シリーズ:バーから2020を考える
その2 U35バーテンダー特集!<後編>

PICK UPピックアップ

シリーズ:バーから2020を考える
その2 U35バーテンダー特集!<後編>

15.10.2019 #Pick up

Narita Misato/成田美郷 Ogawa Tomoyuki/小川智之 Takagi Misumi/高木美澄

今月は、どりぷら編集部がピックアップした、2020年代を担う若手—バーテンダー特集!後編でも引き続き、次世代のバーテンダーたちの視点で現在、そして未来のバーシーンを考える。

文:Ryoko Kuraishi

元アイドルのバーテンダー、TIGRATOの成田さん。

4 Narita Misato/成田美郷 @TIGRATO

4人目にご紹介するのはTIGRATOの成田さん。
2年弱というキャリアながら、舞台女優を目指していたという感性とひたむきさでメキメキと腕をあげている注目の1人。


Q1
日頃からアンテナを張り、積極的に情報収集しているモノ、コト、ヒト、ジャンルは?

A1
お客さまとの会話の幅を広げるためにも、幅広いジャンルの時事ネタを意識してピックアップしています。
世の情勢から豆知識など、浅く広くではありますが、何か共有できる会話があればバーで過ごす時間をより楽しんでいただけると考えています。

オフでは、昔から物作りが好きなので、指先の鍛錬も兼ねてアクセサリーを作ったり絵を描いたりすることも。アートが好きなので美術館に行くこともあります。


Q2 バーテンダーとして目指すゴールと、それに向けて行なっていることは?

A2
目指すゴールはさらに次の世代へとバトンを繋ぐこと。
私が先輩方にしていただいたように、私よりさらに若いバーテンダーのために環境を整え、人との縁を繋げていきたいです。
もちろん、技術以外にもマナーや働くことの意味、社会貢献、感謝の気持ちを伝えることも。

1人ではできないことも、たくさんのバーテンダーが団結すれば可能性が広がります。
バーテンダーとしてできることの可能性をさらに押し広げていきたいですね。

例えば、女性のライフステージの変化があります。
子育てと仕事の両立はかなりハードなものですが、子育てによって自分を見つめ直し、自身を向上させ、社会に復帰する女性もたくさんいます。
そのためには周りの理解を促すことが大切ですよね。

ライフステージの変化が個人の問題ではなくチームの、ひいては社会で取り組んでいけるような変化を起こすことも未来への課題です。

本格派コーヒーを楽しめるカフェとしても機能するTIGRATO。成田さんのシグネチャーカクテルは、そんなお店の雰囲気に寄り添う、ラテ仕様のデザートカクテル。カカオとコーヒー、そしてオレンジの香りが印象的な「MERRY TIME LATTE」は、お酒の弱い人でもバーを楽しんでもらえるよう考案したとか。

Q3未来のバーがさらに活気づくために必要だと思うことは?

A3
多様性、ではないでしょうか。

TIGRATOでは、結婚や出産を経た女性バーテンダーがフレキシブルに働けるような体制を整えています。
早めの時間にお店を開け、カウンターに立てるバーテンダーがいればお客さまにご利用頂ける時間の幅も広がります。

仕事終わりに利用いただける夜はもちろん、昼間はご家族や子ども連れで、夕方はママ友の集まりで軽く一杯……、そんな風に様々なシーンや用途、時間帯にご利用いただけるバーが増えれば、お客さまの幅も広がり、結果としてバーシーンが活気づくのではないでしょうか。

カクテルはもちろん、コーヒー、ワイン、お茶もOK!全方位に渡って幅広い知識を有するバリスタ兼バーテンダーの小川さん。

5 Ogawa Tomoyuki/小川智之 @COFFEE&BAR BONTAIN

次にご紹介するのは、ワールドクラス2019ファイナリストにして、調理師免許にソムリエ、さらにティーアドバイザーの資格までも持つ、バリスタ兼バーテンダーの小川さん。
アルコールだけではない食に関する幅広い知識、センスに定評あり。
果たして小川さんは、バーテンディング×コーヒーのコンビネーションをどう捉えているのか。


A1
調理師専門学校を卒業後、イタリアンレストランで調理師として働いていた経験もあり、カフェ、レストラン、パティスリーなど、食にまつわる業界全体のトピックを業界誌、専門誌でチェックしています。

特に興味を持って追いかけているのは、現在の飲食業界の流れ、食材の扱い方、レシピ構成、科学的なアプローチなどです。

ワールドクラス2019で披露した小川さんのシグネチャーコーヒーカクテル。ドンフリオブランコをベースに、コスタリカ産のコーヒー豆の爽やかな酸味を生かしたコールドブリューコーヒーにパッションフルーツとカルダモンを合わせ、ココナッツクリームをフロートさせた。

A2
現在はCOFFEE&BAR BONTAINというコーヒーカクテルを専門とした店に勤めており、バリスタ、バーテンダー、どちらを対象にしたコンペティションにも積極的に挑戦しています。

それは、バリスタとバーテンダー、それぞれの業界を繋ぐきっかけ作りを行っていきたいという目標があるから。例えば、バリスタにカクテルメイキングや構成理論、お酒の知識を、バーテンダーにはコーヒーの抽出理論やコーヒーの知識を。

知識や情報を共有することで業界同士がセッションしやすくなれば、そこには全く新しいチャレンジの可能性が広がっていくでしょう。


A3
バーの間口をさらに広げ、バーで過ごすひとときやカクテルに触れる機会を作っていくことが大切なのではないでしょうか。

そのためには業界の垣根を越え、様々なシーンでバーテンディングを行いたい。

カクテルに触れる機会を設けることでお酒に興味を持つ人のパイが広がり、その結果、BARに足を運んでいただける方が増えるのではないでしょうか。

(左)専門学校在学中にBar BenFiddichでアルバイトを始め、卒業後、本格的なバーテンダーへの道を歩き始めた高木さん。(右)オススメのカクテルは、自家製のバジルビターズを使った「マルティネス」。

6 Takagi Misumi/高木美澄@ Bar BenFiddich

A1
アブサンや薬草酒が好きなので、ハーブやスパイスについては常にアンテナを張っています。

個人的に気になっているのはコーラナッツ。もともとはコーラの原料として使われていた植物の種子で、これをカクテルに使えないかと思案中です。
もう一つはクロアチアの国民酒とも言えるリキュール、ぺリンコバック。
残念ながら日本には輸入されておらず、また情報もほとんどありません。

世界にはまだまだたくさんの知られざるお酒やハーブ、スパイスがあります。
こういったものの魅力をお客さまにお届けしたいと思っています。


A2
いずれは薬草酒の魅力をストレートに伝えられるバーを持ちたいと思っています。
薬草酒の中でも注力したいのはビターズですね。
日本一ビターズに詳しい、そして唯一無二のビターズを造ることができ、それを多くの方に提供できるバーテンダーになりたいという目標を持っています。

実際、ソバのビターズ、ほうじ茶のビターズ、ユーカリのビターズなど、試行錯誤しながら自家製ビターズにトライしており、ビターズの魅力が伝わりやすいシンプルなジントニックやマンハッタンに使ったりしています。


A3
東京にはたくさんのバーがありますが、それぞれのお店の個性やコンセプト、バーテンダーが持つ専門知識や技術を強くアピールすることがお客さまにとって選択肢が増えることになり、結果、バーシーンの多様性につながるのではないでしょうか。

私と同世代ですとSNSで情報収集をする方が多いので、お店の方でも受け手にとって有益な情報を積極的に発信していかなくてはと思っています。

SPECIAL FEATURE特別取材