテル Bar LOTUS / 秋田)
No.6 阪田 遥菜さん(サンクチュアリコート琵琶湖 バー・ラウンジ / 滋賀)
No.7 中川 佳樹さん(横浜ベイコート倶楽部 ホテル&スパリゾート マディソンラウンジ / 神奈川)
No.8 日髙 慶一朗さん(横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ BAY WEST / 神奈川)
No.9 松尾 啓汰さん(リーガロイヤルホテル小倉 セラーバー / 福岡)
No.10 吉澤 翔太さん(ホテルニューオータニ バーカプリ / 東京)

ジャッジは、作品審査員を一般社団法人ホテルバーメンズ協会(以下、HBA)の野田浩史会長、独立行政法人酒類総合研究所の大串憲祐理事、日本酒造組合中央会の四ツ谷岳昭委員、同・下地一盛委員、同・宇都宮仁理事の5名が、技術審査員をHBAの古澤孝之副会長、同・下迫靖文理事が務めました。

入賞カクテル。左は2位の「雪見」。「本格焼酎&泡盛をカクテルベースとして使うことの難しさは、 味わいはしっかりとしているのに、とても繊細な点でしょうか。副材料を加えると、日本人らしい『お先にどうぞ』的な奥ゆかしさが現れて、スッと奥に引っ込んでしまいます(笑)」と名取さん。右は3位の「言祝ぎ」。

入賞カクテル。左は2位の「雪見」。「本格焼酎&泡盛をカクテルベースとして使うことの難しさは、 味わいはしっかりとしているのに、とても繊細な点でしょうか。副材料を加えると、日本人らしい『お先にどうぞ』的な奥ゆかしさが現れて、スッと奥に引っ込んでしまいます(笑)」と名取さん。右は3位の「言祝ぎ」。

プレゼンテーションでは、制限時間内に5杯のカクテルを作成し、カクテル考案の背景やベースに使用した本格焼酎&泡盛の特徴、日本の「國酒」を今後、どう世界に伝えていくか――という思いを披露します。

審査のポイントは、作品審査(コンセプト/ネーミング/ビジュアル/味/プレゼンテーション)と、技術審査(礼儀作法/調合作法)に分かれ、それぞれの合計得点でカクテルの完成度を競います。

7回目の開催ということもあってバーテンダーそれぞれがストーリーを磨き上げてきていること、近年の香り系焼酎の人気の拡大もあってコンセプトに広がり・深まりが見られたことなどもあり、審査員からも「今年は特にレベルの高い戦いが繰り広げられた」(野田会長)というコメントが出されました。

一方で、「ベーススピリッツの分量はとりわけ重要で、しっかり攻めていかないといけない。残念ながら、ベーススピリッツの入れ控えによって思い描いたコンセプトとは異なる味わいに仕上がったものもあった」という講評があったこともお伝えしておきます。

吉澤 翔太さんのプレゼンテーション。

吉澤 翔太さんのプレゼンテーション。

味わいもスピリッツの選び方も秀逸だった!上位3名のカクテルは?

上位3名を発表します。

3位に輝いたのは、No.10吉澤 翔太さん(ホテルニューオータニ バーカプリ / 東京)。

カクテルは、日本の祝いの席をテーマにした「言祝ぎ(ことほぎ)」。

ベースは、新島で成人を迎える際に贈られる、GI東京島酒の「七福嶋自慢」。七福芋を麦麹で仕込んだ贅沢な芋焼酎です。

この芳醇な味わいを引き立てるのが、キングストン レッドキュラソーの爽やかな柑橘香やルジェ クレーム ド ストロベリーの甘酸っぱさ、梅シロップの豊かな風味、そしてなすだちのフレッシュジュースの、和柑橘ならではのおだやかな酸味。祝いの席にふさわしい、真紅のカクテルに仕立てました。

プレゼンテーション、味わいともに完成度の高いできばえでしたが、なんと3年連続の3位!

表彰式では、「もう少し上を目指していましたが……」というユーモラスなコメントで会場を沸かせました。

2019年 「HBA/KOKUBU カクテルコンペティション」「 ウニクム ハイボール チャレンジ」優勝、2021年「 第32回HBA CLASSIC創作カクテルコンペティション チャンピオンシップ2021」総合準優勝 など、華麗な経歴を持つ名取さん。ユネスコの無形文化遺産に登録されたことから、今後、本格焼酎を使ったカクテルのオーダーが増えてくると感じ、このコンペへの出場を決めたそう。

2019年 「HBA/KOKUBU カクテルコンペティション」「 ウニクム ハイボール チャレンジ」優勝、2021年「 第32回HBA CLASSIC創作カクテルコンペティション チャンピオンシップ2021」総合準優勝 など、華麗な経歴を持つ名取さん。ユネスコの無形文化遺産に登録されたことから、今後、本格焼酎を使ったカクテルのオーダーが増えてくると感じ、このコンペへの出場を決めたそう。

2位に輝いたのはNo.2名取 麻子さん(札幌プリンスホテル Top of PRINCE / 札幌)。今回新設されたオーディエンス賞とのダブル受賞です。

オーディエンス賞は、プレゼンテーションを観戦した観客が、「おいしそう!」「飲んでみたい」と思ったカクテルに投票を行うもので、プレゼンテーションの完成度の高さが問われます。

名取さんのカクテルは、地元・北海道の素材をふんだんに使ってこの地の雪景色を表現した「雪見」。

じゃがいも焼酎「喜多里」に、シャルトリューズ ・ヴェールでハーブのアクセントを加え、酪農の盛んな土地らしくフレッシュヨーグルトで酸味を加えます。

仕上げのミントシロップは、北海道の冬の大気の、クリアな冷たさを表現したもの。

名取さんいわく、「『喜多里』は、原料となっているメークインの特質上、飲み心地がなめらか。じゃがいもらしい、ほのかな甘みも感じます。加水されるとその甘みが増長され、とても飲みやすくなります。氷が溶けて加水による変化を楽しめるハーフロックなら、じゃんじゃん飲めます」。

