シリーズ:バーから2020を考える
その2 U35バーテンダー特集!<前編>

PICK UPピックアップ

シリーズ:バーから2020を考える
その2 U35バーテンダー特集!<前編>

01.10.2019 #Pick up

Saitoh Ryuichi/齋藤隆一 Ohba Kaito/大場海人 Ogawa Kyoka/小川杏香

バーの視点で2020年を考えるシリーズ第二弾は、2020年以降のバーシーンを担う注目若手バーテンダーにフィーチャー。3つの共通質問から彼らの人生観、バーテンダー観を掘り下げる!

文:Ryoko Kuraishi

西麻布OBOROの山川さん、パークホテルの南木さんに、花飾、服飾、料理のプロフェッショナルが集まる「APOLLO」というチームに所属する齋藤さん。「他業種が集まるといつも新しいひらめきやプロジェクトがどんどん生まれる」。

1. Saitoh Ryuichi/齋藤隆一 @TRUNK(HOTEL)

1人目はこの方、渋谷TRUNK(HOTEL)にてドリンクディレクターを務める齋藤さん。
新規店舗のドリンクアドバイザー、国内外を問わずゲストバーテンダーやセミナーを行うほか、アーティスト、デザイナーなど異業種とのコラボレーションを積極的に行うなど新世代の活躍を見せている。

Q1
日頃からアンテナを張り、積極的に情報収集しているモノ、コト、ヒト、ジャンルは?

A1
健康関連のトピックに強い興味を持っています。
例えばドリンクトレンドの一つにも入っているCBD、一部の人で流行しているサウナ・ムーブメントなど。
食生活もガラリと変わりましたし、トレーニンングやランニングを日常に取り入れています。
従来の、「バーテンダーの=不健康代表!」というイメージを変えたいですね!


後は、バー業界ではない異業種の方との関わりを深めています。
TRUNK(HOTEL)は様々な業種の方が集まり、そこから新たな繋がりが生まれる、いわばハブのような役割を果たしているスポット。
ファッション、アート、音楽など、ここに関わる方達から多くの刺激を得ています。
それに、そういった方々もバーテンダーと繋がると喜んでくれるんですよ。

齋藤さんのシグネチャーカクテル「WITHERLESS SOUR (ウィザーレスサワー)」。ローズペダル、ラベンダー、カモミール、エルダーフラワーを使った自家製コーディアルを使った、ハーブ&フローラルが香るピスコサワー。

Q2
バーテンダーとして目指すゴールと、それに向けて行なっていることは?

A2
実際のところ、ゴールは決めていません。
将来、どうなっていたいなというイメージは、僕の中では通過点にすぎません。
ゴールを決めるとその瞬間に自分の成長が終わってしまいそうだから。

ただし目標は常に高く掲げています。人生一度きり、夢も目標も常に大きく!
例えば僕は、この年齢の時にはこうしていたいという目標を定めて行動しています。
するとその目標に対して自分の足りない部分が明らかになってくるんです。
後は不足分を補うべく、ひたすら努力するしかありません。
そうすると、目標達成できていることがほとんどでした。

目標達成のために細かなタスク設定や緻密な時間管理を心がけています。
自分に適度なプレッシャーを与えてだらけないように、かつ効率よく目標が達成できる筋道を考えています。


Q3
未来のバーがさらに活気づくために必要だと思うことは?

A3
固定概念を捨てること、でしょうか。
伝統を重んじることはもちろん大切です。
けれど、新しいことや革新的なことに対して背を向けてしまったら、発展や成長は叶えられない。
いわば守破離の精神ですね。


具体的には他業種を含めて様々な人が集まり、楽しく盛り上げられる環境づくりを行うことが必要だと感じます。
他業種の人と集まると次々に新しいことが生まれるし、さらに他の人たちを巻き込んでますます大きなパワーになるから面白い。
でも、根底にあるのは人を笑顔にし続けること。コレが1番大事だと思いますよ。

大場さんが日々心がけていることは、「準備や営業、片付けというルーティンに加えて、その日のお客さまにしっかりと目を配ること。 お客さま、そして店からの信頼を得られなければ、いくら美味しいカクテルを作れてもバーテンダーとしてはまだまだだと思っています」。

2 Ohba Kaito/大場海人 @Bar Beso

2人目はこの方、「バカルディ レガシー カクテル コンペティション 2018」日本ファイナリストの大場さん。
11月に行われる同コンペティション2020のセミファイナルにも出場予定だ。

