ミクソロジスト×アーティスト、
クリエイティブ・カンファレンス5月20日開催!
<前編>

PICK UPピックアップ

ミクソロジスト×アーティスト、
クリエイティブ・カンファレンス5月20日開催!
<前編>

#Pick up

南雲主于三(スピリッツ&シェアリング) by「東京カクテル7デイズ 2018」

昨年に引き続き、5月18日から27日まで東京カクテル7デイズの開催が決定!今月は、期間中に開かれる注目のイベント「クリエイティブ・カンファレンス」をピックアップ!

文:Ryoko Kuraishi

長らく温めていたアイデアを形にするのは、バー業界の風雲児こと、南雲主于三さん。

5月18日から27日にかけて開催される、東京カクテル7デイズ 2018。
この期間中、日本を代表するミクソロジスト、南雲主于三さんによる注目のイベントが開かれる。
食による表現活動を行うアーティスト、食を通じて社会貢献活動も行うシェフ、茶の湯の可能性に挑む茶道家など、新時代のクリエイターを集めて行われる「クリエイティブ・カンファレンス」(5月20日、ベルサール六本木にて開催。18時開場、18時〜21時まで。)がそれだ。


今月は、主催者にして企画発案者である南雲さんと、登壇者であり新たな食の価値を提案するアーティスト、諏訪綾子さん(「food creation」主宰)の対談の模様をお届けしよう。


(南雲)
「クリエイティブ・カンファレンス」は僕が4、5年前から温めていたコンセプトなんです。
以前から、バー・サミットのような飲酒業界の情報の共有・発信の場が必要だと痛感していました。
シェフやバリスタ、調香師など、他業界のクリエイターたちと親交を深めるにつれ、カクテル、ドリンクの世界にも様々な視点が必要だと思うようになって。


例えばお茶はそのまま飲んでもいいし、料理にもカクテルにアレンジすることもできますが、シェフ、調香師、バリスタ、バーテンダー……立場によって様々な捉え方ができますよね。
業界をクロスオーバーすることで、多元的な見え方が可能になり、クリエイションの幅が広がるのではないか、と。


そんな考えから業界の人による発表と情報共有の場を年に一度くらい設けたいと思っていたのですが、それが「クリエイティブ・カンファレンス」に繋がりました。

諏訪さんが近江町市場で開催したゲリラレストラン、「好奇心のあじわい 好奇心のミュージアム」より。 

(諏訪)
そのアイデアを伺って、南雲さんらしいなあと思っていました(笑)。
登壇者はそれぞれ全く異なるジャンルの方なんですよね?


南雲
そうですね、あえて他ジャンルの方にお声がけしました。
まずは諏訪さん。
パフォーマンスやインスタレーションによって、食にまつわる全く新しい体験を発信している。
「おいしい」「おいしくない」といったありがちな感覚を飛び越えて生み出すストーリー、そうした表現から垣間見られるセンスにいつも圧倒されます。


そのほかの登壇者は、「Florilege」のシェフ、川手寛康さん。
クリエイティビティとサステイナビリティをいかに両立させるかという食の取り組みが非常に新しいと思いますね。


もう1人、茶道家の松村宗亮さん(SHUHALLY)は、茶道という伝統の文化に創意工夫を加え、現代のライフスタイルにマッチする独自スタイルを築いていらっしゃる。
海外での活動も多く、「お茶をどう見せるか、どう見られているか」を常に俯瞰で考えている、稀有な茶道家です。


「日本酒のカリスマ伝道師」と呼ばれる、千葉麻里絵さん(GEM by moto)は化学畑出身ということもあり、日本酒へのアプローチが非常に化学的で独創的。
温度やブレンド、香りの違いなど、日々、手探りしながら新しい日本酒の魅力を発信しています。


この3名をゲストに招き、各登壇者の経験や体験をお話しいただきながら、他業態と繋がることによるクリエイティビティの可能性やそれぞれの活動の先に見据えるもの、グローバルに通用する創造性、デジタル時代の発信方法……様々なテーマでディスカッションできればと思っています。

諏訪さんがDELVAUXのために用意した、画家、ルネ・マグリットの世界を味わうエクスペリメンタル・ディナー。「taste of Rene Magritte for DELVAUX」より。

(諏訪)
南雲さんとは2015年、フランスで行われたとあるプロジェクトがお目にかかるきっかけだったんですよね。


わたしはそのプロジェクトのコンセプト作りからパッケージデザインにまで携わっていたのですが、いざ商品の中身を具体的に構築するという段になって南雲さんにお会いしました。
お酒の調合や味わい、香りのプロフェッショナルが必要だということでお声がけして。


(南雲)
そもそも、その銘柄のために全く新しいジャンルから作り出そうという、壮大なプロジェクトだったんですよね。
ジャンルも新しいのだから、飲酒体験もこれまでにないものを構築するということだったのですが、諏訪さんの「タブーを超越する」ようなクリエイションが僕には衝撃的で。


(諏訪)
私、生来が飽きっぽいという事もあり、同じことを繰り返したり、一つのことを職人的に突き詰めたり、ということが向いていないんです(笑)。
むしろ、いつも新しいことに取り組んでいたい。
だからタブーとか、あんまり考えていないんです。


ゲリラレストランのようなパフォーマンスからインスタレーション、企業とコラボレーションした商品開発やデザインまで、食の表現の可能性を追求していますが、ビジュアルのように目に見えるものだけでなく、目に見えない価値やより感覚的なものの創造に重きをおいています。


「目に見えない感覚的なもの」って、結局は五感に行き着くのですが、食べる行為って五感をフルに働かすことなんですよね。
アートやデザインというと対象が特定されてしまうけれど、誰もが毎日、当たり前のように行っている食という行為なら、表現においてより広がりや可能性がある、そんな風に思っています。


(南雲)
諏訪さんの手がけたものを見ると、いつも「この人の頭の中身を覗いてみたい!」と思わされるのですが(笑)、諏訪さんがクリエイションにおいて大切にしていることはなんでしょう?

コンセプトフード、フードインスタレーションという、全く新しいジャンルを切り開くアーティスト、諏訪綾子さん。IMA Galleryで開催された「写真をあじわう Taste of Photography」より。

(諏訪)
本能を刺激する、ということでしょうか。
受け手が本能的に食べたい、思わず口に入れたい、味わってみたいと思わせること。
脳で判断するより先に、つい手が出ていた、そんな経験ってありませんか?目指すのはそういう感覚です。


南雲さんとの2年に渡るプロジェクトを通して、食べ物と飲み物、それぞれがもたらすものについて考えを巡らせるようになりました。
食べることと飲むことというのは、体験するシーンが同じようでいて違う部分もありますよね。
飲むという行為の先には食よりもさらに大きなチャンスが広がっている、そんな風に思っています。


お酒って、嗜好品であると考えると香水に近いですよね。
なくても生きていけるけれど、あればより人生を豊かにしてくれるもの、自分らしさを表現してくれるもの。
だからこそ、お酒ならではの表現がある。
そこには大きな可能性が秘められていると思うのです。


——この後、唯一無二のドリンク体験や記憶に残る体験の作り方について、2人の談義はさらに深まります。


後編へ続く。

(クリエイティブ・カンファレンスの詳細はこちらから
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/0107mazherya.html#detail)

SHOP INFORMATION

東京カクテル7デイズ 2018
2018年5月18日〜27日
東京都渋谷区神宮前6-32-10 エコファームカフェ632
URL:https://cocktailbar.jp/7days

SPECIAL FEATURE特別取材