どりぷら編集部選、
いまこのクラフトジンが面白い!
<前編>

PICK UPピックアップ

どりぷら編集部選、
いまこのクラフトジンが面白い!
<前編>

#Pick up

クラフトジン by「武蔵屋」

今月は、未だブーム冷めやらぬクラフトジンにフィーチャー。編集部が独断で選んだイマドキのクラフトジンと、そのテイスティングコメントをお届け!

文:Ryoko Kuraishi

本物の香水のようにトップノートからラストノートまで複雑なアロマの構成を楽しめる。 サイレントプール ジン(700ml)オープン価格 https://whisk-e.co.jp/news/spg/

クラフトジンの勢いが止まらない。
ジンといえば長らくロンドン・ドライ・ジンとオランダのジュネヴァ・ジンの独壇場だったが、2000年代からドイツの「モンキー47」やスコットランドの「ヘンドリックス」など、現在のブームを牽引する立役者的存在のクラフトジンがバーでの存在感を発揮するように。


近年ではアメリカ、スペイン、オーストラリア……と世界各地のスモールディスティラリーで造られるほか、ベーススピリッツに米を使った京都発の「季の美」、日本ならではのボタニカルを使用した「ROKU」が発売になるなど、ジャパニーズジンも続々参入。
その味わいや魅力はさらに多様化している。


そこでどりぷらでは編集部の独断と偏見で「いま気になるジン」10銘柄を選定、テイスティング会を実施した。
クラフトジンには明確な定義はないが、どりぷらが考えるクラフトジンとは
・生産者の顔が見えること
・蒸留所周辺の気候や風土を感じさせる、地元のボタニカルを多く使っていること


以下、その定義に沿って選定した銘柄と各テイスティングコメントを発表します!
なお、テイスティングにはクラフトジンに詳しい武蔵屋のスピリッツ担当、小林卓也さんに同席いただきコメントをいただいた。
(以下、銘柄は順不同)


1.サイレントプール ジン


2014年にロンドン南西部、サイレントプール湖畔に誕生したサイレントプール蒸留所によるジン。
小麦のベーススピリッツに、オーガニックのラベンダーほか洋梨やエルダーフラワーなど24種のボタニカルを使用。


「『ジンの香水』というキャッチコピー通り、直球のフローラルの華やかな香り。フィニッシュにはベルガモットかビターオレンジの、かすかに塩っぽい苦味も」(編集部O)

「少しだけアーティフィシャルな甘味を感じました。ボトルのデザインイメージからスパイシーな味わいを予想していたのでびっくり。香りが華やか過ぎてカクテルにするのが難しいかも?ベーススピリッツはウォッカのようなニュートラルさ」(編集部T)

「アロマが際立つ分、ボディはややライトに感じます。アルコールにあまり強くない人でも香りでお酒を楽しんで貰えそう。確かにベースがウォッカっぽいので、ボタニカルに使用されている洋梨にフックをかけてフルーツと合わせても広がりで出てきそうですね」(小林)

春の新緑、夏の草原の薫香、秋の実り、厳しい冬を表現したボタニカルをブレンド。グレンダロウ ワイルド ボタニカル ジン(700ml)¥5,400(税込) https://www.facebook.com/yamatotrading/

2.グレンダロウ ワイルド ボタニカル ジン


アイルランド発のグレンダロウ ワイルド ボタニカル ジンは、アイリッシュウィスキーやポチーンを手がけているグレンダロウ蒸留所によるジン。蒸留所周辺のウィックロウの山で採取した四季折々のフレッシュなボタニカルをのみを使用。全て手作業で丁寧に蒸留されており、冷却濾過もせず天然の成分をボトルに閉じ込めた。
サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンテスト(SWSC)2017で金賞を受賞、一躍注目を集めたアップカミングな銘柄。

「生の葉のような、フレッシュでウェットなグリーンの香りを感じる」(編集部K)

「アクアビットを思わせる味わい」(編集部T)

「穀物由来なのかな?ボディにはでんぷんっぽい香ばしさやふくよかさを感じます。ハーバルも心地よく出ている。フィニッシュに青リンゴやウリ系のニュアンスも」(小林)

