青山で日本の森に浸る!
NARISAWA発のバー、登場。
<前編>

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青山で日本の森に浸る!
NARISAWA発のバー、登場。
<前編>

#Pick up

成澤由浩シェフ by「BEES BAR by NARISAWA」

世界のトップレストラン「NARISAWA」が、新たにカクテルバーをオープン。日本の自然にインスピレーション源を求めたというコンセプトやフィロソフィについて、成澤由浩シェフにインタビュー!

文:Ryoko Kuraishi

里山の息吹を感じられる「BEES BAR by NARISAWA」は17時〜26時の営業。Photos by Kenichi Katsukawa

「The World's Best 50 Restaurants」で10年連続ランクイン中の「NARISAWA」。
その「NARISAWA」がカクテルバーをオープンさせたのは今年4月のこと。


海外に出かけた際には必ず、バーホッピングを楽しむという成澤由浩オーナーシェフが、満を持して手がけたバーが「BEES BAR by NARISAWA」だ。


白を基調にしたミニマルな内装の「NARISAWA」と、ウッドと漆黒のコントラストが印象的な「BEES BAR by NARISAWA」。
対照的な両者だが、「日本のSATOYAMA(里山)」というコンセプトを共有している。


そもそも、成澤シェフがバーを作ろうと思いたった理由はいくつかある。

スギの新芽、石川のヤブニッケ(シナモン)、マツをインフュージョン。

「レストランに足を運んでくださるゲストが、食事の後にリラックスして過ごせる場所があったらいいなと思っていました。


自分も海外に行くと食事の後、必ずバーに立ち寄りますし、都会の夜にはバーの存在感が大きいと兼ねてから思っていたこともあります。

二つ目に、僕がテーマに掲げる日本の里山文化と、カクテルやスピリッツというバーの要素との親和性が非常に高かったこと。
レストランでは僕が森で取ってくる素材を料理に使いますが、そのままカクテルに仕立てることも可能な食材がたくさん。

お酒というのは先人が自然と関わり合いながら、その恵みを楽しむために生み出したものですが、日本の里山を感じてもらいながら、そんなお酒のルーツに思いを馳せてもらう、そんな空間が東京にあってもいいのでは、と感じていました」

木目も美しい、異なる無垢材を用いたカウンター。木の香りを感じて欲しいから、店内は完全禁煙だ。

「カクテルメニューにもインテリアにも、里山というコンセプトが貫かれている」というこちら、バーの中央に位置するのは、“雑木林”をイメージしたというコの字型のカウンター。


ニレやケヤキ、タモ、カツラなど、種類の異なる無垢材を使ったのは、本来の雑木林の多様性を表すためだ。


あえて古木や間伐材を使うのは、里山再生をサポートしたいというシェフの思いの表れである。


壁面を飾るのは、成澤シェフと親交のあるブラジル人フォトグラファーが撮りおろした里山の風景。


野生のワサビやシャク、セントウ草、ハコベといった山野草やジンの香りづけに用いるハイネズ(石川県の森の中)、利尻昆布(礼文島の海岸)……それぞれの写真の風景の中に、レストランやバーで使っている食材や素材が隠されている。

壁面の写真は、来年出版予定の「NARISAWA」のフォトブック、「SATOYAMA」のために撮りおろしたもの。ドイツ・TASCHEN社が初めて手がける料理本になるとか。

「レストランには写真も何も飾っていません。
ただ料理で里山を感じてもらうのですが、『BEES BAR by NARISAWA』ではビジュアルとカクテルで日本の里山に触れてもらうという趣向です。


レストランで食事をした方がその余韻に浸れると同時に、『NARISAWA』の料理を知らない方にも里山を身近に感じてもらいたいと思いました」


幅広い年齢層、国籍のゲストにリラックスして楽しんでもらえるよう、しつらいは程よくカジュアルに。
女性ゲストを意識して、モクテルやフードメニューも充実させているほか、繊細な素材の香りを味わってもらうべく、バーでは珍しく店内を禁煙にした。

BEES BARを代表するカクテルの一つ、「ウッドランド スパイスド オールドファッション」(¥1,800)。

それではさっそく、成澤シェフおすすめのシグネチャーカクテルを見ていこう。


「ウッドランド スパイスド オールドファッション」は、佐賀県のシナモン、石川県のクロモジとスギやナラなど、日本の森で採取したボタニカルを漬け込んだウイスキーがベース。


「昔から日本の山に生息するクロモジは殺菌作用に優れ、日本人の生活になくてはならないものでした。
レストランではこの若葉を天ぷらにしていますが、こちらではこの爽やかでリラック作用のある香りをウイスキーに閉じ込め、カクテルに仕立てます」


喜界島の粗糖で甘みをつけ、グリオットチェリー、オレンジピール、バニラビターズで風味を加える。
シナモンはあえて根や枝を使う。
通常、シナモンは皮を使うが、皮を剥ぐと木が死んでしまう。
木を守るため、根や枝を利用するのだ。


もちろん、これらシグネチャーカクテルにも、成澤シェフが各地の野山・里山に足を運び、調達してきたものが使われている。


後編でも「BEES BAR by NARISAWA」ならではのユニークなカクテルをご紹介する。


後編に続く。

SHOP INFORMATION

BEES BAR by NARISAWA
107-0062
東京都港区南青山2-14-15
五十嵐ビルB1
TEL:03-6459-2436
URL:https://www.beesbar-narisawa-jp.com

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