6年ぶりに開催された「MONIN CUP JAPAN 2024」
栄冠は果たして誰の手に?ファイナルをレポート!

SPECIAL FEATURE特別取材

6年ぶりに開催された「MONIN CUP JAPAN 2024」
栄冠は果たして誰の手に?ファイナルをレポート!

#Special Feature

文:Drink Planet編集部

ファイナルに進んだ4人。左から、湯浅さん、埋橋さん、伊藤さん、小川さん。

ファイナルに進んだ4人。左から、湯浅さん、埋橋さん、伊藤さん、小川さん。

今年のテーマは「Low is More」。

フランスの古都・ブールジュで生まれたノンアルコールシロップブランド、MONIN。世界150カ国のバー&ホテルバー、カフェ、レストランで採用されているMONINが主催するカクテルコンペが、「MONIN CUP(モナン・カクテルコンペティション)」。

日本代表を決める「MONIN CUP JAPAN 2024」が6年ぶりに開催され、日本全国から240を超える作品が集まりました。

27歳以下のバーテンダー及び飲食店従事者を対象としたプロフェッショナル部門の優勝者は、9月にマレーシアで開催される「MONIN CUP ASIA PACIFIC」に出場できるとあって、セミファイナルでは熱戦が繰り広げられました。

ここでは、ファイナルに進出した4名のバーテンダーの戦いをお届けしましょう。

今年の大会テーマは「Low is More」。プロフェッショナル部門では、「モナンのシロップを10ml以上使用した、アルコール度数8%以下の創作カクテル」という条件でクリエイティビティを競いました。

セミファイナルで華麗なパフォーマンスを披露した10名のなかから、見事、ファイナル進出を果たしたのは……

伊藤 綾香さん(BAR Kingdom/京都府)
埋橋 響さん(AUTHENTIC BAR Kreis/愛知県)
小川 航之介さん(BAR MADURO/北海道)
湯浅 杏奈さん(Bistro & LiveBar K/岡山県)

の4名でした。

1番手に登場した伊藤さんは、落ち着いたプレゼンテーションを披露。「ヘッドセットをつけた瞬間にびっくりするほど緊張してしまいました」(本人談)。

1番手に登場した伊藤さんは、落ち着いたプレゼンテーションを披露。「ヘッドセットをつけた瞬間にびっくりするほど緊張してしまいました」(本人談)。

各自のレシピのポイントは「アルコール感をいかに補うか?」

ファイナルは以下のルールに則って行われました。

1ファイナルで競われるカクテルコンセプトは「Low is More」。このコンセプトに沿った、アルコール度数8%以下のオリジナルカクテルを作成する。


2レシピ作成と試作の制限時間は30分。材料は最大5種類まで使用可能。うちモナン商品を10ml以上使用しなければならない。

なお、スマホ、ラップトップ、メモなどの使用・持ち込み・閲覧不可。

3レシピ作成後、15分以内にカクテル5杯分のガーニッシュを作成する。
ガーニッシュは「グラスの縁にあしらうもの」とし、液面や氷に触れるものは材料扱いとする。

4その後、直ちに競技に入る。競技は7分の制限時間内にプレゼンテーションを行いながら5杯のカクテルを作成する。

ファイナルで披露するカクテルに使用できるのは、22種のモナン商品と14種のアルコール、20種のフルーツやスパイスなど副材料。

それではさっそく、4人のプレゼンテーションを見ていきましょう。

埋橋さんのプレゼンテーション。右は、ファイナルで作成したカクテル、「Shooting Star」。

埋橋さんのプレゼンテーション。右は、ファイナルで作成したカクテル、「Shooting Star」。

1番手の伊藤さんのカクテルは「”M”ainstream」。ファイナル実施日が7月7日だったことにちなみ、天の川をイメージしたカクテルを作成しました。

ヨーグルトリキュール、モナンの「ココナッツ・フルーツミックス」とパイナップルジュースをシェイク、冷やしたグラスに注ぎジンジャーエールでアップ。

ガーニッシュには、流れ星をかたどったオレンジピールとオリーブを飾ります。

「カクテル名『”M”ainstream』の”M“は、MONINのM、Milky WayのM、アジアパシフィック大会が開催されるMalaysiaのMを表しています。

