PICK UPピックアップ
日本の食を鮮やかに変える、
話題の「Kabi」の絶品ペアリング!
<後編>
#Pick up
江本賢太郎さん(ソムリエ) by「Kabi」
撮影用に準備してもらったペアリングはワイン、日本酒、ジンの3種。Photos by Kenichi Katsukawa
シェフの安田翔平さんが手がける12品の料理に、ソムリエの江本賢太郎さんが厳選した9種のドリンクで構成される「Kabi」のドリンクペアリング。
江本さんのペアリングは、ビールからヴァン・ナチュール、カクテルまで多くの種類を提案しつつも、流れ全体を軽やかにまとめた構成が特徴だ。
例えば、前編でご紹介したアジの次にサーブされるのは、“Broccoli”。
さっと茹でた後、発酵させたグリーンピースのジュースに1日漬けたブロッコリともろみ味噌に漬けたホタテ貝に、ハマグリのだし、松の葉のオイル、ミントのオイルを合わせていただく。
魚介のしっかりとした旨みと爽やかなハーブの香りが、なんとも複雑な味わいを醸し出す一皿だ。
江本さんが合わせたのは、シチリアの南端で造られる「ラモレスカ ロザート」。
これはフラッパートという土着のブドウ品種とモスカート種で造ったロゼワインである。
チェリーやレッドカラントのニュアンスの中に赤いベリーの果実香が広がり、ミネラル感もあり。
余韻もしっかり楽しめるワインだ。
ブロッコリとホタテの一皿に、シチリアのロゼ「ラモレスカ ロザート」。
「安田の料理は複雑な味わいが特徴なので、そこに寄り添えるよう、さらっと飲めるものを選んでいます。
これは少し酸味を感じられ、舌の上での広がり方がどこか日本酒っぽい。
ホタテやハマグリの旨味にもマッチします。
ブロッコリとホタテの後にサーブする温かいサラダもこれで。
群馬泉のお燗の後にあえて白ワインではなく赤を持ってきましたが、奇を衒ったわけではなく、あくまでも流れの一つとしてこれを選んでみました。
とはいえ、次になにがくるかお客さんが想像できてしまった時点で楽しみが半減してしまうのではないでしょうか。
『想像もできない』、『ここでしか味わえない』という食体験が『Kabi』の醍醐味だと思うので、他ではお目にかかれないような組み合わせを心がけています」(江本)
温かいサラダの次は、かつらむきの大根をぬか床でしばらく寝かせ、棒状に巻いてカットした“Tsukemono”。
菊の花のピクルスを添え、発酵させたトマトジュース、アサリの出汁、イチジクの葉を漬け込んだオイルを合わせている。
「夏に収穫した野菜を冬まで保たせるため、デンマークでは保存食がよく作られます。
中でも保存食のピクルスはどの家庭でも仕込まれるほど一般的。
僕がデンマークで働いていたレストランにはピクルスだけで仕立てる料理があって、そこからイメージを広げて考案した料理です」(安田)
それに江本さんがチョイスしたのは、沖縄はまさひろ酒造の「まさひろオキナワジン」のジントニック。
「まさひろオキナワジン」はシークワーサーやゴーヤ、グアバの葉など沖縄らしい6種のボタニカルを浸漬して造られる。
このジンにキュウリやシークワーサーのジュースを合わせたジントニックだ。
さっぱりとした大根の一品と、ジントニックのペアリング。
「これはコースの中盤(7品目)の料理に合わせるドリンクなので、温度帯や見た目、飲み口がスッキリしたものを、ということでジントニックをチョイス。
もともとジントニックは大好きなカクテルの一つで、メルボルンのレストランでもよく使っていました。
ここでワンアクション置いてリフレッシュしてもらいたい、そんなタイミングにぴったりのドリンクですよね。
今日は、ゴーヤや泡盛を思わせる後味など、どこか日本らしいニュアンスが欲しくて『まさひろジン』を選んでみました。
大根に合わせるということで、キュウリのフレーバーで料理に寄せています」(江本)
お次は自然酵母で仕込まれる、山梨は共栄堂のオレンジワインを魚に合わせて。
「メインの料理の一つなので、しっかりとした旨味を感じさせる、イタリアはエミリア・ロマーニャの赤のスパークリングワインを」(江本)
その後は茨城県鹿嶋市で無農薬自然栽培を実践する農業集団「鹿嶋パラダイス」の日本酒、「パラダイ酒」、ブルターニュのシードルリーが無農薬で育てたリンゴで造るシードルナチュール、最後にほうじ茶とダークラムのカクテルでフィニッシュ。
料理の最後にもらえるその日のメニュー。
「おいしく味わってもらいたいのはもちろん、ここでしか味わえない・経験できない食のプレゼンテーションを楽しんでもらいたいという気持ちがあります。
安田の料理は素材ありきなので毎日何かしら変わりますが、その見ためや味わいの驚きを、ドリンクでさらに引き立てることがペアリングの役割だと思っています」(江本)
「『Kabi』のコンセプトは伝統的な日本の食文化を新しい形で発信することとお話ししましたが、それはこういう空間づくりやテーブルプレゼンテーション、器の一つ一つ、そしてドリンクのチョイスにまで貫かれています」(安田)
「ソムリエとして常に一流のお酒を見ていたいし、『きちんと造られている』と自分が納得できるものを提案することを心がけていきたい」と江本さん。
「僕にはこうあってほしいというアルコールの明確なイメージがあって、それを僕なりのフィルターを通して『Kabi』で表現しているつもりです。
うちで扱っているヴァン・ナチュールや日本酒の品揃えを見てもらえれば、もしかしたらお酒のプロには僕の趣向や傾向をわかってもらえるかもしれません
ワインリストを見せれば、『あ、江本が手がけたラインナップだね』『この店には江本が関わっているんだね」といってもらえるような、そんな個性のある店作り、ペアリングの提案を続けていきたいですね」(江本)
次世代を担うクリエイターによる唯一無二の食体験、ぜひ「Kabi」でご体験あれ。
SHOP INFORMATION
Kabi | |
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東京都目黒区目黒4-10-8 TEL:03-6451-2413 URL:http://kabi.tokyo |