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今月のバーテンダー

料理×ドリンクをもっと自由に!
気鋭のシェフのペアリング術。
<前編>

川手寛康さん/Florilege

16.07.01

オープンキッチンを囲むように配されたカウンターテーブル。ダイナミックな調理風景を間近にできる。Photos by Kenichi Katsukawa

ここは“予約が取れない”フレンチ・レストラン、「フロリレージュ」。


西麻布「ル・ブルギニオン」、白金「カンテサンス」などフレンチの名店で腕を磨いてきた川手寛康シェフが2009年に独立、オープンさせた。
昨年3月、南青山から外苑前へ移転リニューアルに伴い、スタイルもコンセプトも一新。


オープンキッチンを取り囲むよう、コの字型に配されたカウンター。
全11皿からなる夜のコースメニューにはそれぞれ、「不朽」「風土」など、食材の本質を捉えたキーワードが添えられている。
また、料理をさらに引き立てるのが、その味わいや風味に合わせたドリンクをコースでサーブする「カクテル・ペアリング」である。

ディナーコースは全11品、¥11,500。以下は全てディナーコースから。ヘシコで和のエッセンスを加えたヘシコのパスタに、ウォッカに自家製ハーブシロップを加えたカクテルを。カクテルに浮かべたのは自家製トマトウォーターで作ったゼリー。

「フレンチでは料理にはワインを合わせるのが従来のセオリーでしたが、ドリンクも食材のひとつとして考えれば、もっと自由な発想のペアリングが楽しめると思ったんです」と川手シェフ。


もともとワインは大好きで、24歳の時にソムリエの資格も取得したほど。
修業した「ル・ブルギニオン」は店名通りブルゴーニュ料理の店で、スタッフはみんなワイン、特にブルゴーニュに精通していた。
そんな環境もあり、20代半ばから常に「最高のマリアージュ」を追い求めてきたという。


カクテル・ペアリングは、ちょうど「ル・ブルギニオン」をやめた頃のプライベートな食卓での体験が原点になっている。


「夏の日だったんですが、天気が良かったのでベランダにテーブルを出して夕食をとろうとしていたんです。
しっかりとしたボリュームのあるブルゴーニュの白を開けたんですが、料理にはマッチするのに、どうもロケーションと合わなかったんですね。
そこで試しに、ワインにハーブとかちわりゼリーを入れて飲んでみたんです」

キッチンを飾るボタニカルのオブジェは、アーティストでソムリエの廣田さんの手によるもの。

邪道とも言われそうな飲み方だったが、これが絶妙にマッチした。
この体験で「ペアリングはもっと自由でいい」、そんな確信を得た川手シェフはプライベートな席やホームパーティーなどで様々なペアリングに挑戦するようになる。


「赤ワインにペドロ・ヒメネスを加えたり、トリュフを漬け込んでみたり、かつお節を挽いて出汁のように仕立てたこともありました。
そんな試行錯誤を重ねるうちに、ドリンクは食材のひとつなんだって気づきを得られたんです。
要は、ワインは液状のブドウで、日本酒は米の液体。
そう考えるとドリンクをフラットに考えられるようになったんです」


カクテル・ペアリングを模索する中で、ミクソロジストの南雲主于三さんと出会い、ミクソロジーバーに通うようになると、川手シェフのペアリングはさらに進化。
4、5年前からこうした試みを少しずつ店で提案するようになったというが、リニューアルを機に「カクテル・ペアリング」として本格的に始めるようになった。


現在はリクエストに応じてコース料理に合わせたドリンクをサーブ。
ワインだけ、カクテルだけ、あるいはワインとカクテルを織り交ぜて、ノンアルコールで、と多彩な組み合わせで提供している。

薄くたたいた経産牛を、濃厚なジャガイモのピューレでいただく。合わせるのは甘み、酸味、苦味のバランスも絶妙なグランマニエ、カルヴァドス、アブサンのカクテル。

「レストランでのペアリングは、あくまでも料理に対してのパフォーマンスが重要です。
もしワインとのペアリングを越えられなければ、無理にカクテルと合わせるようなことはしません。
また、料理と合わせることを考えると、バーのカクテルのように糖度をあげることができない。
その辺りがバーのカクテルと異なる点でしょうか。」


甘みと酸味でバランスを取る変わり、川手シェフが考えたのは旨味成分を加えることだった。
アルコールに旨味を加えて骨格を整え、苦味や塩気でバランスを取る。


「先日は、削ったかつお節とコショウをドリッパーにセットし、ボジョレーをドリップするというドリンクを作ってみました。
仕上げに少しだけ塩味を加え、スープのように仕立てたもの。
賛否両論あったんですが、そういう発想ができるのは料理人の強みかもしれませんね」

料理がサーブされるタイミングに合わせ、ソムリエの中村さんがカクテルを作ってくれる。

ペアリングでゲストを魅了するためには、まずはスタッフを納得させなくてはならない。
そう考えた川手シェフ、友人がやっているフレンチ・レストランにてペアリング・ラボのような席を不定期に設けている。
場所は「Hiroya」、友人が作る料理に合わせて川手シェフがドリンクを作り、スタッフに振る舞う。
スタッフはみなワイン好きだそうで、そのインプレッションをペアリングにいかすのだそう。


「ワインにはマリアージュのお手本がありますが、カクテル・ペアリングに関しては手探り状態。
自由ではありますが、その分、難しさもあります。
だからワインを凌駕するペアリングができた時の喜びもひとしおなんです」


川手シェフによれば、「フロリレージュ」が提案する「カクテル・ペアリング」は
① トーンを揃える
② 足りないものを補い合う
③ 温度差を楽しむ
この3つのテーマがベースになっている。
後編では、具体例を挙げながらカクテル・ペアリングの極意をお届けしよう。


後編に続く。

Bar Information

Florilege
150-0001 
渋谷区神宮前2-5-4 SEIZAN外苑B1
TEL:03-6440-0878
URL:http://www.aoyama-florilege.jp

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