食前・食後、さまざまなシーンでお飲みいただけるよう、アルコール度数は約5%に抑えています。

ローアルコールドリンクは世界的な潮流でありますが、これまで挑戦してきたコンペではショートカクテルのみ作成してきたということもあり、低アルコールという条件のなかでいかに味のバランスを取るのか、私にとっては大きなチャレンジとなりました」(伊藤さん)


2番目に登場した埋橋さんのカクテルは「Shooting Star」。こちらも七夕を意識した一杯です。

ウォッカをベースに、モナン「マルガリータミックス・シロップ」「ライチ・フルーツミックス」、フレッシュグレープフルーツジュースをシェイクしてサンペレグリノ リモナータでアップ。

南国を思わせるトロピカルなムードをまとった、夏らしいカクテルです。

「夏の夜にごくごく飲みたくなる、爽やかなカクテルを目指しました。

意識したのはローアルコールカクテルとしての一体感です。アルコール感が少なく、シロップを多く使うと甘みばかりが強調されてしまいがちですが、酸味を立たせ、ライチやマルガリータの香りをまとわせることで全体のバランスをとりました。

ローアルコールカクテルの需要は日頃の営業でも実感しており、お客さまのお好みに合わせてオリジナルをお作りすることも少なくありません。

ローアルコールカクテルの存在をもっとアピールできるよう、飲みやすく、奥行きのある味わいを作り上げたいと思いました」(埋橋さん)

ファイナリストのなかで唯一、スローイングで仕上げた小川さん。

ファイナリストのなかで唯一、スローイングで仕上げた小川さん。

3番手、小川さんのカクテルは「Low Caribbean」。

モナンの「カリビアン(ラム)・シロップ」と「スモークドオーク・シロップ」を使って、モヒートをローアルコールにツイスト。

ミントはペストルでつぶすのではなく、2種のシロップとサンペレグリノ リモナータとともにスローイングで香りをたたせました。

「ホワイトラム10mlではラム感が不足してしまいますが、『カリビアン(ラム)・シロップ』を加えると、ぐっと風味が増します。

さらに『スモークドオーク・シロップ』でスモーキーな樽酒の余韻を加えているのがポイントです。
シンプルなビルドで仕上げるとインパクトに欠けるので、スローイングにしました。

営業ではモナンのフルーツ系シロップをよく使っていますが、今回、『カリビアン(ラム)・シロップ』『スモークドオーク・シロップ』を使ってみて、スパイス感や苦味などを備えたシロップが、味わい・香りの広がりをもたらしてくれると実感しました」(小川さん)

最後にプレゼンテーションを行ったのは湯浅さん。

管理栄養士とバーテンダー、二足の草鞋を履く湯浅さんが目指したのは、なるべくアレルギー源となる素材を使わないカクテル。

作成したのは、フランスのデセール、ブラン・マンジェをイメージした白いカクテル、「星に願いを」。

「使用したのは、『スモークドオーク・シロップ』と『ココナッツ・フルーツミックス』、ヨーグルトリキュール。

これらに豆乳を合わせてシェイクし、あらかじめオレンジ・フルーツミックスを沈ませたグラスに注ぎます。

フルーツソースのかかったブラン・マンジェのような、二層のカクテルに仕上げました。

もともとお菓子作りが得意なことから、今回はデザートカクテルを提案しようと考え、予選では『ブラウンバターフレーバー・シロップ』を使ったカヌレのようなカクテル、『Verre de Canele』をお出ししました。

MONINをはじめ、日仏貿易の商品にはアレルゲンフリーのものが数多く取り揃えられていますが、ローアルコールのデザートカクテルで、かつ主要アレルゲンフリーなら、より多くの方にカクテルを楽しんでいただけると考えています。

そんな機会をご提供できればと思い、その一歩としてこうしたカクテルを創作してみました」(湯浅さん)

