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日本人女性として初の戴冠!
世界一へのバー・ストーリー。
<後編>
#Pick up
高橋直美さん by「PALACE HOTEL TOKYO「LOUNGE BAR PRIVÉ」」
2012年5月の「第39回全国バーテンダー技能競技大会」で日本一になった高橋さんは、その年の夏に中国・北京で開催された世界大会を視察のために訪れた。
翌2013年に行われるチェコ・プラハでの世界大会へは、自らが日本代表として出場することになる。
そこで世界の舞台ではどんなパフォーマンスが繰り広げられるのか、レベルはどの程度なのか、雰囲気はどのようなものなのか、それらを自らの五感で確かめる必要があったのだ。
そこで高橋さんは、これまでにない危機感を覚えた。
「同行した諸先輩方に、世界各国のバーテンダーの方や業界関係者を紹介していただいたのですが、英語で話すことはおろか、うまくコミュニケーションすらとることができませんでした。周囲はそう思っていなかったかもしれませんが、私自身はものすごく疎外感を感じ、完全にその場の雰囲気にのまれてしまいました」
「来年、自分がこの場所に立って、日本代表として演技をするのかと思うと、不安でたまらなくなりました」
©一般社団法人 日本バーテンダー協会
世界一過酷なカクテルコンペティションといわれるNBA主催の「全国バーテンダー技能競技大会」で優勝した高橋さんは、世界的に見てもその技術は相当高いレベルにあるはず。
しかし世界大会という独特の雰囲気にのまれ、本来の力が発揮できなくなっては勝ち目がない。
高橋さんは「世界一」に向けて、思い切って環境を変えることにした。
2013年1月、高橋さんは「バーのいろは」を学んだ高知を離れ、パレスホテル東京のバーカウンターで新たなスタートを切った。
©一般社団法人 日本バーテンダー協会
6階「ラウンジバー プリヴェ」はゲストの半分ほどが外国人。しかも世界中を飛び回るビジネスエリートばかりだ。
洗練された外国人ゲストとコミュニケーションをとり、その味覚や嗜好と対峙しながらさらなる高みを目指す日々がつづいた。
「プリヴェ」はランチタイムから営業しているため、時にはサービススタッフとしてフロアに出て接客をし、料理やスイーツについても積極的に学んだ。
休みの日には、東京や横浜の有名バーテンダーの店を訪ね、感性を養うために美術館やレストランをめぐった。
もちろん仕事が終わってからは、練習も欠かさなかった。
「いま振り返ると相当ハードな毎日だったはずですが、すべてが新鮮で楽しかったですね。やはり世界一という目標があったからこそ、なにごとも前向きにトライできたんだと思います」
地元の高知新聞も高橋さんの世界一を称えた。
時を同じくして、高橋さんには心境の変化もあったという。
「これまでは『バーテンダー=職人』というイメージが先行し、女性という部分をあまり出さないように努めてきました。女性というよりも、一人のバーテンダーとして認められたいという意識が強かったのかもしれません。でも今は女性であることも、バーテンダーとしての個性であり強みだと考えるようになりました」
世界的にも高いとされる日本のなかでもトップクラスの技術、目標を決めるとブレないストイックな姿勢、女性ならではのしなやかな感性、日本人らしい細やかなおもてなしの心、そして世界の舞台への周到な準備……。
かくして高橋さんは「I.B.A.ワールドカクテルチャンピオンシップ」で世界一に輝いた。
現在の心境はどのようなものなのだろうか?
「今は一段落して、もう一度自分の足元を見つめ直している状況です。大切にしたいのは、日々の営業。これまで大会にウエイトを置いてきたぶん、今までにも増して日々の営業に集中できるのはうれしいですね」
2013年10月末日までの期間中、高橋さんがカウンターに立つ「ラウンジバー プリヴェ」では、特別なフェアを開催している。
世界大会優勝作品の「ウィステリア」をはじめ、2011年の全国大会創作部門優勝作品「プルマージュ」と、2012年の全国大会総合優勝作品「パローネ」の3カクテルを季節のメニューとして提供しているのだ。
この機会にぜひ、高橋さんのカクテルをお試しいただきたい。
最後に、今後の目標を聞いてみた。
「私が諸先輩方を目標としてきただけに、後輩の方たちから目標とされるようなバーテンダーになりたいですね。これからは世界一の女性バーテンダーとして背中を見られることになるのですから、バーテンダーとしてはもちろん、ひとりの人間としてもっと成長しなければなりません」
具体的には?と突っ込むと「いろいろ考えてはいるんですが、今はようやくスタートラインに立てたような感覚です。具体的な目標はもう少し経ってから決めたいと思います」とのこと。
世界一となった高橋さんの目には、きっといろいろな未来が見えているのだろう。
日本人女性初の世界No.1バーテンダーとして、高橋さんの“これから”に大いに期待したい。
SHOP INFORMATION
PALACE HOTEL TOKYO「LOUNGE BAR PRIVÉ」 | |
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100-0005 東京都千代田区丸の内1-1-1 パレスホテル東京 6F TEL:03-3211-5211(代表) URL:http://www.palacehoteltokyo.com |