PICK UPピックアップ
スターバックス発、
コーヒーカクテル最前線!
<後編>
#Pick up
Ofuchi Shuichi/大渕修一 by「ARRIVIAMO™ BAR」
ジャパニーズウイスキーを使い、梅酒でツイストするオールドファッションドが人気。東京の街をイメージして考案されたオリジナルカクテルは、他の店舗で味わえないものだ。「ニュートーキョー ファッション」¥2,000。
豆の個性を引き出す焙煎が、味のレンジを広げる。
コーヒーカクテルにフィーチャーする今月。
前編ではギミックの効いた爽やかなカクテルを紹介してもらった。
後編ではいよいよ、この店のいちばん人気という定番カクテルが登場する。
その前に「ロースタリー 東京」ならではのカクテルのこだわりを教えてもらおう。
「まずは自家焙煎。
うちではそれぞれの豆の個性を引き出す焙煎を行なっています。
コーヒー豆は産地や豆の種類だけでなく時季によっても味わいが変わりますが、焙煎によってそうした豆の個性を強調します。
それはつまり、コーヒー豆にフォーカスした際、味のレンジを作りやすくなるということ。
自家焙煎という店舗の特性を生かし、『スッキリ、さやわか』という豆の個性を強調したドリンクに仕上げています」
豆に合わせ、焙煎の度合いを調整できるのもここならでは。
「ダークローストのどっしりした味わいの豆は、ブラウンスピリッツにしか合わせられない
その点、フルーティな豆なら合わせるスピリッツや副材料の幅が広がるので、どちらの方向にも振ることができる中煎りの豆を使っています」
コーヒー&ティバーナのお茶を使ったクラフトカクテルが充実。もちろんクラシックカクテルもオンメニュー。
ポイントの2つ目が、「尖りすぎない、親しみのある味わい」だ。
日本のドリンク市場にコーヒー文化を浸透させたとのはスターバックスだと言っても過言ではないが、市場が大きい分、コーヒーカクテルにおいても「親しみのある味わい」を大切にしている。
「いわゆるサードウェーブ系の味わいは一般向けというには尖りすぎているので、スターバックスらしい味わいに寄せています。
親しみのある味わいながらそこに新しいアプローチを加えることで、面白いコーヒーカクテルが生まれるんじゃないでしょうか」
3つ目が抽出方法だ。
「コールドブリュー、エスプレッソマシン、ハンドドリップ……抽出の違いを楽しめるのものコーヒー専門店の面白さ。
これはバーでは味わえないもの。
例えば、サイフォンのアイリッシュコーヒーなんて面白そうですよね」
さて、最後にご紹介いただくのは「ニュートーキョー ファッション」。
海外からのゲストも多いという店舗の特性上、オールドファッションド に日本らしいアレンジを加えたもので、常時上位3位にランクインする人気カクテルだ。
「コーヒー専門店という立ち位置ではありますが、バー愛好家の方にも満足いただけるクオリティや佇まいを目指しています」(大渕さん)。
「ベースは、カクテルにした時にバランスのいい岩井トラディション。
そこに山崎の梅酒でツイストします。
コーヒーはコールドブリュー、デメララのシロップで甘みをつけ、桜の葉の塩漬けで和のフレーバーをふわりと添えます」
よく、「バーでは次の一杯に繋がるカクテルを提供する」というが、1杯だけオーダーする人が多い「アリビアーモ™ バー」では、バーの通常のアプローチとは異なり、1杯で完結するように心を砕く。
「ロースタリー 東京」は通常のバーに比べて客層も幅広く、その用途も限定されていません。
その分、バーに足を運ぶ習慣のない層や家族連れも、気軽にバーの雰囲気を味わうことができます。
そういう新しい層へアピールし、コーヒーをきっかけにお酒を知ってもらうという試みにやりがいを感じています。
ここが、バーに行ってみたいという人にとっての“入り口”になれればいいですね。
同時に、スターバックスが届けるコーヒー文化を作った会社による新しいカクテル体験ということで、バーや酒販メーカーなどお酒業界の方も興味を持ってくれるのでは」
コールドブリューを使って仕上げる「ニュートーキョー ファッション」。
豆が持つ個性を紐解くことで、コーヒーカクテルは進化する。
最後に、今後のコーヒーカクテルについて、その未来像を伺った。
「いわゆる『苦くてタバコと相性が良くて』…という一昔前のコーヒー観は一新され、時代の流れに寄り添ってカジュアルな飲み物に進化してきました。
そうした流れを加速させたのは、コーヒーのテロワールによる個性の違いが広まったことだと思います。
オレンジのようなフレーバー、ハーブのようなフレーバー……今後はさらに豆が持つ個性が細分化され、カクテルにおいてもそのフレーバーを明確にするようなアプローチが必要になるでしょう。
コーヒーが持つフレーバーを丁寧に紐解いて、掘り下げて、コーヒーをベースにした新しいドリンクを構築していく。
バーテンダーはそもそも素材の探求に長けた人が多いですから、コーヒーの特性を理解すればコーヒーカクテルの可能性は無限に広がると思っています」
「また、バーテンダーとバリスタの距離も縮まっていくでしょう。
これはコーヒーカクテルを、コーヒーを主体としたドリンクと捉えるか、コーヒーは副材料の一つと考えるかというアプローチの違いを生み出していますが、限りなく似た者同士の職人でありながら全く違う思想を持つバーテンダーとバリスタが寄り添うことで新しいケミストリーが生まれるはず。
自分がバーテンダーとバリスタの橋渡しを務められればと思っています。
コーヒーカクテルのコンペでいうと、『ジャパン コーヒー イン グッド スピリッツ チャンピオンシップ』もそうですが、コーヒー自体の味わいからカクテル全体のバランスがより重んじられるようになり、変革の時代を迎えています。
そういう意味ではバーテンダーにも勝機がありますね」
バーでもない、カフェでもない、様々なターゲットに向けて、ここならではのコーヒー体験を提供する「アリビアーモ™ バー」。
大渕さんが発信する、新しいコーヒーカクテル体験にご期待ください!
SHOP INFORMATION
ARRIVIAMO™ BAR | |
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東京都目黒区青葉台2-19-23 スターバックス リザーブ® ロースタリー 東京 TEL:03-6417-0202 URL:https://www.starbucks.co.jp/roastery/ |