PBO新チェアマンに就任!
宮崎優子さんに聞きたい6つのこと。
<前編>

PICK UPピックアップ

PBO新チェアマンに就任!
宮崎優子さんに聞きたい6つのこと。
<前編>

#Pick up

宮崎優子さん by「Bar Tenderly」

バーテンダー歴30年、長きに渡り第一線で活躍する宮崎優子さん。PBO初の女性チェアマンに就任した宮崎さんに、Withコロナの時代のバーのあり方ほか、6項目を伺いました。

文:Ryoko Kuraishi

宮崎さんが最もこだわるのが、ジントニック。「氷のくみ立て方、そそぎ方によって全く味が変わってしまうから、うちでは全てのスタッフに初めにみっちり、練習してもらいます」 Photos by KENICHI KATSUKAWA

「Bar Tenderly」のオーナーバーテンダー、宮崎優子さんは、現在ほど女性バーテンダーの存在が一般的でなかった時代から、全国バーテンダー技能コンクールやメーカー主催大会など数々のコンペティションで活躍してきた、業界のトップランナー。
近年は多数のコンペで審査員を務めるなど、後進の指導にあたっている。


その宮崎さんが、この8月、PBOのチェアマンに就任!
全国規模のバーテンダー協会、団体において女性の会長職が誕生するのは初めてなのだとか。


今月は宮崎さんにロングインタビューを敢行。
コロナ禍のバーのあり方、これからの時代のバーテンダーが進むべき道について……一問一答方式でご紹介します!

大森駅にほど近い「Bar Tenderly」。地元に根差した営業スタイルは、大森という土地柄のなせる技。

Q1ズバリ、YouTubeが跳ねた理由はなんだと思われますか?

「バーの存在を身近に感じてもらえるようになったから」

――コロナ禍においてYouTubeを始め、カクテルやバーに関する動画やライブ配信を行うバーテンダーは少なくないけれど、宮崎さんは先見の明がありました。
昨年10月に開設したYoutubeチャンネルですが、現在、その登録者数は38,000人を超えています。
YouTubeが跳ねた理由はなんだと思われますか?


A1
何か明確な意図があって始めたものではなく、息子に「これからの時代、YouTubeくらいやったほうがいい」とアドバイスされて何気なく始めました。
YouTubeの投稿では、バーの存在を身近に感じてもらえるようなコンテンツを心がけています。


例えば、コロナ禍に伴う外出自粛期間中は家飲みをより楽しんでもらえるようなワンポイントTIPSを。
自粛明けには「そろそろ自宅ではあじわえないようなウイスキーを飲みたくなるだろう」と、ウイスキー関連のネタを積極的に。


そのほか、コメント欄の内容も常に参考にさせてもらっています。
特に「バーにはドレスコードがあるの?」「バーで守るべきマナーが知りたい」という質問が多いので、先日はスタッフにも協力してもらい、ドラマ仕立てでバーのマナーについての動画を作成し投稿しました。


時流を読みながら、みなさまの心に寄り添うようなテーマ選びを意識していますが、そういうところを評価していただいているのかな……私にもよくわかりません(笑)。

9mもの長いカウンターがウリ。オープン当初はこぢんまりとしたカウンターだったが、2006年のリニューアルで現在のしつらいに。

Q2 YouTubeの投稿で伝えたいメッセージは何ですか?

「バーはハードルの高い場所ではないんです」

A2
お酒のこと、カクテルのこと、バーでのマナーのこと。
幅広い視点でバーを切り取って動画を作っていますが、それもひとえに、多くの方にバーを身近に感じてもらいたいから。それだけなんです。
特にバーに足を運んだことのない方にとっては、バーはハードルの高い場所。
動画投稿により、誰にとっても心のオアシスになれる場所であることを伝えたいと思っています。


その甲斐あってか、外出自粛明けの営業再開後には、「YouTubeを見ました」と言って来店される30代、40代のお客さまが急増しました。
そうですね、1日に1、2組は必ず。多い時には4組にもなることも。
そういう方のほとんどが、バーは初めてとおっしゃいます。普段バーには足を運ばないけれど、YouTubeを見て興味を持った、とおっしゃって。


これをきっかけに、お酒やカクテルに詳しくない方がご自宅の近くにあるバーに足を運ぶようになって、バーカルチャーに親しんでもらえるようになったら嬉しいですね。
そう思ってYouTubeだけでなくInstagram、TwitterとあらゆるSNSを駆使してバーの日常を発信しています。

サイドカーを作る宮崎さん。

Q3 Withコロナの時代のバーテンダーのあり方は?

「人は、笑顔のある場所に集まる」

――コロナ禍という未曾有の事態により多くのバー、バーテンダーが苦しい時を迎えています。
Withコロナという新しい時代に突入するにあたり、バーテンダーが心がけることは何だと思われますか?


A3
何が正しいのか、私にもわかりませんが、確かなことはただ一つ。
どんな事態を迎えても、人は必ず酒場に戻ってくる、ということ。
その時にコロナ疲れのお客さまを元気にお迎えできるよう、お客さまが安心してバーの扉を叩けるよう、私たちバーテンダーは笑顔を忘れずにいたいと思います。
笑顔のあるところに人は集うものです。
その笑顔こそがバーの灯りを守ることになる、そう信じています。

酒類を提供する店はいくつもありますが、お客さまの心までを癒せるのはバーだけだという自負があります。
バーを取り巻く環境は日々、変わっていきますが、私たちがこれまでバーで培ってきたホスピタリティは変わってはならないのです。


後編ではPBOのこと、それから女性バーテンダーの躍進について、引き続き宮崎さんに伺います。

後編に続く。

宮崎さんのYouTubeチャンネルはこちらから。

SHOP INFORMATION

Bar Tenderly
東京都大田区大森北1丁目33−11 大森北パークビル2階
TEL:03-3298-2155
URL:https://ameblo.jp/bartenderly/

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