管理栄養士でバーテンダー、勤務する店舗ではスイーツも手がける湯浅さん。フランスの伝統的なデセール「ブラン・マンジェ」をカクテルで表現した「星に願いを」は、ブラン・マンジェに欠かせない生クリームを豆乳に置き換えました。

管理栄養士でバーテンダー、勤務する店舗ではスイーツも手がける湯浅さん。フランスの伝統的なデセール「ブラン・マンジェ」をカクテルで表現した「星に願いを」は、ブラン・マンジェに欠かせない生クリームを豆乳に置き換えました。

プロフェッショナル部門を制したのは……

審査の結果、プロフェッショナル部門のグランプリは、埋橋 響さんに決定!

埋橋さんは9月にマレーシアで行われるアジアパシフィック大会への出場権を獲得しました。
惜しくも2位となったのは伊藤さん、3位は湯浅さんという結果でした。

大会を振り返ってのそれぞれのコメントもご紹介しておきましょう。

「2022年に現在勤める『AUTHENTIC BAR Kreis』に入店して以来、自分の好きなものや影響を受けたものをグラスのなかに表現するというバーテンディングの魅力に取り憑かれ、よりおいしく、完成度の高いものを目指して日々、精進しています。

マスターや先輩がたの影響もあって、コンペへの出場が大きなモチベーションとなっていますが、バーに親しんでいない若い方たちに向けてカクテルの魅力をアピールできるローアルコールをコンセプトとしたこの大会に、特に大きなやりがいを感じていました。

すばらしい結果をいただきましたが、指導してくださったマスターや先輩がた、サポートしてくださったみなさんの力で勝ちとった賞だと感じています。

9月のアジア大会に向けてさらにレシピとプレゼンテーションの内容を洗練させ、少しでもみなさんの応援に報いたいと考えています」

惜しくも2位になった伊藤さんは、アルバイトからスタートしてバーテンダー歴約3年。勤める「BAR Kingdom」では、名店「BARオーパ」出身の木戸孝治さんの指導のもと、「オーパ」仕込みのジントニックを練習中。

「コンペに挑戦するようになって2年足らずですが、プレゼンでお話しする内容、姿勢、ちょっとした所作など、大会に向けて練習したことが日々の営業に役立っていると実感しています。

ファイナルでのプレゼンテーションを振り返って、もう少し商品それぞれの味わいの特徴をお話しすれば、観客のみなさんに味わいのイメージが伝わったのでは……そんなふうに反省しています。

観客を盛り上げることは、目の前に座るお客さまを盛り上げること。全体の流れの作り方、盛り上げ方をもっと勉強して、日頃の営業にも反映させていきたいです。

また、予選のために創作した『Poisson Rouge』は、夏らしく涼やかなカクテルを、との思いで金魚鉢をイメージして考案したものですが、自分のなかで初めて納得のいく出来に仕上がった、記念すべきカクテルとなりました」

3位の湯浅さんは、勤務先である「Bistro & LiveBar K」の店長の声がけで、出場を決めたそう。

「使える材料にも制限があるなかでオリジナルローアルコールカクテルを考案する作業では、ベースとなるスピリッツやリキュールの選定や分量の設定に苦労しました。

レシピを試行錯誤するうち、味わいの幅広いモナンのシロップがあれば、ローアルコールであってもさまざまなテイストのカクテルを作ることができると、改めて認識しました。

私が勤める『Bistro & LiveBar K』では、ライブ演奏をお楽しみいただきながらお酒や料理を召し上がっていただけます。

今回得られた知見を、お客さまお一人お一人の好みに応じたカクテルのご提案をする際に生かし、より上質なカクテル×音楽×サービスの提供に努めてまいります」

ファイナリストのみなさま、おめでとうございます!

9月、アジア大会での埋橋さんのさらなる活躍もお楽しみに!

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左は伊藤さんがファイナルで披露したカクテル、「Mainstream」。右は小川さんの「Low Caribbean」。

左は伊藤さんがファイナルで披露したカクテル、「Mainstream」。右は小川さんの「Low Caribbean」。

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