おいしそうな見た目はもちろん、自分がバーカウンターに座って1対1の接客を受けているような、そんな錯覚を覚える自然体のプレゼンが印象的でした。

ときにユーモアを交えながら自分の言葉で「喜多里」の魅力を紹介するさまが多くの観客の心を捉えたよう。

パーティー会場では、開始前から名取さんのブースに長蛇の列ができていたことからも、観客の期待感を感じられます。

名取さんに、あらためて本格焼酎&泡盛を使ったカクテルへの意気込みを伺ってみました。

「以前、日本酒を使ったカクテルで、HBAのカクテルコンペティションに挑んだことがあります。賞に絡むことはできませんでしたが、来場者のみなさまおいしいと言っていただいたことが記憶に残っています。

ここ数年のインバウンドの増加により『國酒』の存在感が高まり、洋酒を扱うバーテンダーたちも本格焼酎&泡盛の知識が必須になったと感じています。

海外のバーテンダーが自国のお酒を使ったカクテルを必ずラインアップしているように、自分たちも國酒をベースにしたカクテルを提供していきたい、そう意識するようになりました。

可能性と未来のある分野ですから、さらに『國酒』のカクテルが注目され、みなさんに飲んでいただけるようになることを願っています」

優勝した「結ゆい」。小池さんは普段の営業でも「海外からのお客さまにも本格焼酎の魅力を感じていただきたい」と、世界的に人気のあるカクテル「エスプレッソマティーニ」や「カイピリーニャ」を芋焼酎ベースで作っているそう。

優勝した「結ゆい」。小池さんは普段の営業でも「海外からのお客さまにも本格焼酎の魅力を感じていただきたい」と、世界的に人気のあるカクテル「エスプレッソマティーニ」や「カイピリーニャ」を芋焼酎ベースで作っているそう。

大会初、泡盛ベースのカクテルの戴冠!

栄えある栄冠に輝いたのは、No.4小池 辰弥さん(Zentis Osaka UPSTAIRZ / 大阪)。

大阪市北区にある「BAR Plus L」でキャリアをスタートし、「帝国ホテル大阪」を経て、現在は「Zentis Osaka UPSTAIRZ」ヘッドバーテンダーを務める小池さんは、昨年の「ホイッスルピッグ カクテルコンペティション」でもジャパンファイナルに出場するなど、コンペにも積極的に参加しています。

「私が勤めるホテルは本当に多くの海外ゲストがいらっしゃるので、『國酒』の魅力をいかに伝えるか、ということは常に頭にありました」という小池さんは、今回がエントリー2回目。

初エントリーとなる前々回大会では書類審査を通過できず悔しい思いをしたそうで、「以来2年間、自分自身のスキルアップに励みながら、『國酒』について考えてきました」。

考案したカクテルは、南国気分漂う「結ゆい(ゆいゆい)」。

沖縄の方言に、人と人の結びつきや助け合いを指す「結(ゆい)」という言葉がありますが、小池さんのカクテルテーマは「結」が表現する結びあいの精神でした。

ベースは泡盛「尚 ZUISEN」。泡盛で仕込んだ梅酒「梅美人」、沖縄らしいシークワーサー果汁、マンゴーシロップを加え、トロピカルで飲みやすいカクテルに仕上げました。

「焼酎は、ジンやウィスキーに比べて度数が低いものが多いので、カクテルにした時に副材料に負けないように、分量を工夫したり、個性が強すぎない副材料を選ぶなど意識しています。

反対に、度数が低かったとしても、個性がしっかりと感じられるものが多いのが泡盛。カクテルでは泡盛の個性に負けない副材料を選ぶ事が多いです。

この『尚 ZUISEN』は尚シリーズの他の泡盛に比べて、華やかな南国フルーツのフレーバーが際立っているので、泡盛が苦手な方でも飲みやすいところを魅力に感じます」

コンペティション後に行われたパーティーの様子。

コンペティション後に行われたパーティーの様子。

なにがなんでも優勝する!という気迫で掴んだ今回大会では、「酒蔵の垣根を越えて生まれた『尚』という泡盛を、沖縄の結びつきの文化の象徴として世界に発信していきたい」と力強いプレゼンを披露。

「私たちバーテンダーが、お酒と生産者とお客さまを結ぶ結び目になります」というキラーワードが多くの人に刺さったようです。

泡盛を使ったカクテルでの優勝は今大会初ということで、小池さんの喜びもひとしお。家族が見守る中での栄冠に感極まった様子を見せていました。

「『結ゆい』の、『人と人が関わり、結び』という意味が表すとおり、今回の優勝は、自分一人の力ではなく、共に働くBARチーム、他のホテルバーの先輩方、そして、お客さまや家族と、たくさんの方々に支えられて手にすることができた賞です。

本当にありがとうございました!」

受賞したみなさん。おめでとうございます!

受賞したみなさん。おめでとうございます!

コンペ後のパーティー会場では、10人のカクテルとともにペアリングフードも登場し、来場者は食中酒としての本格焼酎&泡盛を楽しんでいました。

本格焼酎&泡盛の多彩な味わいを見事にカクテルに昇華した10杯は、この後、各バーテンダーが所属するホテルやバーで提供される予定です。

本格焼酎&泡盛の、カクテルベースとしてのポテンシャルを感じさせる一杯をぜひ味わってみてください。

★日本酒造組合中央会
https://www.japansake.or.jp

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ファイナリストたちのカクテル。

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