A1
特にこれ!と言ったものはないですが、生活の中で常にアンテナは張っています。
例えば街を歩くだけでも看板や流れている音楽、料理など色々な刺激に触れられます。
そのサウンドの響きが良かったらとりあえずメモして、カクテル名に使ってみようとか、そういう意識は常にありますね。


A2
その日その日がスタートでありゴールだと思っているので、最終的なゴールは分からないですね。
ただ、私の師匠がいつも「ええ酒場の主になろう」って言うのですが、その言葉がいつの間にか僕の憧れの未来像になりました。
かっこいい先輩がたがたくさんいますから、置いていかれないよう、むしろいつか追い抜く気持ちでついていきたい。


A3
むしろ僕が聞きたいです(笑)。
ただ、バーをオープンな場所にしたいという気持ちはあります。
海外のバーでは若者から年配の方まで様々な方が、バーというシュチュエーションを楽しんでいますよね。
バーは多くの人と素晴らしい時間を共有でき、心休まる場所であるということを発信し続け、日々最高のホスピタリティで皆さんに接していくことがバーテンダーの真髄ではないでしょうか。

ただ日本には先輩方が作り上げてきた日本独自の素晴らしいバーカルチャーがあるのも事実です。
その美学や歴史を疎かにしては、バーカルチャーの発展はあり得ないと思っています。

大場さんが披露してくれたのは、ダイキリ。「Besoのダイキリは、グラニュー糖とパウダー状にしたザラメ糖の2種類を使用して甘みをつけています。ザラメ糖を使うことで、キリっとしたダイキリにモラセス香がボリュームを出してくれます。世界中で飲めるからこそ、よくも悪くも比べられやすいクラシックカクテル。『おいしい』と言っていただけたら嬉しいですね」。

3 Ogawa Kyoka/小川杏香 @Bar Amber

3人目にご紹介するのは、「シーバス マスターズ 2019」日本チャンピオンに輝いた小川さん。
キャリアわずか5ヶ月で世界大会に挑んだということで、将来を最も期待されているバーテンダーの1人と言えるだろう。


A1
インスピレーションの源となっているものが2つあって、一つはダンスです。
もとは社交ダンスの競技選手だったということもあり、舞台芸術から受けるインスピレーションは大きいですね。
ジャンルを問わず舞台を観に行くことも、自分が踊ることも好きですし、所作の勉強のために日舞や大衆演劇も観劇するようにしています。
自分の魅せ方、お客さまへのプレゼンテーションに役立っています。


2つ目はコスメです。
例えば香水。ドップからミドル、そしてラストノートへの香りの変化をカクテルの材料選びの参考にしています。

コスメって、色の組み合わせ方やパッケージデザインなど、女性が思うキレイ!可愛い!が凝縮していると思うんです。
最近は若い女性のお客さまも多いこともあって、カクテルを提供した際、「わあ、素敵」と思っていただけるよう、コスメのトレンドは日々、チェックしています。

(左)バレエやダンスで表現力を磨いたという小川さん。(右)シグネチャーカクテルの「desire」は、シーバスリーガル18年にペルノアブサン、ローズヒップ・ハイビスカスティー、自家製甘酒コーディアル、シェリーを合わせたカクテル。ダンサーとしてのキャリアが培った力強さ、情熱、小川さんが考える女性らしさをカクテルで表現した。

A2
幼少の頃からモデルや芸能活動を行ってきて、バレエと社交ダンスの分野でキャリアを積み、さらにアメリカ、イギリスで海外生活を送りました。

こうしたバックグラウンドをバーテンディングに生かし、カウンターという仕切りを越えて、国内外の多くの方々にカクテルやバーの魅力を普及させていきたいです。
いずれは、飲料業界という枠にとどまらず、世界的に活躍できるバーテンダーを目指しています。
そのためにも自分はこれがやりたい!ということを常に発信するようにしています。
休日はなるべく外に出て人と会い、お酒のイベントや勉強に参加しています。


A3
私たちバーテンダーが魅力的であり続けること。
私たち一人一人がこの仕事に誇りを持つこと。
世間ではまだ、バーテンダー=夜の仕事、ハードというイメージが強いですが、バーカウンターというステージで、ドリンク、を含めて自分を総合的にプロデュースできる、最高にカッコいい職業だと思います。
いつか、自分を見てバーに興味を持ちましたと言ってくださるような人を増やしていきたいですね。

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