「りんごとかベリーのかすかな酸味を感じました」(編集部O)

キュロ ナプエ(500ml)¥3,880(税込)、キュロ コスクエ(500ml)¥4,980 。写真はナプエ。http://www.liquors-hasegawa.com/SHOP/1020447/list.html

3.キュロ


2014年、フィンランドで操業を始めた新しい蒸溜所、キュロディスティラリー。地元で取れたバラ科のシモツケソウ、白樺の葉、シーバックソーンやクランベリーなどフィンランドならではのボタニカルを使用。「ナプエ」はジン&トニック世界一を決めるIWSC/2015 でジン&トニックトロフィーを獲得した。それをアメリカン・オークの新樽で約3ヶ月熟成させたものが「コスクエ」。


ナプエ
「アロマはコリアンダーやディルといったハーブ、みずみずしい木の葉のイメージ」(編集部T)

「その割にベースのスピリッツがしっかりしていて、アロマとボディのギャップが面白い。奇抜でもないし、平凡でもない、だけどしっかりと個性があって僕は結構好みのジンです」(小林)

「一見、控えめなアロマなんだけれど、フィニッシュが長くてパンチがある。確かにジントニックに合いそう」(編集部O)


コスクエ
「ちょっとバーボンを思わせるフィニッシュ」(編集部K)

「バニラの余韻がいい。ロック、ストレート、なんでもいける」(編集部T)

「オールドファションドスタイルで飲んだことがあるのですが、とてもおいしかったですよ。カクテル向きですね。家飲みだったらこれにマラスキーノチェリーを入れるだけでも良さそう」(小林)

ロックでも楽しめるほどの香り高さと柔らかな味わいを目指して開発された、美食の都・バルセロナならではのクラフトジン。ジンロウ(700ml)¥7,992 http://allegresse-take.shop-pro.jp

4.ジンロウ


バルセロナ発のジンロウは、シェフ、ミクソロジスト、ソムリエ、調香師からなるチームが開発した挑戦的な一品。レモンピール、シトロンピール、カフィアライムの葉、ローレルの葉などフレッシュなボタニカルをふんだんに使い、コリアンダーシードやブラックカルダモンでアクセントを。


「始めのアタックはシトラスを強烈に感じるけれど、少し時間が経つと馴染んでくるのかな、しっくりきます」(編集部O)

「フィニッシュにフォアグラ?上質な動物性脂肪を思わせるオイリーさも感じます。生産者は食中酒としての推奨もされていますが、このオイリーさとシトラスを生かしたペアリングが見つかりそう」(小林)

「ピンクペッパーを使った料理なんて合うんじゃないですか」(編集部T)

「ちなみに、某バーテンダーさんには『振っても伸ばしても味が間延びしない、骨太なジン』と言われました。シトラスが馴染んだ後にくる余韻は確かに、『骨太』かも」(編集部K)

2015年秋よりスタート。「アロマのバランス」を徹底して追求したエレガントなジン。(700ml)¥5,184 http://www.meidi-ya.co.jp/news/20161121_1.html

5.ル・ジン


カルヴァドスのクール・ド・リヨンを製造するクリスチャン・ドルーアン発のジン。自社の果樹園で栽培されている30種のりんごをベースに、ジュニパーベリー、ジンジャー、バニラ、レモン、カルダモン、シナモン、アーモンド、ローズをブレンド。


「花よりもりんごの葉のエッセンスを感じる。エレガントな香りの立ち方とワインのようなボトルデザインにやられる!」(編集部K)

「ベースは完全にカルヴァドス。これはジントニックじゃないでしょう。ストレートで素直においしく飲めるジン」(編集部O)

「グラッパみたいな感覚で食後酒として飲みたい」(編集部T)

「ジャックローズスタイルで出されているお店も見かけますね。爽やかでフルーティーなジャックローズって感じで、暑い季節にいいですよね。もちろんそのまま飲んでも」(小林)


前編ではイギリス〜アイルランド〜フィンランド〜スペイン〜フランスとヨーロッパを中心にご紹介した。
後編ではオーストラリアや北米、カナダのニューフェースが登場予定!


後編に続く。

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武蔵屋
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URL:https://www.musashiya-net.co.jp

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