シリーズ:バーから2020を考える
その3 コミュニケーション&喫煙、どうする?
<後編>

PICK UPピックアップ

シリーズ:バーから2020を考える
その3 コミュニケーション&喫煙、どうする?
<後編>

#Pick up

Mixology Salon/PENTHOUSE GARDEN/LIKE/BAR JULEPL

後編の課題は喫煙問題。国際オリンピック委員会が掲げる「タバコのない五輪・パラリンピックの実現」から、来年4月より東京では飲食店の喫煙は原則禁止となる。この流れを各店舗はどう捉えるのか。都内4店舗の取り組みをご紹介。

文:Ryoko Kuraishi

全館禁煙のGIZA SIXにあるMixology Salon。2020年に南雲さんが注目するのカクテルのテーマは「焼酎・泡盛」、「カカオ」、「植物」、「モクテル」だとか。

ケース1:施設自体が全館禁煙、Mixology Salonの場合

全店舗禁煙に賛成です。
特にMixology Salon はGINZA SIXが全館禁煙であることから、これまでの対応と変わりはありません。
現在、喫煙可能な他店舗については禁煙となる4月の数か月前には喫煙できなくなる旨の案内を告知する予定です。


カクテルの香りをより楽しめる、店内の空気がきれいになる、灰皿がいらないなどなど、メリットは多数あると思っています。
喫煙を規制するグローバルな流れを受けまして、禁煙は望ましいことと受け止めています。

4月以降も喫煙者・非喫煙者どちらにも楽しんでもらえる店作りを心がけるというPENTHOUSE GARDEN。

ケース2:4月からは喫煙目的店となるPENTHOUSE GARDENの場合

海外に出かけて飲食店を利用した際は、私自身、禁煙店が多いなと感じていました(国や地域によって異なりますが)から、世界的に見てもこのような流れは自然であると思います。


当店においては喫煙される方・されない方のどちらにも気持ちよくご飲食していただけるように対応しています。
現在、喫煙室は特に設けておりませんので、ご来店の際に喫煙の有無を伺ってお席にご案内しております。
喫煙されない方が煙を気にされることがないよう、店内にいくつもある排煙口の位置と煙の流れを変えたご案内を心がけています。


来年4月以降は、施行される東京都受動喫煙防止条例のに則り、喫煙目的店として営業をしていきます。
これまで通り、喫煙されない方々にも徹底的な配慮をした上で多くの方にくつろいでいただけるような店作りを行っていきたいと考えています。

LIKEのお勧めのは「カフィアライムミュール」。ウォッカをベースに、コブミカンの葉とショウガ、メスカルのスモーキーなニュアンスを加えた、繊細な味わい・香りのカクテル。

ケース3:食事と酒のペアリングが身上のビストロ、LIKEの場合

東京では飲食店の喫煙環境が大きく変わることになりそうですが、こうした流れも1年も経てば当たり前のように捉えられているのではないでしょうか。


現在は店内は禁煙、テラスのみ喫煙可となっていて、これは来年4月以降も変更ありません。
ただ、うちの場合はもともと喫煙される方の来店がさほど多くありません。
そういう事情から、禁煙・喫煙の問題についてはさして影響はないのではと考えております。

カウンターやテーブルにシガリロやミニシガーを置いているBAR JULEP。

ケース4:シガーを楽しめるラム&カシャッサ・バー、BAR JULEPの場合

ラムと葉巻は非常に相性がいいことから、当店では10年以上前にシガーバーとしての認可を得ています。
ですから4月以降は喫煙目的施設として営業していきます。


今後考えられる問題は、喫煙できるからという理由で喫煙者が増えるということ。
葉巻とタバコは全然別のもので、葉巻をお好きな方はタバコの匂いが苦手という方が多いのです。


もちろん、タバコを排除することはできません。
ただ、ラム専門店としては「ラムと葉巻」という嗜好性を大切にしていきたい。ですから、気軽にトライできるシガリロやミニシガーを各テーブルやカウンターに取り揃え、喫煙する方にもラムやカシャッサとシガーの組み合わせを積極的に提案しています。
1本100円、150円ですから、お勧めすると「吸ってみよう」と手に取られる方も多いんです。


ラムを飲みながら気楽に葉巻を楽しんでいただけるような空間づくりを引き続き行っていきたいと思います。

世界的には受動喫煙対策として、飲食店はもちろん、公共空間での喫煙の規制が進んでいる。


日本では店内で喫煙できる飲食店が多く、喫煙する訪日客の多くは「母国よりも喫煙しやすい」と感じるという。
一方で在日外国人の意識調査によれば、約8割が「日本は受動喫煙を防止する取り組みを進めるべき」と答える(ファイザー株式会社調べ)など、世界と日本では喫煙に対して意識の隔たりがあるのは確か。


訪日客も日本人の常連客も、喫煙する人もそうでない人も、みんなが等しく楽しめるバーへ。
東京での取り組みをきっかけに、そんな空間づくりへの議論が求められている。

SPECIAL FEATURE特別取材